魔法少女任命!?
一斉に視線を集められたカルミアは「あっ」と顔を赤くして俯いた。
「それはどういうことだ?」
アンズの問いかけから数秒後、ようやく顔を上げたカルミアは先ほどまでの冷静な表情に戻り話し始めた。
「私・・・黒魔術とか魔法とか、そういう類のものが好きで、よく書物とか読んでいるの。以前読んでいた書物に気になる記述がされていたんだ。遠い昔、このローズワールドを収めていた女王は魔力を持っていて、その魔力を自分以外にも分け与える風習があったって。ある時は作物のために水の魔力を、ある時は病気のために治療の魔力を・・・。理由はその時々で様々だけど、そうすることで国の人々を救ってきたんだって。いつしかその風習はなくなって誰もそれを語り継ぐ人もいなくなったからかなり古い書物にしか残されていなかったんだ」
呆気にとられるみんなをよそにカルミアは話を続ける。
「ブレスレットとの関係性だけど、魔力を分け与えるときには必ず装飾品を分け与える人に贈っていたんだって。一番多かったのがブレスレット。・・・あと、書物には、魔力を持っているのは歴代の女王のみとされていたの。今でこそ誰も真実を知る人はいないけど、魔力は女王が受け継いでいると思うの。スノードロップ様もロベリア様も、不思議な雰囲気を感じたことはない?」
突然の話についていけず、沈黙が流れる。
数秒後に沈黙を破ったのはチューベローズだった。
「うーん。そう言われてみればあるかなあ。うまく説明できないけど、ぼーっとしちゃうというか、何か引き込まれるというか・・・」
確かに、と頷くアンズとハナニラ。数回しか見かけたことはないが、その感覚は私自身にも身に覚えがあった。
そして、その感覚はブレスレットを身に着けたときのものとよく似ている気がした。
「てことは、私たち本当に魔法少女になったってこと!?本当にこれから世界救うの!?なんかすごくない?選ばれしヒーローって感じ!空とか飛べるのかな!?とりあえず念じたらいいのかな?」
天然なのか、場を和ませようとしているのか「うーん」と念じ始めるチューベローズ。
すると、突如吹いた強風と共にふわりとチューベローズの身体が浮き上がった。
「え!?え!!??マジじゃん!!」
その場でくるりと回転したりして見せるものの、驚きを隠せないようだ。
「わあ・・・本当だったんだ」
ハナニラもこういうものが好きだったらしく、とても目を輝かせていた。
「じゃあ、あの木の上にも飛び乗れたりするのかな?」
勢いをつけて飛び上がるハナニラ。
こちらも、見事に成功していた。
続いて私、アンズ、カルミアも真似てみせる。
「・・・身体能力があがったり、空を飛べたりするのはみんな同じみたいね」
「ああ、そうだな。あとはこのチャームがそれぞれ違うのが気になるが・・・」
「もしかして、基本的な魔力のほかに個々で別の能力があるのかな?」
私がふと口にした言葉に、チューベローズが「それだ!」と目を見開いた。
「多分そうだよ!私のはハートでちょっとよくわかりづらいから・・・試しにアンズ火とか出してみてよ!アンズかカルミアならわかりやすそう!」
「え、ええ・・・わかった、わかったから」
チューベローズに押されてアンズが手から小さな火を出して見せる。
と、その瞬間自身の手から出てきた火に驚いてしまい、近くにあった草木に燃え移ってしまった。
「え、あ、わ、わ」
慌ててカルミアが水を出して消火する。
「悪い、助かったよ」
「今日は危ないからここまでにしておこう。チャームについては私が少し調べておくよ」
放心状態のアンズをカルミアが落ち着かせて、その日は解散することになった。
「そうだね。もうこんな時間だし、今日は解散しようか」
私はみんなにそう告げ、ハナニラと帰路についた。
ようやく家についた私はベッドにで横になりながら、ブレスレットを眺めていた。
これのおかげで出会えた仲間。私がお告げをもらった意味。これから起こること。
責任感と不安が入り混じった感情の中、いつしか眠りについていた。
魔法少女戦記 やにりす @yanirisu
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