第11話 天国から地獄
別荘に帰ってもっぺんシャワーのおいらと聡シャワー浴びて出てくると
「ジリリリリン ジリリリリン」電話がなった。
雪乃達じゃあちと早すぎるな?
電話の向こうはお袋だった!
「雪乃ちゃん達来てない?」
「来てねえよ!」
「今、雪乃ちゃんと由美ちゃんのご両親から連絡が来て、二人でプール行くって言って出たきりまだ帰って来ないから、もしかして一緒なんじゃないかって。物凄く心配してるから!本当に来てない?」
「本当だって!」
「学君に代わって!」
澤田学、おいらの家の一本隣の通りに住む幼馴染の人格者。温厚で礼儀正しく頭の良いお坊ちゃまだけど、おいら達と馬があって煙草、酒くれえはちょいと嗜むが全く不良じゃあねえ。うちの親ときたら実の息子よっか、学を信用しておりやして。
流石に学も来ていませんと答える始末。
電話が終わり、嫌な予感のおいら。この予感ってやつぁ~いっつも当たりやがる。
「やべえ!大騒ぎになってるみてえだな」
考えてみりゃあ当然の話である。十三、四の娘が、朝プールに行って来るって言ったきり何の連絡も無く十時十一時となりゃあ、心配して騒ぎになるなんざあ当り前田のクラッカーってなもんよ。
おいら達は煙草の吸殻を庭に埋め、酒を隠し万が一に備え床についた。
夜中の一時過ぎだったか?ドカドカドカっと人の気配。
懐中電灯で照らされ目を開けるってえと、おいらの親父と雪乃&由美のご両親よ。
心配でウチの親父に頼んで確認しに来たって具合よ。
人の親にもなりゃあ分かるが、十三、四のガキにゃあ分かるはずもねえ。
またまた嘘の上塗りでござんす。電話の時に「これこれしかじかで御座います」って正直に言ってりゃあ、親御さんの心配もそこで止まったにちげえねえ。
来て見て居なくてガッカリよ。東京に戻るまでの心配は、想像を超えたものになっていたと今なら分かりもいたしやす。
海好きの親父はそのまま泊まり、次の日も一緒に海で遊びやがって、朝昼晩と皆にご馳走して帰っていった。
みんなは皆で金なんかぁてえして持って来てねえから大喜び。晩飯なんざあ寿司に焼肉ってな具合よ。
長年縫製工場の親方で、住み込みの若い衆や女工さんが大勢いて、分け隔て無く食卓囲んでいた時代が懐かしかったんだと思いやす。
色々と御座いましたが楽しい旅行も終わり、
雪乃とは連絡取れず終いに、、、
一ノ宮から帰って二日後、由美ちゃんの母親からウチに電話が!
佐竹商店街のサテンにおいらの母親と一ノ宮に行った全員が呼び出しと相成りました。
由美ちゃんが一部始終を話して(どう話したかは知る由もねえが、、、)
学校に報告するだの、新聞社に言うだのとまるでおいらたちが誘拐でもしたかの様に悪モン扱いでして、まだおいらと聡は分かるが、他の奴等はコレっぽっちも悪かねえ。
娘の行動は棚に上げ、散々罵倒されお袋ときたら頭の上がる暇がねえ程だった。
“おいらを産んだばかりにいっつも頭の下げ通したあ真っ事!真っ事!申し訳御座いやせん”
とりあえずゴジラは、火ぃー吹くだけ吹きやがって満足したご様子だったが、最終的にはおいらが諸悪の根源てえ事で話は終わり、真夏の嵐も収まったがそれ以後4年ほど一ノ宮使用禁止のお咎めが下されました。
おいら一人が由美の家では悪となった為、聡の野郎はそのまま由美と交際は続いた。
おいらの方は雪乃と連絡取れず終い。
後で分かった話じゃあ、ゴジラは娘にゃあ甘甘でおいら一人を目の敵にしていなすったと言う事らしい。
雪乃んちはってえと、一切おいらやおいらの親の事は文句も言わず、娘を謹慎させていたってえ具合よ。
雪乃も事の重大さに気付いて連絡出来ず、おいらからの連絡もきつく言われていたお姉ちゃんが取り次いでくれず、、、
そんな折、学校中のマドンナの玲子から突然の告白。元々仲の良いグループの一人だし、小学生時代に一度だけ玲子を見かけてドキッとしたほ程の美人さん!同じ学校の中なら断トツに心惹かれるお相手。
根っからの色ぼけガキにゃあそっちに真っしぐらてえなりますぁ~な。
八月の頭っ頃から雪乃とはっきりしないまま
、玲子と付き合うことに。
夏休みも終わりかけのある日、雪乃から突然の電話『あんたみたいな最低ぇーな男大嫌い!コレでもう終わり!』
雪乃にとっちゃあ逢いたくても逢えない辛え時に、ほいほいとよその女と二股かけるような男なんざあ用はねえってんで、おいらに別れを告げなさった。
不忍池のボートから丸一年。小四から四年とちょい。雪乃から別れを告げられやした。
玲子と付き合い始めは致しやしたが、雪乃からの完全決別にゃあめえりました。
自業自得で御座います、、、
したっけ、何で雪乃にばれたか後々分かった次第ですが。誠也って仲間がおりましたが、その野郎が雪乃にチンコロ入れたみたいで。奴には先に雪乃の中学の友達を紹介してやって、その娘と付き合いをしてる最中においらの二股話を餌に雪乃に迫ったてえ言うじゃあありやせんか。どうもこの野郎は前々から雪乃の事が好きだったみてえで、ダチを裏切ってでも千載一遇のチャンスを手に入れようとしたゲス野郎で御座いやす。
まあ次の娘にホイホイと行くおいらが一番悪いんですが、身から出た錆というこって。
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