第3話
俺は首根っこを掴まれたが、
ハルが、
「おかしくない!その汚い手を離しやがれ!」
と腕まくりをしながら凄んでくれた。
ハルは空手技のかかとおとしを使い、
藤島を、ドシャッと地に伏してくれた。
このとき、初めて、
ハルが空手をやってることを俺は知った。
「二度と、うちらバンドの大事なボーカリストに手を出すんじゃねぇよ!!」
ハルの怒った顔。
滅茶苦茶こわかった。
絶対に、敵に回しちゃいけない女子だと思った。
藤島は、
黙っていたが、顔を見るにつけ、とても悔しそうだった。
しばらくの間、動けず、その場にじっとしていたんだ。
言い忘れてたけど、
俺らのバンド名は、
Gals plus One。
メジャーデビューを夢見て、夜遅くまで
音楽室で練習していた。
そんな俺らは、
音源を何回となく大手レコード会社に送りつけてた。
101回目に。
俺らの熱意に負けたのか、ついにマネージャーがついてくれることになった。
気が付けば、Gals plus Oneはメジャーデビューしてた。
成人式後の
同窓会で。
俺は中学時代は全然女子からモテなかったが、
はからずも人気者になった。
「サイン、ちょうだい!」
「ね、ねぇ、山吹くん、彼女はいるの?
もし、いなかったら、私と結婚を前提に付き合ってほしいなあ」
「だめよ!あんたはひっこんでいなさい!私が山吹くんと交際するんだからっ!」
俺が女子からモテモテの様子を、
DQN藤島は、苦虫を噛み潰したような顔して
見てた。
近況報告で藤島は現在の自分の状況をもごもごとにごした。なんでも、
藤島は今、大学二浪中だと俺の友人が
こそっと教えてくれた。
予備校に通い、必死になって国立大の
合格を目指しているんだと。
俺はモテモテハーレムパラダイスの渦中にいたが、実はもう籍をいれていた。
だから、この会場にいる誰とも付き合えない。
え、誰と結婚したかって?
かつてのギャルと結婚したんだが、
嫁の名前は春夏秋冬の四人のなかの
誰かだったりするんだな。
同級生に貶められて高校受験に失敗した俺は女子校に入学したんだが、ハーレムパラダイスになることなど予想だにしなかった。 【GALS PLUS ONE】 雲川はるさめ @yukibounokeitai
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