第16話
*
授業が始まった。
通常の授業は中学からの延長って感じだった。
でも、俺にとって問題なのは異能関係の授業の方だ。
通常の授業に加えて、この学校には異能関係の座学と実習がある。
座学の方は問題はない、ただ授業を聞いていればいいので普通の授業と変わらない。
まぁ、異能の知識がないので筆記テストは厳しそうだけど。
そして、一番の問題は……。
「それではこれから異能実習を始める!」
始まっちゃったなぁ異能実習……。
異能実習は自身の異能と向き合い、正しく使用するための実習だ。
実習は実習でもコースが三つに分かれる。
主に戦闘を目的とした戦闘コース。
人命救助などを目的とした人命コース。
製造などを目的とした製造コース。
「今から君たちの異能を見せてもらい、それぞれのコースに振り分ける。以降はそれぞれ分かれての実習になる」
大型の屋内グランドに一年生全員が集められた。
今から俺たちの異能を見て振り分けをするらしいが、俺は何コースになるのだろうか?
水を操るだけの異能だし、戦闘コースではないと思うけど……。
「さーて俺はどこのコースになるかなぁ~」
「風太は風系の異能だろ? 戦闘コースじゃないか?」
「そうだといいんだけどなぁ~。水面はぶっちゃけどこのコースがいいの?」
「え? あぁ、俺はまぁ……」
正直戦闘コース以外なら何でもいい。
俺はこの学校に自分の異能と向き合うために来たのだ。
別に異能を使った戦闘を学びたいとかそういう目的で来たのではない。
俺はこの増えた異能について知りたいのだ。
「あ、与那城君!」
「ん? 幸城、どうかしたか?」
「いやぁ~、なんか空野君と仲良く話してるからさぁ~気になって来てみたんだよぉ」
「なんだよそれ」
「お前、幸城さんと知り合いなのか?」
「え? あぁまぁ、前にいろいろあってな」
「入学してからの与那城君の友達一号なんだよぉ~」
笑顔でそういう幸城を見て風太は鼻の下を伸ばしていた。
そして風太は鼻の下を伸ばし切った後、風太は俺の首を持って耳打ちをした。
「お前! 入学して数日でクラスのマドンナになった幸城ともう親密になってるのか!!」
「いや、別に親密ってわけじゃ……」
「お、お前も幸城さん狙いなのか?」
「いや、別に狙っては……」
そんな話をしていると、先生に肩を掴まれてしまった。
「お~いお前らぁ~、話聞いてたかぁ~?」
「い、いや……」
「す、すいません先生」
土田先生は俺たち二人の肩を抱き、そのまま不気味な笑顔を浮かべて言う。
「そうかそうか、お前ら昨日も俺の話を聞かなかったなぁ~。そんなに俺の話はつまらないかぁ?」
「そ、そういうわけじゃ……」
「す、すいませんでした!!」
今度は一年生全員の前で叱られてしまった。
あんまり目立ちたくないんだけどなぁ……。
てか、先生めっちゃ怒ってる。
肩掴む力もかなり強いし……。
「まぁ元気なのはいいことだ……よろしい、お前らから異能測定を開始しようか」
「「へ?」」
「ほら、いくぞ」
「え?」
「い、一体どこに?」
先生はそう言いながら俺と風太をグランドの中央に連れてきた。
周りには一年生が俺たちを囲むようにして立っている。
「異能測定は異能者にどんな力がどの程度備わっているかを見るものだ、異能とは人それぞれ違う、同じ系統であっても全く違う能力もある、だから一人一人どのような異能を持っているかを調べる必要があるが、それは健康診断でもすることだ」
確かに毎年の健康診断でも同じようなことはしていた。
「だが、この異能測定は健康診断の簡単なものじゃない! 一人一人の異能がどういった分野に適しているかをしっかり見極める! なので……」
先生はそう言いながら、右手をかざし俺達に向ける。
「リジェクション」
異能戦線 Joker @gnt0014
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