あとがき

拙作、『月桃館五〇三号室の男・番外編三・冬の旅』を最後までお読みいただきまことに有難うございます。

 本作は本編第二弾『密林に消えた貴公子』と第三弾『天譴の山』の間でのエピソードでありまして、本作のキュートでデンジャーなヒロイン、シスル嬢の姉の墓をお参りに行くと言うだけのお話です。

 この作品の目論見は実は二つございまして、一つは本編第一弾である『黒衣の刺客』で描かれたシスル嬢の行動についての穴埋めです。

 チートな戦闘少女の彼女が、なんで間違った目標を攻撃してしまったのか?姉の形見を受け取った時にしっかりと情報を仕入れなかったのか?その辺の説明不足を置きなうため、墓参りをする過程でライドウが自分の中の疑問として彼女に聞くという形を取りました。

 少し卑怯なやり方かもしれませんが、ご容赦くださいませ

 もう一つが世界観の説明をする場を作りたかったと言う物です。

 中には本編で長々と世界観を説明する方もおられますが、それはあんまりスマートではないなと思うので、登場人物が旅をする中でこの世界のあり様を見せていこうと考え、ロードムービーみたいな形式をとりました。

 ここで説明したかったのは、この物語が戦後であると言う点と、民族紛争の萌芽が始まった時代であると言う点です。

 よって戦災孤児や息子が戦死した夫婦、民族紛争の勃発を危惧する女経営者(実は諜報員)というキャラを搭乗させ色々語らせた次第です。

 なお、物語に直接関係は有りませんが、この列車の旅の設定は、シベリア鉄道をだいぶ参考にしました。

 客室が男女別でないと言うのはそのままシベリア鉄道のシステムを持ってきております。

 それにしても、私は鉄道ファンと言う訳では無いですが、夜行列車とか寝台列車とかが無くなってしまったのは寂しいと思います。

 あれほど旅情を掻き立てる交通手段は無いと思うので。

 

 さて、現在本編第四弾も構想中ですが、このような番外編もいくつか考えております。

 シスル嬢の二年間の放浪期間中なにが有ったのか?とか、ライドウ少佐の過去の戦いの話もまた書きたいですし、セツラ少将の過去、月桃館の女主人マダムユイレンさんと戦死したご主人の物語も一度やらねばとも考えてます。

 もし、その辺の話を書く事になりましたら、本編共々よろしくお願いいたします。

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月桃館五〇三号室の男 番外編三 冬の旅 山極 由磨 @yuumayamagiwa

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