第36話 長男長女をめぐるあれこれ⑦

 最終話。

 長いことありがとうございました。

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「あ、ごめん。感動しているところ本当にゴメンなんだけど、こっち放置しないで。いろいろ大変なんだよ? えっと……マジか? 魔法か? 異世界なのか?」


「あ~うん、あずさ。そういうことなんだ。えっと、実際に一度連れて行くのが速いんだけど、その準備の方法は見せられるようなもんじゃなくてな……別の場所で待っていてくれるか?」


「ぜんぶ見せて! 一切の隠し事はしないで頂戴!」


「マジで? やめておいたほうがいいと思うけど?」

「ねえ、洋兄ちゃん。ぜんぶ包み隠さずって話だったよね?」


 どうなっても知らねえぞ?





 さて、今回バレリオは子どもたちの面倒を見るので留守番することになった。なので外に遊びに行ってもらった。留守番なのに外に出かけるって? まあ、そういうことだからな。


 俺とエレンとナイマ。そしてあずさは俺たちの寝室にやってきた。なんの変哲もない寝室だけど、部屋の真ん中にどでんとバカでかいベッドが鎮座している。


「あずさ、本当に見るのか? 途中で無理って言っても出られないからな?」

「何度も言わせないで! 私はこの目で全部見て判断するの!」


 ほんと知らないからな?


「いいんだってさ。じゃあ、始めるか?」

「ん。わたしから、ね。洋一……お昼からなんて久しぶりね。んちゅ……じゅる。あんっ、ちゅばちゅば……結界……」


「なななななん、なんなの? エレンさん? 洋兄ちゃん?」

「あずささんは、そこの椅子に座っていてくださいね。それとも混じりますか? うふふ。洋一様。わたくしもお願いします」


 いつの間にか衣服をすべて脱いでいるナイマが抱きついてきて、エレンから俺の唇を奪い吸い付いてくる。ナイマの柔らかくていい匂いのする肢体はいつ抱いても気持ちいい。


 その頃には多重にはられた防音結界と防振結界で寝室はガチガチの要塞なみになっていたので終わるまでは一切の出入りはできない。


 あずさには悪いが、魔力の受け渡しは最近こんな感じなんです。我慢してね。

 あれ? エレン。ナイマへの今やることは魔力譲渡だけなんだからいなくても良くない? 今気づいたけど……。ま、いっか。


 幼馴染に性行為を見られるのって結構恥ずかしいよね! そういうことじゃない? わかっているけど!

 ちらりと見たあずさの顔は真っ赤だけど、視線は俺たちに釘付けで目を逸らすことは一切なかったと付け加えておこう。


 不必要な行為だとはわかっていたけどエレンにたっぷりと魔力の元を注ぎ込んだ。あとは本来の目的のナイマにも十二分に魔力の元を注ぎながらも首筋をカプられて血をすすられる。


「あ!」

 と先に声を上げたのはエレン。


「ん!」

 と後から声を上げたのはナイマ。


「はうん……祐治く~ん」

 これはあずさ。部屋中に満ち満ちたエロさと魔力に当てられて苦しく切なくなった模様。一人で処理しているようだったけどそれには触れないでおこう……。





 とりあえず準備は終わった。


「ねえ、洋一。後でお話が……」

「洋一様、わたくしも後でお話が……」

「はあはあ……。よ、洋兄ちゃん、私も……話があるよ! たっぷりとね⁉」



 なんかいつもより吸われた気がしてフラフラするけどもうひと踏ん張り頑張ろう……。


 エレンとナイマは若干物足りなさそうな顔しているけど、今回の用件はあずさに異世界を見せることなので我慢しなさい。これで物足りないとか言われると俺本当に干からびちゃうし!



 唯一手放さなかった爺さんの山に飛んで移動。会ったこともない母方の爺さんからの相続だけどホント具合のいい場所に山があるので重宝する。

 そこに文字通り空を飛んで移動した。もう暗いので誰かに見られることもないだろう。始めたの昼間なのにもう暗いってどれくらいやっていたんだろう……。ちょっと長すぎない?

 え? エレンもナイマもあずさに見られていることに興奮した? 左様ですか……。もうしないからな。ぜったい。




「も、もう! もう! なんで飛ぶの⁉ なんで飛べるのよ!」

 あずさがまたしても荒ぶっているが、全部見せろといったのはお前だからな?


「あずさ、あっちを見てこられるのは一〇分程度だからしっかり見ておけよ」

「もう! わかったわよ。スマホで撮ってもいい?」

「公開しなけりゃいいよ。どうせ誰もアッチには行けないんだし。こっちに迷惑かかるようなら潰せばいいしな」






「わっわっわっ! すごい……。ぜんぶ本物だよね?」

「あんまり騒ぐなよ? バレるとめんどい。そうだよ、言い方は変だけどアイツらぜんぶ本物。異世界の人や動物だな」


 SFかファンタジーか童話の世界なのかって感じの景色が眼前に広がっている。

 俺も始めてみた時は感動したもんだ。長いこと見ていられないのがホント残念。



「さ、もう一〇分経ったからそろそろ帰るぞ」

「うん。もっと見たいけど、一〇倍だっけ時間のながれの違いは?」


「そ、もう向こうでは二時間弱ぐらいは出発から時間が過ぎているはず」

「わかった。じゃあ、帰ろう。洋兄ちゃんの言っていたことホントにぜんぶ本当のことだったんだね。疑ってごめんね」


「誰だって疑うのは当たり前だと思うさ。じゃ、ナイマ。よろしく~」



 帰宅した時は深夜と言っていい時間になっていたので、子どもたちはみんな寝てしまっていた。

 洋嗣の部屋だけギシギシ聞こえていたけど気づかないふりしてやった。誰か防音と防振の魔法をカティに教えておけよ!


