第9話 上総一ノ宮
梅雨も明けりゃあ~待ちに待ったぁ~夏休み
休み入えってすぐ、おいらは野郎七人で外房は上総一ノ宮へ3泊4日の小旅行。
一ノ宮ってのは母方の爺さんの持っている別荘でガキの時分から良く行っていた所。海まで歩いて7.8分の立地で遊ぶにゃあ最高の場所。それぞれの親たちに頼んで子供達だけの海合宿。現地にゃあ誰もいねえって塩梅でやりてえ放題のパラダイス。
この旅行が決まってすぐ、雪乃に話すと
『ズルぅ~い』『あたしも行きたぁ~い』『道ちゃんに言ったじゃないっ!今年の夏は絶対海行こーねって!』
案の定ご機嫌斜めと来たもんだ!
「聡も来っから、由美ちゃん誘って来っか?泊まりは無理だろうから日帰りで来りゃあいいじゃねえか?錦糸町からなら一時間ちょいで着かあな」
『うん 由美に聞いてみるから聡くんに言っといて!』
怒ったと思いきやすぐさま上機嫌たあ~忙しいやっちゃなぁ~と独りごち。したっけそんなこたあ想定内よ。聡にゃあ先に了承済み。
聡の野郎なんざあノリノリであ~しようこ~しようって盛り上がり半端ねえ有様よ。
雪乃も由美ちゃんに聞いてみるってえと二つ返事でOKってことよ。
双方盛り上がっちゃあいるが、残り五人の野郎の事も考えて当日まではシンネコってえ次第で。
前日の昼間、清洲橋通りを神田方面に向かって蔵前橋通りをちょいと過ぎたニューエンゼルってえサテンで、コーラを飲みながら雪乃と打ち合わせをした。因みにニューエンのコーラはめちゃ旨い。おいらが使ってるサテンは未成年者の喫煙を見て見ぬふりをしてくれる店だけで御座います。
「おいら達は明日の朝行くから、雪乃達は明後日の朝な!」
『うん。東京マリン行くって言ってある』 「そっかあ。これ一ノ宮の電話番号。無くすなよ!」
『無くす訳ないでしょ!』『早く明後日にならないかなぁ~』
こうゆう時の女って奴ぁそこだけに集中しやがる。ただ一緒に海で遊べる!楽しい!って「あのよう、錦糸町からなら一本でいけるから分からなかったら駅員に聞くんだぞ!」
『子供扱いしてぇ~』『道ちゃんよりあたしの方が電車使ってるんだからね!』
「そっか」納得したと思いねえ。
「一ノ宮駅からぽんぽん船の案内出てるから
それに乗りゃあすぐだから、何時に出るとか一ノ宮に着いたら電話するんだぞ!」
『もお~道ちゃんうるさい!』『何度も言わなくても大丈夫!』『でもぽんぽん船楽しみだなぁ~』
当時は一ノ宮海岸も賑わっていて、駅の側の一ノ宮川で海岸河口口までぽんぽん船が往復していて沢山の人の足になっていた。
『この間、お姉ちゃんと三愛行って水着かってきたんだぁ~』
「ふぅ~ん」興味津々だけど、そこは江戸っ子素知らぬ振りで。
『何よぉ~道ちゃんの為にお姉ちゃんに付き合って貰っていっぱい試着して選んだんだから』
「あんまり際どいやつじゃあねえだろうな?そういうのだと他の男がジロジロ見んだろ、そういう奴等は片っ端からぶっ飛ばす!」
『わぁ~ヤキモチ妬いているぅ~道ちゃん可愛い!』
当日、おいら達はウチに集合して浅草橋から行くことに、皆は海に行く格好なのに何故だかおいらと聡だけはお洒落してやがる。おいらは白のボーリングシャツに麻のバギートップ。聡はE.YAZAWAの黒のTシャツに白のバギートップ、海水浴じゃあ御座いません。
無事に一ノ宮に着き、ぽんぽん船に乗って別荘まで。その日は解放感を満喫!野郎だけの一日を楽しく過ごしたと思いねえ。
あくるっ朝、電話で目覚めた。
「おう、分かった。気をつけてな!」「うん、着いたら連絡入れてな」雪乃からだった。
「今錦糸町でこれから向かうって」
「やべえ、寝すぎた!」
慌ててみんなをたたき起こして布団を干し。ろぼ公と聡は流しの片付け。他の野郎は掃除ってな具合いで迎える準備。誰一人嫌な顔見せずやってくれてやがる。
猛が買出しに川沿いの店まで行ってくれた。
暫くするってえと通りの向こうから聞き覚えのある可愛い声がするじゃあ御座いませんか?猛が飲み物と一緒に雪乃と由美ちゃんを連れて帰って着やがった。
ぽんぽん船の到着場は買い物行ったお店の真ん前で、雪乃の野郎は脅かそうと駅から連絡要れずに来たって寸法よ!
