【年の瀬、新春特別大企画】 おバカの里 第三回
皆様、あけましておめでとうございました。🐉【年の瀬、新春特別大企画】おバカの里 第三回🐉にご参加いただき有難うございます。今回は21名のおバカな作者の皆様がたにお集り頂けました!
→ https://kakuyomu.jp/user_events/16817330668508387317?order=published_at#enteredWorks
おバカ企画が大好きです。他のシリアスなテーマの企画ですと、いくら批評的な読み方だけはするまいと自ら戒めていても、つい、文学性とか完成度とか文章の巧拙などに気が行ってしまうのに、おバカ作品なら凄くても凄くなくても、上手でも下手でも、好みでもお呼びじゃなくても、純粋に一読者として楽しめてしまうのです。いくら賢い部類の人間を装っていたくてもダメですね。すぐにメッキがはがれてしまい、笑いまくっている自分に、「どこがお利口じゃ」とツッコミを入れずにはいられなくなってきます。お利口よりやっぱりおバカが良い。今年もたくさんの驚きとズッコケに
さて、今回はズバリ、次の二つの作品にハートを射抜かれました。一つは世の終りが来ても命がけで守り抜きたい人類遺産、他の一つは心中するならコレ、というアホ可愛さです。
∮ まず、みすたぁ・ゆーさまの【手芸部の不器用な幽霊部員が『チンなんとか』のぬいぐるみを作って文化祭で展示したら伝説になった】。
→ https://kakuyomu.jp/works/16817330653975810110
底抜けプッツン娘がお父さんを犠牲に「チン何とか」の縫いぐるみを作り上げ、母校史に伝説を打ち建てます。「私」こと、この「
∮ かたや、田舎師さまの【アホの子は転生してもアホでした】
→ https://kakuyomu.jp/works/16817330653962708305
少女ギャグコミックも顔負けのおマヌケ大バトル。天然モヨと紙一重マリカの壮絶なアホバカ対決です。「一ノ瀬モヨは、正真正銘アホの子である。」という取っつきの一文で、すでに作品世界の
以上、いずれ甲乙つけ難い二名作でしたが、ある意味では対照的な面も。みすたぁ・ゆー作品には、必ずしも趣味に沿わない人が読んだとしても、それなりに感心できるであろう文学的普遍性がありますが、田舎師作品にはそれが全くないような。いや、実はある?ともあれ、読み終えた時、この迷惑おバカがうちの娘でなくて甚だ幸運だったと胸をなで下ろしたのが
所で、今回は、ご寄稿作品以外のところでも、思わぬ嬉しい出来事がありました。企画参加を判断して頂く際の参考までにと企画内容の最後にURLを置かせて頂いていた自作「ある晴れた日に」(今回のゲスト・コメンテーターのおひとり、崇期さまの自主企画「笑いのヒトキワ荘」最終回への参加落選作品)に、田中ざくれろ様(今回、「つぎはぎUFOと、はりぼて神神」で再度のご登場)より過分なコメントやレビューをお寄せ頂けたのですが、その中に「脱力」の嵐というお言葉があり、それを目にした瞬間、「あぁ、そういうことだったんだ!」と見事に得心させられたのでした。笑いへの好みとして、自分の中にそういう方向性のあること自体は漠然と気付いてはいたのですが、うまく言語化できないままであったところ、もやもやと漂っていたものがこの一言にスッと集約されて行く思いでした。本当に有難い、自己確認の瞬間でした。
∮ さて、おしまいに、できることならスルーしたかったのですが、この「ストックブック」史上初の試みとしまして、絶対にお薦めしたくなかったとんでも作品をひとつ、渋々ご紹介いたしましょう。ご本人の名誉のためにタイトルも作者名も明かせないのが残念ですが、「チンコ」とか「金玉」とか書かれていました。何てはしたない!(←て、はしゃいでしもてどうすんねん⁉)
→ https://kakuyomu.jp/works/16817330647678226824
登場人物たちが必死な分「客観的おバカ」が際立っていますし、作者の才も十分発揮されてはいますが、いくら「a man with NO mission」や自薦句集「ハズレ」の作者さまでも、上品なこの友未が許しません。ダメ星三つです★★★。退場‼バレンタイン・デイに突然おフェラ作品が読みたくなったという向きには、自己責任でご勝手にどうぞ。
