魂の叫び

天界人と人界人では,羽が生えること以外にも明確な違いがある。


それは胸の中心部分にある『魂』と呼ばれる器官の存在である。


この魂は天界人のコアであり,天界人の身体のことをコアプロテクトと言う。


コアさえあれば身体を再生する事が可能である。(エースの力や,今後登場するキャラクターの能力が必要)


また,天界人は重傷を負い,死亡する場合もあるがエースの力などがあれば傷を負い死亡することはない。


最も確実に天界人を殺害する方法は魂をコアプロテクトから切り離し,その魂を吸収することである。

(この方法はエースにも有効である)


これらのことについては広く知られており,エースも昨晩にガブリエル達から聞いている。






エースは叫びを上げ,ウリエルに斬りかかる。


( 身体を切られてでも,俺が倒さないと…)


ウリエルは剣を振り,エースの両脚を切断するが,エースは怯むことなく突っ込んでくる。


「なにっ⁈」


ウリエルは驚き硬直してしまう。


エースの剣がウリエルの胸を貫く。


ウリエルは剣を振ろうとするがエースに腕を抑えられて振ることができない。


「やめろ!私には夢があるんだ!お前なんかに踏み躙られてはいけないんだ!」


ウリエルは胸に刺さった剣を抜こうとする。


「私は神になるのだ!私は自分の正義のために戦うのだ!」



「黙れ!なにもしていない人を大勢殺してなにが正義だ!お前は神にはなれない」



エースはウリエルの魂を引き抜こうとする。



「お前は…悪魔だ!」



ウリエルは喚き散らかす。



エースはウリエルの魂を引き抜く。その時,ウリエルの動きが止まった。



引き抜いた魂はエースに吸収される。



「勝った…のか」



エースは勝利に浸る間も無くミカエルの元に駆け寄る。


「ミカエル!大丈夫か?」


ミカエルは腹をひどく切られていた。


「大丈夫です…それよりガブリエルが…」


ミカエルは傷口を押さえながらそう言う。



「ガブリエル!しっかりしろ!」


エースは意識が朦朧としているガブリエルにそう言う。


「なんなんだこれは…」


エースはガブリエルの手を握る。


「エース…よく勝ったな…ありがと…」


ガブリエルが動かなくなった。


「ガブリエル…!ガブリエル目を開けろ!ガブリエル!」


エースは泣きながらガブリエルの身体を揺さぶる。







しばらくしてガブリエルが奇跡的に意識を取り戻す。


「ガブリエル!よかった…」


3人は涙を流し,ガブリエルの手を握る。




4人は教会に戻った。


エースはミカエルから後で話があると言われた。



エースは自室に戻りベッドに横たわっていた。目を瞑っていると徐々に意識が朦朧としてくる。



目を開けるとそこは炎の立つ紅い世界だった。


「…ここは」


エースは足元に違和感を感じ,下を見てみると


紅に染まった床に人の腕と生首が落ちていた。


エースは驚き,後退りする。


その時,どこかで叫び声がする。


聞いたことのある声だった。


その声はガブリエルの者だった。


ガブリエルは上空で何者かと剣を交えていた。


(ガブリエル…一体これは)


次の瞬間,ガブリエルが吹き飛ばされ,地面に落下してしまう。


「ガブリエル!」


俺はガブリエルに近づくが,ガブリエルは俺に気づかない。


(どういうことだ…?)


それに,ガブリエルの見た目が少し若くなっている。


隣にはウリエルも同じように重傷を負って倒れ込んでいる。


(なぜウリエルが⁈)


その時,突如上空から光の柱が降り注いでくる。


(なんだ⁈)


俺は目を疑った。


その柱の中にはメアリーがいたのだ。


メアリーは光の弓を作り出し,先程ガブリエルを地面に叩きつけた男を射抜く。


男は血を吹く。


そこで視界が真っ黒になった。


次に目を覚ました時,俺は暗い場所で走っていた。


自分で走っているわけではないし,視界に映る手も自分のものではなかった。


遠い向こうに,光が見える。


視界にガブリエルが映る。


横を同じように走っている。


前には誰もいない。


その時,後ろから猛スピードで飛んでくる者がいた。


メアリーだった。


メアリーは俺を抜かし,ぐんぐんと前に行く。



「待て!」



と言う声が俺の口から出てきた。


俺の右腕が動き,メアリーに向かって雷を放つ。


メアリーは灰となって地面に落ちた。


しかし,その灰の中から何者かが現れた。


それは俺だった。


俺は光の方へと走り出していく。


俺は再び雷を放った。


しかし,その雷は跳ね返され,俺の胸を貫いた。


「待ってくれ…こんなの…俺は」


最後に見たものは光の中に入ろうとする俺の姿だった。




俺は意識を取り戻した。


(…今のは…夢?)


俺は息を切らしていた。


(いつの間にか寝てしまっていて,夢を見ていたのか?…)



外はすっかり暗くなっていた。



腕に涙が落ちる。



(俺…泣いているの…か…?)








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ANIMA @kenharunovel

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