「忌み地より…」
低迷アクション
第1話
神奈川県湘南地域、観光名所にもなっている城の付近は、かつて刑場跡(処刑場)が
多くあった。また、江戸時代には、泥棒や殺人を犯した犯罪者達の逃亡先にもなっていたと言う記述がある。
それにも関わらず、この付近に関する怪異譚や曰くの土地等の噂は実に少ない。
作家の夢枕〇氏は、ここでの生活を本にしており、多数の怪異譚を記しているが、
内容は学校で自殺した少女の霊や、不慮の事故で亡くなり、さ迷う者たちの物語だった。
では、本当に何もないのか?刑場があった当時は街道まで、血と遺体が蔓延したこの地で…
ごみ収集業に就く“Y”の話である。
「何やっても、すぐ潰れる地域があるんだよ」
彼が担当する、収集エリアでは、飲食店やコンビニなどが出来るも、閉店してしまう所があると言う。
「住宅地に、マンションとかもあるけど、人が入ってる様子がない。店もすぐ潰れるから、
ごみも少なくてゴーストタウン…まぁ、田舎じゃ、よくあるな。人も何人かは住んでるらしいし…とりあえず、仕事は楽だから、別にいいけど…」
しかし、地元民は絶対住まないし、店舗経営者達は全員、他所の土地、県の者に限られている。市や県の移住先、子育て、生活支援等の保障も含め、ここを中心にしている事実がある。
「思うんだけどさ。この地域の事は県も知っていて、わざと他所の人間とかを住まわせてると思うのよ。だから、おたくが言う刑場跡の話とか、ホラー系は出てこない。隠蔽されてる感じでさ。
ここは県の忌み地…っていうか、そーゆう、障りを全部引き受けてる場所…
影響受ける用の生贄集めてさ」
バカげてると思うだろ?と笑った後…
“心当たりがある”
とYは言った。
「こないだ、ゴミ集めて、帰ろうとしたらさ。何か声かけられた気がしたのよ。振り向いたら、空き地とか、建物のあちこちから“人”が見てた。すぐ、消えちゃったし、
靄掛かったみたいによくわからんけど、顔中刻まれてる奴、首無い奴もいっぱい…
その他は何かよくわからない奴…
アイツ等、ゆっくり足進めてた。出たがってる。自分達の恨みとか苦しみをぶつける相手を探して…初めは通行人…次は俺等みたいな現場職、その次は…」
Yは転職を考えている。他県への引っ越しもだ。
「今にきっと大変な事になる。今まで、押し付けてきた、見て見ぬフリ、臭いモノに蓋が
通用しなくなる。その時、ここはどうなる?」
最後に、彼は泣き笑いの顔で呟いた。
「俺は怖いよ…」…(終)
「忌み地より…」 低迷アクション @0516001a
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます