巨大ロボットは愛で世界を救う
参龍 威華
第1話
僕の名前は井狩(いかり)シントウである。少々内向的な中学二年生である。えっ?どこかで僕の名前を聞いたことがあるって?嫌だな、僕は完全オリジナルキャラクターである。
まあ、自己紹介はここまでにして今現在世界がどうなっているのか説明します。謎の巨大生物Shit(シット)の存在によって人類の存亡は脅かされつつあるのである。何せ連中には近代兵器の類が効かない上に得体の知れないビームでありとあらゆる都市や施設を破壊していく始末である。そうである人類は彼らの前では「畜生(Shit)!」と言い放つことしかできないのである。
そして、ついにShit(シット)は日本に上陸してここ箱根に侵攻してきたのである。僕は避難するために現在シェルターにいるわけだがここで自分の人生を大きく左右する出来事が起きるのである。
「誰か男子中学生はいらっしゃいませんか?政府の開発した汎用人型兵器のパイロットを募集中です!志願される方は手を挙げてください。」
そう、それはシェルター生活三日目の出来事であった。政府職員を名乗るスーツ姿の男がShit(シット)に対抗するための人型兵器を製造したからそのパイロットの志願者を探しているそうである。
どうやら政府職員曰くパイロットは男子中学生でなければいけないようである。これは手を挙げないとだめかな?周りをキョロキョロ・・・おっよく見ると周りにも僕と同じ年ぐらいの男子がいるぞ。それならとりあえず手を挙げておくか。きっと日本人ならみんなのために志願してくれるに違いない。それなのに自分ばかり安全なところにいるなんて心が痛い。
「はい!!」
「おっ手を挙げてくれたのは君だけか!今日から君がパイロットだ!!」
噓だああああああ!
そりゃないでしょ!なんでみんな挙げないんだよ!?嫌だ死にたくない死にたくない!
だが大衆は残酷だ。周りの避難者たちは拍手喝采、頑張れの連呼。だが彼らに罪はない。僕がこれからやるべきことは大衆を守るために体を張ることである。あっでも同年代の男子はどさくさに紛れて踏んずけてやろうかな。
そんな感傷に浸っていると政府職員は優しく声をかけてくれた。彼は僕に対して根詰めないでリラックスしながら事に当たって欲しいと言ってくれた。それから流れるように人型兵器の収容されたドックまで僕を送ってからパイロットスーツの着替えを手伝ってくれた。気が付いたころには僕は人型兵器のコクピット内にいた。
「井狩君心の準備は大丈夫ですか?」
政府職員は管制室からコクピットに通信を入れる。
「はい、大丈夫です。」
「では、レクチャーを開始します。わかりやすくシンプルにお伝えします。」
「お願いします。」
「いいか!?敵が見えたらドッガーン!!と一発かましてやれ!それから敵を押し倒してドガンドガンドガン!!とラッシュ連打だ!そして、止めにドッドガーン!!と必殺技をお見舞いだ!そうすれば敵はドドドッドッガーンとなって世界はラブアンドピースで満ち溢れる!以上だ!!」
あんたのそのセンスが異常だ!さっきまでの紳士な感じはどこに行った?あーもーヤダーだが逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ!僕はやけくそでその辺にあったレバーを握る。操作方法1ミリどころか1マイクロも分からない最悪な事態に陥っても僕は戦う!世界とみんなのために!それと隙あらば糞職員も踏み潰す!
ビービー
そんな時だったコクピット内のモニターに警告表示が表れる。何々?何が起きたんだ?
「愛が足りません?」
助かった。そして、人を踏み潰すプランはおじゃんになった。
巨大ロボットは愛で世界を救う 参龍 威華 @daretoku
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