第3話

「「わっ」」


「きゃ!」


「ヤハハハハハ‼︎」


「おっと」


「これは……」


の視界は間を置かずに開けた。

彼らは上空4000ⅿほどの位置で投げ出されたのだ。

落下に伴う圧力に苦しみながらもは同様な感想を抱き、同様の言葉を口にした。


「ど………何処だここ!?」


 視線の先に広がる地平線は、世界の果てを彷彿とさせる断崖絶壁。

 眼下に見えるのは、縮尺を見間違うほど巨大な天幕に覆われた未知の都市。


 

彼らの前に広がる世界は―――完全無欠に異世界だった。



※※


<Side:美琴>


(呼び出されたはいいけど、これからどうしようか?)


耳元ではビュウゥゥと風を切る音がしている。


私は、現在進行形で落下中だった。


(緩衝材のようなものを幾重にも通した上で下に湖を用意しておく。召喚の仕方は酷いけど、相手側は私達を殺すつもりは無いらしいね。まあ、落下途中でズレたら落下死間違いないけど)


などと、どうでもいい事を考えている。


もう一度言おう。落下中である。


そんな美琴にツッコミを入れる存在が居た。そう、サポートスキル(?)の賢人である!


《御紹介にあずかりました賢人です。ってそんな事より、美琴は何故動かないのですか?》

(ん~?だって、空間操作で私の周りの空間歪めれば濡れないし。そもそも、常時発動型のを展開してるから、落ちても衝撃どころか十六夜が投げた、第3宇宙速度に匹敵する馬鹿げた速度の石すら通らないからねぇ)

《それが出来るのは賢人がサポートしているのと、"完全回復"で常に脳を治しているからでしょう?でなければ脳が今頃焼き切れていますよ》

(そうだよねー。いつもありがとね賢人)

《なァ!?……美琴は何時もそういう所がありますよね、不意打ちは止めて下さい》

「(え、ごめん?)って、あ」


そのまま6つの大きな水柱と1つの小さな水柱ができた。




「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺り込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

「………。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

「俺は問題ない」

「そう。身勝手ね」


先に上がった十六夜が気が強そうな女の子と言い合いしてる。皆上がってるし、そろそろ上がろうと思ったら「にゃー!にゃー!」と少し焦ったような猫の鳴き声が聞こえた。見れば年を取った三毛猫がバシャバシャと慌てふためいている。

ほっとくと本当に溺れ死にしそうだったので、捕まえ…拾い上げてから陸に上がった。


「にゃー!にゃーにゃーー!(嬢ちゃん!助けてくれてありがとな!)」

「えーと……どういたしまして?」


そんなことを三毛猫と話しながら?陸に上がると、なにかに驚いたようで、目を丸くしてこっちを見ている女の子がいた。

何だろう?と首を傾げていると女の子の方から話しかけてきた。


「あなた、三毛猫の言葉が分かるの?」


の?ってことはこの子は三毛猫?の言ってることが分かるんだ。"動物と話す"スキルでも持ってるのかな?


《この子は春日部耀。女神ノアが話していた原作主人公の一人です》

(あ、そうなんだ。やっぱり、会話系?)

《会話だけでなく"友達"となった動物の特徴を使えるようになるようです。例えば、犬の嗅覚や猫の夜目等。後、身体能力も向上するみたいですね》

(わあ、便利なスキルだねぇ)

《"スキル"ではなく、恩恵…"ギフト"と呼ぶみたいですね。気を付けて下さい》

(?分かった)


言い間違えるなって事かな?それよりも今は、春日部さんの誤解を解く必要があるね。


「うん?私、動物と話すことは出来ないから何て言ってるのか分かんないけど、仕草や目を見れば大体この子が何か言っている事は分かったよ?そう言うあなたは動物の言葉が分かるの?」

「え?あ、うん。私の友達をありがとう。三毛猫もありがとうって言ってる」

「あ、やっぱりそうなんだ。どういたしまして。三毛猫?もどういたしまして」


そして私はその子春日部さんに猫を渡しながら一緒に落ちてきた十六夜達に目を向けら皆、服の端を絞っていた。タオル渡すべきかな?


