第7話 華の中二

校内喫煙所や土曜日の定食屋とか色々とおせえーて貰った三年生たちも卒業して、晴れて華の中2と相成りました。

中ラン、ズンドウも板についてくりゃあ今度は他校のお姉ちゃんからもお声がかからあ。


先に話していた沙耶が隣の中学校に通っていて、そこのズベ公の君枝がおいらと付き合いたって言うじゃあ御座いやせんか。君枝ってのは原宿で竹の子族やっていて学校にゃあろくすっぽ行ってねえズベで、やりマンってえ噂は聞いていたが、どうも連陸(台東区立中学校連合陸上大会)で応援団(旗手)のおいらを見かけたらしく、沙耶にしつこく頼んでいたってえ調子よ。


春日通りを御徒町に向かって佐竹商店街の入り口を過ぎて一つ目の信号手前角にセピアってサテンがあって、そこで沙耶と君枝と待ち合わせ。好奇心旺盛なおいらは、どんなもんか合わずんばならねえ男意気ってな感じで待ち合わせのセピアまで行ったと思いねえ。


「おう 待たせちまったか?」

入り口右手端の席に2人並んで座ってらあ

「アイスコーヒー!」

対面に座ると、沙耶が紹介しやがる。

『西山君枝』  

『君枝です。すみませんお呼び出ししちゃって』

聖子ちゃんカットに派手な化粧は決っしてブスじゃあねえが品がねえ。薄いピンクの柄入りTシャツに白のカーディガン羽織って紫色のテカテカしたロングプリーツのスカート、シルバーのラメ入りヒールのツッカケ。

派手すぎじゃあ御座いやせんか?目の縁にゃあ赤なんざあ塗りやがって歌舞伎役者かおめえは?と独りごち。

連陸の時に一目惚れしたの何のと、初めはまだ猫被っていやがったが段々と地が出て来なすった。煙草の吸い方、話し方に所作なんざあズベ公丸出しとくりゃあ、おいらは減なりおいらといやあ、てめえの事は神棚より高く上げて、一緒にいるおなごは粋で綺麗でセンスがあって気配り上手の床上手。みんなから羨ましがられねえと嫌ってえ見栄っ張りよ。


真っことズベ公だけはご勘弁って事で、彼女が居て今は他とは付き合えねえからって言ったら、この君枝って女はすげえや。間髪入れずにこう言いやがった『あたし彼女が居ても全然平気だから』と来たもんだ。


今時ゃ何にも無しんこで終わったが、中3の二学期頃にゃあ4、5回お邪魔したってえ有様よ。ダチの中にも卒業間近で君枝に筆下しをして貰った野郎もいて、どんだけご近所さんに兄弟がいるかあお釈迦様でも分かるめえ


後日、沙耶から連絡があって、君枝は益々おいらが気に入ったとか抜かしてたらしいが、、、

『道ちゃん、雪乃と付き合ってるの?』って沙耶に聞かれ、沙耶も小学校は一緒だし雪乃が住んでる集合住宅にも以前住んでいて、小せえ時分は雪乃とは仲良しだった。

「あ~付合ってるよ」 

『ふ~ん そぉ~なんだ』

「何で?」

『別に』

コイツともこの後色々と、、、おいらの人生の波乱万丈はこの時分からのこって。

あらためて雪乃の良さを再確認出来た、ちょいの間下心丸出しの出来事で御座いやした。


雪乃とは相変わらずのB止まりでしたが、周りには童貞しかおらず、焦りもなく満足しておりやした。


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