第101話 空を飛ぶふたり
私はアレンに抱き留められながら空を飛び病院を目指した。いわゆるお姫様抱っこみたいな形で抱きかかえられているから少し恥ずかしい。
「助けてくれてありがとう、アレン。私はいつもあなたに助けてもらってばかりね」
「それが私の願いだからな。間に合って本当に良かった」
「すごい装備ですね、背中のそれは……空中浮遊魔力なんてあまりにも魔力消費量が多くてこんなに長く飛べるはずがないのに……それにすごく速い。この装備は空を飛ぶのを助けてくれているんですね」
「ああ、そうだ。軍事機密の塊だから詳しくは言えないけど、少ない魔力消費で大きなエネルギーを作り出してくれるんだ」
「宰相閣下には最初からスカウトされていたんですね? クルム王子の陣営を抜けた後ですか?」
「ああ、表向きは軍を辞めるからちょうどいいらしい。私は、秘密部隊の航空魔道騎士団"
「そうですよね。アレンほどの優秀な軍人を元老院議員だけにしておくのはもったいない。宰相閣下は自分の直属部隊を任せることであなたを味方に引き込んだんですね。だから、私たちの後ろ盾になってくれた?」
「ああそうだよ。何事も貸し借りだからね。かなり魅力的な提案だった。クルム陣営を抜け出して、キミを守る力だって手に入ったんだからね」
「だから、たまに王都に出張に行っていたんですね?」
「うん」
「よかった」
「えっ?」
「実は、もしかしたら私に魅力がなくなっちゃったんじゃないかななんて……少しだけ心配していたんですよ? だって、私……一度、婚約者に捨てられていますから……」
「不安にさせてしまったね」
「大丈夫ですよ。不安はちょっとだけですから。アレンは、絶対に私を裏切らないと信じているんです」
「ありがとう」
そう言うと私たちは口づけをする。空には私たち以外、誰もいない。
だから、誰にも邪魔されることなく私たちは愛を確かめ合う。
これで好きになるなと言うのが無理よね。何度も私の命を救ってくれた最強の騎士に恋をしない女の子なんていない。
「アレン?」
「何だい?」
「私、たぶんあなたが思っている以上にあなたのことが好きみたいですよ」
「ずいぶんと嬉しいことを言ってくれるな」
「だから、ずっと一緒にいてくださいね。アレンだけが肉親をすべて失った私に残された最後の希望なんですから?」
「ああ、剣に誓うよ。俺はキミのことを永遠に守る」
そして、私たちは二度目のキスをする。
―――
(作者)
明日は更新お休みです。
次回は金曜日を予定しております。
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