「此処…何処だろう?」


三毛猫を抱きながら耀が喋る。


「さあな、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか?」


「普通に異世界だと思うよ?十六夜」


濡れた服を絞りながら答える十六夜と悪気無くぶった切る美琴。


どちらにしろ此処が彼らにとって未知の世界であるのに変わりはなかった。


「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくが、お前達にも変な手紙が来たのか?」

「そうだけど、まず“お前”って呼び方を訂正して。――私は久遠飛鳥よ。以後気を付けてそれで、そこの猫を抱きかかえている貴女は?」

「……春日部耀。以下同文」


(うーん…皆濡れてるし、タオル渡すべきだよねぇ?賢人はどう思う?)

《渡した方がよいでしょう。今、この状態で1人だけ濡れていないのは彼等にとって不平と思われるでしょう。第三倉庫に服があります。フリーサイズなので全員着れるかと》


「そう。よろしく春日部さん。次に、春日部さんの隣にいる一人だけ濡れていない、特徴的な眼帯を付けている貴女は?」


(メンズは有る?男子だけ着替えれないとなると、十六夜がキレちゃう)

《有ります。そもそも第三倉庫は地震や津波等災害が起きた時、着替え等が用意できない緊急時用の倉庫です。当然、レディースもメンズも用意してあります》

(分かった、ありが――)


「――ちょっと!無視するとはいい覚悟ね、貴女」

「ふぇ?」


呼ばれている事に今気が付いたと言わんばかりの反応とキョトンとした顔に飛鳥の顔に青筋が浮かぶ。

その反応に十六夜は腹を抱えて笑い、飛鳥は益々青筋を浮かべる。そんな悪循環が発生していると、耀が見かねて美琴に助け船を出した。


「挨拶。次、貴女の番」

「え?…ああ!」


何が何か分からず困惑していた美琴は合点がいったという顔で納得した。


「私は美琴、三上美琴です。そこで腹を抱えて馬鹿笑いしている十六夜の幼馴染です。美琴って呼んでね。宜しくね」

「よろしく美琴さん。次に、そこの明らかに血の繋がりがある二人は?」

「俺は六上零士。こっちは妹の「六上令那です。六上では紛らわしいので、令那と呼んでください。兄共々よろしくお願いします」……よろしくな」


白髪赤眼の六上零士君と黒髪碧眼の六上令那さん。令那さんは礼儀正しい子かな?


「ええ、よろしく六上君と令那さん。最後に野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」」

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

「そう。取り扱い説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」


心からケラケラと笑う逆廻十六夜


傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥


そんな十六夜を見て溜息を吐く三上美琴


我関せず無関心を装う春日部耀


一歩離れた所から四人を観察する六上零士と令那



<Side:三人称>


そんな六人を物陰から見ていた存在――黒ウサギは思う。


(うわぁ………なんか問題児ばかりみたいですねぇ………)


召喚しておいてなんだが……彼らが協力する姿は、客観的に想像出来そうにない。そう思い、陰鬱そうに溜息を吐く黒ウサギがいた。



※※


<Side:美琴>


黒ウサギが溜息をついている頃、美琴は第三倉庫から取り出したタオルを配っていた。


「落ち着いたし、そのままだと風邪をひくからタオルどうぞ」

「サンキュー、美琴」

「あら、ありがとう」


二人ともお礼を言うとタオルを受け取り、髪などから拭き始めた。


「三毛猫が居るから二枚ね、はい」

「ありがとう」


耀はお礼を言い、タオルを受け取ると三毛猫から拭き始めた。


「はい、二人分。拭き終わったら返してね。それと皆、フリーサイズの服があるから必要なら貸し出すよ」

「お?用意してたのか?美琴」

「いや、元々有事の際にと思って入れてたやつ。レディース・メンズ両方あるから遠慮なく言ってね」

「そうなの?なら、貸してくれるかしら?」

「私もお願い」

「俺も頼むわ」


飛鳥、耀、十六夜の順に言う。面倒くさくなった美琴は全員に貸し出すことにした。……そこ、大雑把とか言うな。


それからしばらく待って、逆廻が苛立たしげに喋り始めた。


「で、呼び出されたはいいけど何で誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

「………この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

(十六夜はともかく、他の子達は確かに落ち着きすぎだと思うな。…こういった状況に慣れてるのかな?)



「(全くです)」

一方、十六夜達を見ていた黒ウサギは、心の中で突っ込みを入れていた。




美琴は会話には参加せず、少し離れた草陰に見え隠れするウサ耳らしき物体を、先程から十六夜や気の強そうな女の子 《久遠飛鳥です》…飛鳥さんがチラチラ気にしている事に気が付き、意地悪だなぁと思いながら三毛猫の女の子…耀さんに話しかけた。


「ねえ、十六夜達気づいてるんだよね?さっきから見てるし」

「え、た、多分。…美琴も気が付いてたの?」

「勿論♪気配察知は良い方だよ」


そんなことを話している時、


「―――――仕方がねえな。

にでも話を聞くか?」


十六夜がわざとらしく、誰にでも聞こえるような大きめな声でそういった。



このままでは、六人の怒り不満が爆発しかねないのでそろそろ姿を見せようと思い、物陰から出ようとしていた黒ウサギは、その言葉に心臓を掴まれたように跳び跳ねた。



「何だ、貴方も気付いていたの?」

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?美琴は当たり前として、そっちの三人も気付いていたんだろ?」

「風上に立たれたら嫌でも分かる」

「そもそも隠れてる気が無いだろ、アレ」

「視線でモロ分かり」


「………へえ?面白いなお前ら」


そう言うが十六夜の目は笑っていなかった。


理不尽に呼び出され殺気を込めた視線を黒ウサギに向けている。


残りの三人も同じらしく同様に殺気を込めた視線を黒ウサギに向ける。


美琴はこれから起こる未来を視た結果、呆れた顔で十六夜達を見て溜息をついた。


「や、やだな~、御五人様、そんな怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?どうか、ここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますよ?」


「「断る」」


「却下」


「遠慮します」


「お断りします」


「あっは、取り付くシマもないですね♪」


 バンザーイ、と降参のポーズを取る黒ウサギ。――その目は冷静に六人を値踏みしていたが。

(この状況でNOと言える勝ち気は買いです。まあ、御一人だけ返事無しで、何故か呆れた目をしていますが)


しかし黒ウサギはめげずに、自分に殺気ではなく何故か呆れた視線を向けてくる美琴にも訊いた。


「えっと、そちらの御子様は黒ウサギの御話を聞いて頂けますか?」

「私は十六夜の一つ下なんだけどね?話くらいは聞くよ…?」

「ありがとうございます!」


 黒ウサギはまともな方が一人いたことに喜びを感じた。その少女は〝神格〟持ちに似た、圧倒的な存在感を放ってはいるが。


(肝っ玉は及第点ですね。後はそれに見合うだけの実力があるかどうか………)


そんなことを考えていると耀が黒ウサギの横に立ちそのウサ耳の根元を掴み


「えい」


「フギャ!」


力いっぱい引っ張った。


「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

「好奇心の為せる業」

「自由にも程があります!」

「へえ?このウサ耳って本物なのか?」


 そう言って、今度は十六夜が右から掴んで引っ張る。


「………じゃあ私も」

「ちょ、ちょっと待―――!」


 今度は飛鳥が左から。左右に力一杯引っ張られた黒ウサギは、言葉にならない悲鳴を上げ、その絶叫は近隣に木霊した。



※※



「―――あ、有り得ない。有り得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。其処の御子様は助けてくれませんでしたし、学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」


「いいからさっさと進めろ」


半ば本気の涙を瞳に浮かばせながらも、黒ウサギは話を聞いてもらえる状況を作ることに成功した。

 十六夜達は黒ウサギの前の岸辺に座り込み、『聞くだけ聞こう』という程度には耳を傾けている。

 黒ウサギは気を取り直して咳払いをし、両手を広げて説明を開始した。




ここから先は話が長いの割愛。


《酷いですね、美琴。これからが面白いのに》


(いや、全然面白くないからね?)




※※


 場所は箱庭2105380外門。ベリベッド通り・噴水広場前。

箱庭についての説明を聞き、あらかた世界の構造とルールを十六夜達は知ることができた。

 そして、いざ、黒ウサギは皆を引き連れて、


「ジン坊ちゃーん!新しい方達を連れてきましたよー!」


 その声に一人の、小さな体躯に似合わないダボダボなローブを着た幼い少年が反応し、顔をハッとあげる。


 外門前の街道から黒ウサギたちが歩いてきた。


「お帰り、黒ウサギ。そちらの“女性四人と男性一人”が 」

「はいな、こちらの“御五人様”が──────ほぇ?!」


 目を見開き、クルリと振り返り………カチン、と固まる黒ウサギ。


「えっ・・・・・・・・・あれ?もう一人いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて全身から俺問題児ってオーラを放っている殿方が」