それでは、続きまして、今回、ゲスト・コメンテーターとして初のご登場を快くお引き受け頂けました森緒源さまからのご感想に移らせて頂きましょう ——
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森緒 源です。
今回のおバカの里企画、参加作品を何点か拝読しました。
その中で
∮ 紙月三角さんの【百合の恩返し】
→ https://kakuyomu.jp/works/16817330663459924864
が面白かったので、コメントさせて頂きます。
何が良いかって、まずは内容のバカバカしさ、くだらなさが最後まで徹底していて清々しい読後感でした。
「何たらの恩返し」なんていうと、それとなく倫理的なメッセージめいたものが作品に含まれてそうな感じがしてイヤラしさを覚えたりしますが、この作品には何の倫理的主張もなく、むしろ恩返しと言うより恩をアダで返す顛末に筆者の粋でイナセな作風を見ました。
おバカの里の作品はこうでなくっちゃ!と思いました。
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さてさて、もうおひと方、前回のおバカの里第二回に引き続きまして、二度目のゲストコメンテーター就任を此の度も快くお引き受け下さいました崇期さまのご感想を拝聴して、今回のストックブックを締めさせて頂きます。
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暗君に逆らえば殺される、しかし従えば共に魔道に落ちる……ということで「狂人」のふりをして我が身の正義を貫いた古代の人物がいたらしいです。
「バカ」も偉大なり! いや、バカこそ、世界を救わなくても私を救ってくれる──ということで、自主企画「おバカの里」の第3回が開催され、再びゲストにお呼ばれされた私は狂人になることなく幸運を手に入れられたようで、気持ちは「激ヤバ」です。(←この発言で少しはおふざけできましたでしょうか? 判定をコメントにてお待ちしております)。
カクヨムユーザーの皆様、お疲れ様でございます。素敵な作品を読ませていただきまして、ありがとうございました。主催者様の眼力の鋭さに臆することなくご参加くださったことに感謝いたします。
今回、特に好きだったものを三作品と+1、計四作品挙げさせていただきました。すべての作品に応援・評価が送れませんで、それについても「ごめんなさい」ということで、また別の機会にお目にかかればぜひ読ませていただきますね。
◯熱中すると周りが見えないおバカさん
今回の参加作のなかでダントツに気に入りました作品は、
みすたぁ・ゆー様作
手芸部の不器用な幽霊部員が『チンなんとか』のぬいぐるみを作って文化祭で展示したら伝説になった
→ https://kakuyomu.jp/works/16817330653975810110
です。
私の感覚では「おバカ度」がすごい高い……というよりも、文芸作品として際立っていたことと、手放しに「おもしろい‼」と言えるギャグの丁寧さが高ポイントでした。
まあ、主人公が「一生懸命になると周りが見えなくなる」というタイプの子ですね。律儀に友との約束を守ろうとするのですが、根が不器用なのか基本的にズレてるのか、そこが「おバカ」で、展開するホラーとか狂気も予想外なレベルで、笑いがこらえられませんでした。
>「そんなことよりホットミルク、ホットミルク~♪」
ここの切り替えが鮮やかすぎ。このセリフ以前に何があったのか、ぜひとも本文をご確認ください。落差を味わってみてほしい。こういうタイプでも一応女子高生なんだな、としみじみ思いました。最近読ませていただいた笑いの小説の中でもずば抜けて印象に残った、すばらしい作品です。
◯落語家風? 不条理おバカ
闇雲ねね様作の
たいとる
→ https://kakuyomu.jp/works/16817330668762670516
これも非常に大好きな作品でした。私好みですね。前世がヤギという語り手の口調に魅力があって、いいテイストをかましていました。かわいらしかったですね。どことなく、おバカというより「アホ」がぴったりくるような感じの内容かと思います。
文に「座布団一枚」とか「高座に立つまで」とあるので、ヤギさんはやっぱり落語家さんなのかな?
