4
いつもより冷えるある日の夜更け。
洗濯物が一杯に入った洗濯籠を抱えた裕太と優菜は夜道を照らすコインランドリーへ来ていた。中では数ある洗濯機の内、二つが回っており入り口の右手には男性二人と女性二人が椅子に座っていた。
「あっ、裕太さんこんばんわ!」
すっかり聞き慣れたその声に裕太は椅子の方へ顔を向ける。
だがそこには知ってる顔の他に初めて見る人の姿もあった。
「茉奈さん、真人さんこんばんわ。その人たちは?」
その問いかけにまず真人が先に口を開いた。
「この人が俺の同棲中の恋人」
真人は隣に座る少し童顔の男性を手で指した紹介した。その相手に裕太と優菜は内心の一驚を零してしまった。
だが真人はそんな二人の反応に特別何かをいう訳ではなく慣れた様子で返す。
「そう。俺、ゲイなんだよね」
「――そうだったんですね。すみません。勝手に彼女さんの話をしてるとばっかり思ってました」
「いいよ別に」
「でも別に驚いただけで僕は全然、気にしないですからね」
「分かってるよ。あんたはそんな人じゃないって事ぐらい」
裕太はそれから視線を隣の茉奈へ移した。
「という事はもしかして茉奈さんの恋人って」
「そうこの子。私はレズビアンなの」
「俺もさっき聞いた時は吃驚したよ。話を聞いた時は同じように彼氏の話かと思ってたから」
「それは私もですよ」
「でも今日は二人共どうして恋人さんと一緒に? って僕もですけど。僕はたまには一緒に行こうって彼女に言われたからですかね」
その質問にみんなの視線が一度裕太に集まった。そして茉奈と真人は一度隣の恋人と目を合わせてから口を開く。
「そう。たまにはって思って一緒に来てみたんですけど」
「まさか二人も同じだったなんてな」
「面白い偶然ですね。あっ、そうだ。折角なんで紹介してくださいよ。まずは僕から――」
そして全員が挨拶を交わした六人は洗濯が終わっても少しの間、その場所で話し続けた。
そんな六人が次に真人らの家に集まったのはまた別の話。
―完―
愛=愛=愛 佐武ろく @satake_roku
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