「ああ十六夜くんの事、十六夜君ならちょっと世界の果て見てくるぜ!と言って駆け出していったわ。あっちの方に」


あっちの方に。と指を指すのは上空4000mから見えた断崖絶壁


「なんで止めてくれなかったんですか!」

「止めてくれるなよと言われたもの」

「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」

「黒ウサギには言うなよって言われたから」

「絶対嘘です!実はめんどくさかっただけでしょう御二人さん!」


『うん』


息の合った飛鳥と耀の返事に倒れ込む黒ウサギ。


「ほ、他の御三人もどうして止めてくれなかったのですか!?」

「止める間もなく行ったから?」(令那)

「一瞬で見えなくなったからな」(零士)

「今の十六夜は"新しいおもちゃを与えられてハッチャケてる子共"と同じ状態だから止めても無駄だったよ?」


更に追い打ちをかけられた黒ウサギは脱力し、新たな人材に胸を踊らせていた数時間前の自分を疎ましく思っていた。

そんな黒ウサギとは対象的に、ジンは蒼白になって叫んだ。


「た、大変です 〝世界の果て〞付近には強力なギフトを持った幻獣がいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ちできません。」

「あら それは残念。もう彼はゲームオーバーかしら?」

「ゲーム参加前にゲームオーバー………斬新?」

「冗談を言っている場合じゃありません!」


ジンは必死に事の重大さを伝えるが、二人は叱られても肩を竦めるだけである。

美琴は首を傾げながら……ぶっ飛んだことを言い出した。


「その幻獣達ってどの位の強さ?」

「え、どの位?」

「あ、分かりにくかったかな?具体的に言うとレベルの攻撃を受けても大丈夫な子はいる?」

「え?ほ、星を砕く??い、いえ、流石に星を砕くレベルを耐えきれる者はいません」

「あ、なら大丈夫だよ。十六夜に勝てる子は居ないかな」

「な、何を根拠に」

「何を根拠って私は十六夜の幼馴染で、ずっと一緒にいたんだよ?十六夜のギフトがどの位かなんて本人(と金糸雀先生を)除いたら、一番よく知ってるよ」


真面目な顔ではっきりと断言された黒ウサギは思わずたじろぐが………コニュニティの為にもこんな所で使える人材を捨てるわけにはいかない!と思い出し、ジンに五人を預けると、


「……ジン坊ちゃん。申し訳ありませんが、こちらの五名様のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「わかった。黒ウサギはどうする?」

「問題児を捕まえに参ります。ついでに・・・・・・“箱庭の貴族”と謳われるこの黒ウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります!」


黒ウサギの艶のある黒い髪が淡い緋色に変わり、髪を緋色に染めた黒ウサギは空中高く飛び上がり…


「一刻程で戻ります!皆さんはゆっくり箱庭ライフを御堪能ございませ!」


と言い残して、瞬く間に美琴たちの視界から消えてしまった。


「箱庭のウサギは随分速く飛べるのね」

「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属ですから、力もありますし、様々なギフトに特殊な特権も持ち合わせた貴種です。彼女なら余程の幻獣に出くわさないかぎり大丈夫なはずです」


そう、とから返事をしながら飛鳥はジンの方を振り向く。


「取りあえず、十六夜君のことは彼女に任せて、箱庭に入りましょう。貴方がエスコートしてくださるの?」

「は、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一になったばかりの若輩ものですがよろしくお願いします。御三人お名前は?」

「久遠飛鳥よ」

「……春日部耀」

「三上美琴。よろしくね」

「六上零士だ。零士で良いぞ」

「六上令那。令那で良い」


礼儀正しく自己紹介をするジン。

それにならって飛鳥と耀、美琴、零士、令那もジンに一礼をする。


「それじゃあ、箱庭に入りましょう。まずは、軽い食事でもしながら話聞かせくれると嬉しいわ」


飛鳥はジンの手を取り笑顔で箱庭の外門をくくった。美琴も後に続くが、一度黒ウサギが去った方を向くと……いつの間にか眼帯が外され、隠されていた左目があらわになった。その左目の色は赤。右目は青い事からオットアイだと分かる。


……ただ、その左目には瞳孔の周りに"白い緻密な魔方陣"の様な模様が浮かんでいる。十秒ほど上の空の表情で虚空を見つめるように凝視すると、我に返るように瞬きを繰り返した。


そして一言、


「――過保護だねぇ」


と呟くと眼帯を着け直して、飛鳥達の後を追った。




……その左目に浮かんでいた模様は既に消えていた。


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問題児と転生者が異世界に来たようですよ? カナタ @isuk

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