とにかく、ハチャメチャな展開とはいえ、青年の決死のラブレターをうっかり食べちゃった、というラブコメ的な本筋もありますし、終始一貫性は取れていたので不条理な匂いはしますが明るく楽しめました。
一番好きだったのが最後みんなで走っちゃうところ。このシーンがあるかないかで私の中の評価はガラリと変わったと思います。こういうバタバタした感じで終わるのが理屈抜きに好きなんですわ〜。森山直太朗さんの歌の合唱も登場人物たちには皮肉に響く感じで、いいですね! それでも作品自体に悪意っぽいキツさがまったくない。そこが一番好きだったかな。
作者の闇雲さんの別作品『世界の真実』も以前に読ませていただき、人類誰もが知っている「鳩」に関してああいうアプローチ、説をはじめて読んだので衝撃を受けまして、以来、とても気になっている作家さんです。また新作もどこかで読めたらうれしいです。
◯作家ならではの逆転の発想
平中なごん様作
人ごみが嫌いなら「人がゴミのようだ」と思えばいいじゃない
→ https://kakuyomu.jp/works/1177354054894321955
こちらも取りあげさせていただきたいと思います。あまんじゃく、へそ曲がり作品……なのかどうか、とてもおもしろく読ませていただきました。
人ごみ恐怖症の語り手が、『天空の城ラピュタ』の悪役の有名シーンから発想を得て、怖くなったとしても人間どもを「ゴミ」だと思えばいいんだ! ということで克服する、というユニークなお話。
ムスカ大佐ですか? 私も作品を視聴していたときに、あそこまでの悪役がジブリ作品に出るのはめずらしいな、と思ったくらい、ほとんど吐き気をもよおすくらいのひどい人物だった記憶があります。
作中に歴史的ワードを散りばめて結構作り込まれておりますし、エッセイ風で身近に感じやすいことと、オチまでも雰囲気を崩さないままに決まっていて好きでした。以前もネット記事で、子育ての大変さをムスカ大佐のセリフをうまく利用して楽しむ……みたいなのがあったのですが、またもや人気(?)のムスカ大佐──とはいえ、イメージの力を使って弱点を克服する、というのが創作者らしい発想で、そういうテーマにした功も評価するべき! と私は思います。
◯タイトル見事にマッチしていますよ
つくお様作
スタンド・バイ・ミー
→ https://kakuyomu.jp/works/16817330647678226824
おバカな者たちの青春ストーリーですよね。「おバカ」を論点として評価するならば、こちらは登場人物たちのキャラクター、行動がテーマに見事に合致している作品、という気はするのですが、文中にあります「お◯◯◯◯ちゃん」という女性のこととか「彼らの目的」について、私も言及するのがちと難しいと言いますか、それナシで行ってみようと思いますけど、つくおさんらしい、人間をありのままに浮かびあがらせる非常にオフェンシブで小気味いい文体も存分に楽しめましたし、少年たちのバカっぷり「台風が来ていてもお構いなし」な青春シーンは、誰しも経験……はなくとも、そういう人間のバカさ加減への共感は十分にできるのではないでしょうか? エピソードタイトルも簡潔でありながら絶妙で、「スネ夫、お前もか」が一番のお気に入りです。
一万文字以上の作品でしたが、しっかりとユーモア&コメディを楽しめました。そういうところ、つくおさんは絶対外さない作家さんだと思っていますので、当然といっちゃあ当然なのですよね。しかし、友未さんが企画から外さないでくださって、よかったです!
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