クロユリの呪い
「クロユリの呪い・・・」
ハナニラが少し不安そうな表情を浮かべる。
「それって確か、失踪した場所に必ずクロユリが置いてあるって事件だよな。関わると必ず次のターゲットにされるって噂の。」
「いいじゃん!面白そう!」
続いて怪訝な顔をしたアンズとは裏腹に、チューベローズは興味津々で身を乗り出してきた。
「なんというか、その、そんな簡単にかかわっていいものじゃないと思うんだけど・・・」
私も正直あまり気乗りはしなかった。
噂にはなっているもののニュースなどではあまり取り上げられず、実際にクロユリが置いてあるのか、関わったら失踪してしまうのか、それすらもわからない不気味なものには正直関わりたくはなかった。
「・・・まあ、関わりたくない気持ちもわかるけど、今は何も手がかりがないんだから怪しいところから調べるしかないんじゃない?」
カルミアが表情一つ崩さず場をまとめる。
「そう・・・だな。スノードロップ様からのお告げだもんね。」
「そうだね。アンズの言う通り、私たちが頼まれたんだもんね。」
「うぅ・・・アイリスがそういうならわかったよ・・・」
「じゃあ決まり!あともう一つ気になってたんだけど。」
チューベローズがうでにつけているブレスレットをみんなの前に差し出した。
「これさ、みんなのところにも置いてなかった?よくわかんないけど可愛いからつけてきちゃった。」
「そういえば、私も。」
ハナニラもブレスレットを差し出す。
チューベローズのブレスレットにはハートのチャームが、ハナニラのものには花のチャームがついていた。
「私も置いてあったぞ。炎のチャームだ。」
「私のは雫・・・」
アンズ、カルミアも続いて木箱からブレスレットを取り出した。
「アイリスは持ってないの?」
「そういえばあったよ!ちょっと待ってね。」
すっかりブレスレットの存在を忘れていた私はハナニラの問いかけに急いで木箱からブレスレットを取り出した。
「私のには、星のチャームがついてる。」
よく見ると、華奢なチェーンに様々な大きさの星がいくつかついているかわいいデザインのブレスレットだった。
「みんなデザイン違いでもらっているみたいだね。」
試しに星のブレスレットを腕につけてみる。
つけると、今まで体感したことのない高揚感と、体の奥底から何か力が湧き出てくるのを感じた。
「なんだろう、これ。すごく不思議な感覚・・・」
「わかる!私も付けたとき同じこと感じた!もしかして私たち魔法少女にでもなっちゃう感じ?」
「チューベローズ、騒ぎすぎ。もしそれが本当なら私は火でも出せるようになるのか?」
はしゃぐチューベローズを横目にアンズはまじまじとブレスレットを眺めた。
「・・・多分、それで合ってると思うんだけど・・・」
カルミアの発言を受けてみんなが固まる。
チューベローズならともかく、ここまで一切真顔を貫き通していた彼女の発言は冗談とは思えないからだ。
「・・・え?」
みんなの声が一つに重なった。
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