6.光輝く緑色の糸‐彩葉side

 龍緒と共に龍緒の玄関に入り、そこで、先ほど言われたように龍緒の家族に紹介され、リビングに案内された。そして、やはり、「奥さん」という言葉になれなくて、彩葉は頬を染めて、うつむいてしまった。でも、視界の端にキラキラ光るなにかが見えて、顔を上げる。そこに見えていたのは光輝く緑色の糸だった。


「光ってるの初めて見た……」


 彩葉の言葉に、龍緒の祖父が反応する。


「やはり、緑色の糸は存在するのじゃな」

「はい……」

「彩葉ちゃんにはどのように見えているんじゃ?」

「龍緒君を含めた、皆さんの緑色の糸が光輝いています。でも、光輝いて見えるのは初めてで……。でも、すごく羨ましいです。私の家族と繋がっている緑色の糸はくすんでるから……」

「大丈夫、オレがくすませない。それに、オレとの緑色の糸の糸はくすんでないだろ?」


 その言葉に頷く。確かにそうだ。龍緒と繋がっている緑色の糸は普通の緑色より、少しだけ光ってる気がする。

 今まで光ってる緑色の糸を見たことはなかった。でも、龍緒と繋がっている緑色の糸は光ってる。それがすごく嬉しく感じていた。


◇◆◇◆◇


 そして、今、指輪の交換を終えた夏伊と愛美。その指輪がはまっている、その指に、ある緑色の糸。その糸はあの時と同じ様に光っている。それを見て、彩葉は龍緒と繋がっている緑色の糸を見て微笑み涙する。


(おばあちゃん……。私にも、大切な家族ができて、その家族がこんなにも増えたよ)


 また一筋、彩葉の頬を涙が伝った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

知美 @tensa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