『道ちゃ~ん』『着いたよぉ~』
一ノ宮海岸てのは九十九里浜の南の一番端っこ。遠浅で砂浜の広え海岸、波は高く引きの強えーってんで泳ぐってえよりゃあ波と遊ぶってえ海だな。
今じゃあ砂浜が侵食されちまって、テトラとかっていうコンクリの化け物みてえのに囲まれちゃあいるが、当時は水平線が何処までも続いて居る開放感溢れる海で御座いやした。
そんな開放感溢れる海岸に!
『道ちゃ~ん』『早くぅ~』『浮き輪!浮き輪!』
七十年代アイドルにだって負けねえくれあキラッキラ輝いてる雪乃が波打ち際で浮き輪をおねだりしてやがる。
三愛で買ったばかしのビキニは先に東京マリンで見たビキニより数段大人っぽく見えるのは海の開放感だけじゃあ御座いやせん。
白地にブルーの花柄、ふちにゃあブルーのパイピングが施してあるビキニ。水着じてえも大人っぽいが、一年の月日ってやつあ少女をいっぱしの女に変えちまいやがる。おいら達男子の何倍も大人になっちまうてえ有様よ。
このまま置いてけぼり食らうんじゃあねえかって独りごち。
「おう」「あっちぃ!あっちぃ!」「よくこんなあっちぃー砂浜裸足で来れんな!」
真夏の焼け付く砂浜
『裸足でお神輿担いでる人がぐちゃぐちゃ言わないの』『鳥越様に笑われちゃうよ!』
こういう時の雪乃ときたら、おいらより江戸っ子丸出しでそのギャップも愛らしいや。
『へぇ~この浮き輪トッテが付いてるんだ』
「先に親父達と来た時にこっちで買ったヤツだからな!波遊び用なんじゃあねえか!」
みんなはオイル塗って甲羅干し。
聡と由美ちゃんは波打ち際で穴掘りしてらあ
『あの辺りなら大丈夫だよね』
「ああ」
浮き輪片手に雪乃と手え繋いで、波の立っているちょい沖へ向かったと思いねえ。
「うわぁ~」
『わぁ~い!きゃあ~!楽しい~!』
雪乃は上手く波に乗って浅瀬まで。
『あれぇ~道ちゃ~ん?』『、、、大丈夫?』
おいらは雪乃を波に乗せる為、浮き輪を押して波に飲み込まれたって有様よ。
ここんちの波はとんでもねえ代物よ。飲まれながら身体が何回転もしやがる。まっそいつがおもしれえとくりゃあ何度もやっちまう。
『大丈夫だった?』
「全然平気よ」
『すっごい楽しい!』
「雪乃!コッチ来い」「いいから早く!」
『何よぉ~どうかした?』
「ほらっ」って言って雪乃のビキニのブラを直してやった。
『出ちゃってた?』
「ちっとな。おいらしか見てねえから!おいらしちゃ見ちゃならねえから」
『ありがと』
『じゃあ今度は一緒に乗ろ』
今度は雪乃を先に浮き輪に乗せておき、おいらがその上に覆いかぶさるってえ具合で。
「おっ来たぞ!よぉーし行けるぅー」
『すっごぉーい!すっごぉーい!』
『こんなとこまで来ちゃたぁー』
去年と全く違う!完全にレディの身体。
覆い被さったときに雪乃の尻が、、、
気持ちいい!とにかく気持ちいい!
「雪乃?」
『何?』
「お前、オッパイもお尻も大きくなったな」
『なにその助平親父みたいな顔!』
「生まれつき顔だ!」
『道ちゃんだって去年より肩ガッチリして胸だって厚くなってるじゃない!』
「てことは、そろそろだな!」
『馬鹿!』
ついつい沖まで行く間、ジャレながら抱きついてるおいら。
『今度、二人っきりで来れるといいね』
「今度は二人っきりで来ような!絶対」
大きい波に乗って波打ち際まで。
「ちょいと休もうか?」
『道ちゃんそこに敷いてあるヤツ使って!』
『タオルも横にあるでしょ』
『道ちゃんコーラでいい?』
「ああ頼むわ」
その後はお互いにサンオイルなんざあ塗りっこして、、、
『ちょっと道ちゃん!なんでパンツの中までオイル塗るのよ!』
「手が滑っちまっただけだろが!ツルッツルしていけねえな!このオイルってやつぁー」
『小学生か!お前は』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます