荒唐無稽神出鬼没百花繚乱な惑星種族

PianoRobot

1話完結

「はぁ~それにしても退屈だ。何かもっと面白いワクワクドキドキするような惑星は見つからないかなー」

 ここは宇宙船の中。操縦席には、暇すぎて死にそうな船員が2人。ただっ広い宇宙で、まだ発見されてない知的生命体を探索するのが船員たちの役目だ。

 平船員は、退屈しのぎにホログラム型の雑誌のページをスクロールさせながら、そう呟いた。

「まぁそうそう見つからないでしょ。我々と似たような生存環境にしたって、文字通り星の数ほどあるんだから。」

 リーダー船員は、あくびを漏らしながら、窓の外の宇宙空間をぼんやり眺めている。

「そういったって、ここのところ全く収穫なしですよ?大丈夫ですかね。生命活動を維持できる惑星すら全然見つかってないじゃないですか。」

「まあ平気だよ。そもそもこの任務だって、エリア的に新発見を期待されてるわけでもないし。」

 そんなやり取りをしていると、突然、ピコーンピコーンという通知音と共に、惑星発見システムのアナウンスが流れた。

「ワクセイハッケン、ワクセイハッケン、セイメイタイ・ソンザイ・カノウセアリ・・・」

 半ば寝っ転がって椅子に座りながら次の暇つぶしは何にしようかと途方に明け暮れていた2人の船員たちは、飛び起きてその惑星が映し出された操縦席の映像を確認した。

「お、久々だな。どんな惑星かな?」

「楽しみですね、どうか友好的な知的生命体がいますように。」

 宇宙船は何度かワープを繰り返し、そのターゲットとなる惑星上空の宇宙空間までたどり着いた。

「早速探査船を送り込んで、偵察させましょう。」

 すぐに、母船の下のほうから、その惑星の地上に向かって無数の探査ドローンが出動した。



それからしばらくした後。

 探査ドローンからの収集データと回収物をもとに、平船員はリーダー船員に報告しにいった。

「先日の探査ドローンからデータなどから、この惑星の生態系についていくつか興味深い事実が判明しました。まずはこちらの映像を見ていただけますか。」

「ふむ。どれどれ。」

 平船員は、腕に取り付けられたプロジェクターから、ブーンという起動音とともに目的の映像を空中に投影させた。

 その映し出された場所は、人工的な道や建造物が立ち並ぶ環境だった。道は、舗装されているようでこの惑星の住人の移動用と思われる道が放射状にいくつも広がっており、その道のわきには無数の幾何学的な建造物が立ち並んでいる。

 時間帯としては夜に該当するようで空は暗いが、それらの建造物からは無数の光が放たれており、これらが生活するために必要な明かりであるようだ。

 そしてなんといっても注目に値するのは、その道を覆いつくすように闊歩するこの惑星人たちの姿だ。

 体の構造は頭と胴体、四肢があるようで、そのほとんどの個体が二足歩行している。

 が、興味深いのはまずその頭部の構造だ。ある個体は白いつるつるとした触感と思われる材質で黒い眼が以上に大きく、口が終始開きながら歩いている。またある個体は、体全体が緑色の軟体動物のようにぐみゃぐみゃとした構造をしており、のそのそと歩きながら身長の半分近くある長い舌を出している。

 他にも姿や歩き方、そのスピードは多種多様だが、大きさは概ねみんな同じようだ。

 そしてそれに追い打ちをかけるようにこの光景を異様にしているのが、その個体の数だ。先ほどの道をほぼ埋め尽くす数で、みな思い思いの方角に向かって歩みを進めている。

 リーダー船員は、その光景の映像を凝視しながら、自問自答するように語り始める。

「なるほど。実に興味深いな。通常、知的生命体というのは身体のつくりが同じのになるものだが、この惑星の種族は非常にバラエティー豊かだ。そして、これだけの密集団での移動してる生態系というのも気になるところだな。」

「そうなんです。言ってみればこれだけ生物学的に異種族間で協調行動をとっているという事実は注目に値しますよね。この惑星の言語コミュニケーション手段については目下解析中ですが、論争や殴り合いの兆候などは一部を除いてほとんど確認されておりません。」

「要は総じて平和的行動をとっているというわけだな。しかし、これら個体たちはそれぞれが独立した物理的身体をもった生物かどうかについてはどうなんだ?以前の別の惑星の例のように、実はホログラム製の仮想的身体アバターやロボットでその実態は別の場所で操作しているなどオチではないだろうな。」

「その可能性も調査済ですが、ないようですね。実際に探査ドローンの子機で物理的接触をいくつか試みましたが、ぶつかったり押したりするとちゃんと作用反作用の法則が成立しています。しかも興味深いのが、わざとその子機を見えるようにして個体に接触しても多少の反応を示すだけでさして驚いたりしてないことが多いことです。」

「ふむ。それほど未知との遭遇が慣例化しているという証拠でもあるな。サンプル領域はどの程度取得したのかな?実のごく一部の領域に限った特定的なケースも考えられるからな。」

「時間と場所を分けて調査しておりますが、現状どの区域でもどうような様相が確認できてます。明るい区域がこの惑星種族の人口密度集中領域であるようなので、更なる調査継続が必要かと思います。」

「よろしく頼む。しかし、これは相当に文化的にも成熟した異星人であることが期待できるな。」



数日後、平船員に探査ドローンからの新しい情報とその解析結果の連絡が入った。

「リーダー、新情報です。この惑星の一部の区域の使用言語の解析が終わりましたが、これがその文書の一部のようです。」

「そうか、早速見せてくれ。」

 平船員は、その針金のような構造の体をクネクネさせながら、その文書の一部をホログラム表示させた。

 リーダー船員は、針金の身体の大きさの半分近くある飛び出した3つの目をホログラムに近づけて、その内容を確認する。

 そこには、以下のように書かれていた。


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