「あずさ。それで、教えてもらえるのだろうか? えっと、家庭教師的な?」

「こんなにおもしろいこと経験させてもらったし、これからも経験できるのならお安い御用だよ! ただ、条件があるんだけど?」


「なに?」

「うちの旦那さま、祐治にも話していい?」


「祐治くんも内緒にできるんだったらな。構わないけど、これ以上は増やすなよ? これはあずさのためでもあるんだからな?」

 余計なことを知るということは余計な危険にも合う可能性は否定できないからな。


「わかった! じゃあ、きっちりがっちりカテキョーさせていただくよ!」

 ふう、これで子どもたちのことは安心だね。肩の荷が下りた気がする。ほんとはこれからが大変なんだろうけど。




 そういえばエレンとナイマが話があるっていっていたな。

「エレン、ナイマ。さっきの話があるってやつは?」


「え、エレンどうぞ。お先に……」

「あ、ナイマこそ、お先に……」

 二人して遠慮してどうしたの?


「じゃ、じゃあ。わたしから……あの、洋一。出来たの」

「ん? なにが?」


「あ、赤ちゃん……双子みたいなの」


「え!!!!!!!!!!!!!!! マジで! やった! いつの間に不妊の加護外したんだよ! 先に言えよ! まあいいや! やった!」


「あ、あのっ」

「あ、ごめん。ナイマの話も聞かないとな」


「わたくしも……できました。赤ちゃん。わたくしの方も双子です」


「うおおおおおおおおおお! 本当なんだよな⁉ やったぁ~ ナイマにも子どもが出来たぁ!!!!!!!!!!!!!!!」


 エレンは頑張ればって思っていたけど、一〇〇年に一度のチャンスを逃していたナイマにも子どもが出来た! まさかの俺が一〇〇年王子様役を成し遂げられた!

 めでたい、めでたい、めでたい!! よかった……本当によかった。


「洋兄ちゃん、おめでとうだけど、うるさい! 騒ぎすぎ! みんな起きてきちゃうよ!」

「大丈夫ですよ、あずさ。防音と防振魔法をかけておきました」

 ナイマGJ! この喜びは抑えるのちょっと無理よ!




 小一時間ほど嬉し涙を流しながら喜びの舞を披露したあとにふと気づいた。


「あれ? エレンもナイマも双子って言ったよな? 間違いない?」

「「間違いないよ(です)!」」


 マジか……。今回も一気に四人増えるのか……。


 俺、エレン、ナイマ、バレリオで四人。

 エレンとの子が二人。

 ナイマとの子が二人。

 バレリオとの子が五人。

 おまけが二人。


 一五人家族、か? いや、エレンもナイマもまだこの先も生むかもしれない。そういう行為はやめるつもりないもんな、俺。自重する気は皆無だし。


「なあ、ナイマ。ナイマの沈滞の深林にある別荘ってエレンのマジックボックスに入れて持ってこられないか? そんで、あの爺さんの山に据え置けないかな?」


 あの館なら三〇人ぐらいは余裕で住めそうだもん。

 山を少し下ればバスが通っている国道もあるし、通勤通学も問題ないでしょ?

 最悪マイクロバス買うし、自動車免許の限定解除するし!



「ねぇ、そうしたらさ。私たちも一緒に住んでいいかな?」

「あん? あずさは俺の旧実家を買ってくれたばかりじゃん?」


「いいじゃん‼︎ なんかみんなで暮らすの楽しそうだし、私たちも子作りに励むからさ」

 あずさの子作り宣言なんて聞きたくないんだけど? 何より祐治くんどうするのよ?


「祐治は私の言うこと全部聞いてくれるし! あの家は貸せばいいよ! 背中にターボとか書いたフダつけたおばあちゃんが家を探してたし丁度いい!」


「おいおま……。はぁ……。もう勝手にしてくれ」

「やったね! エレンちゃん、ナイマちゃん、リオちゃん。みんなもよろしくねぇ〜」



 もうさ、なんで俺の周りってこんなんばっかりなんだろうな……。

「それ、洋一が言う?」

「……」




 でもまあ、これからも頑張れる気がする!


 だたなんとなく、やさぐれて生きていただけの俺がね。


 父さん、母さん。

 どっかに行っちゃった生んでくれた母さん。


 おれ、ちゃんといろんなこと、しっかりとやるから心配しないでくれ。









 おしまい。




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 各々の奥様方の長男長女をめぐるあれこれ。

 エレンの双子も長男長女。

 ナイマの双子も長男長女。ナイマは魔女族なので本来男は生まれないんですけどね。

 そこは洋一のおたまじゃくしが強かった、ということで。


 では。


 また。




 ちなみに移築したナイマの別荘は部屋が足りなくなって増築したとかしないとか?

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この前、女勇者拾ったんだけど、夜になると回復魔法連チャン俺にかけてくるんだよね。 403μぐらむ @155

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