第15話気がかり

心咲頼から頼まれたマッサージを終え、数時間が経過し、陽が沈み始めた頃。

空が朱みがかってきて、夕飯を一緒に食べないかと彼女に誘われ、ついでのように泊まっていってと軽く提案された。


「泊まっていくのは......弟さんの不機嫌さが増していて、気まずくて」

「気にしすぎだよ、屋那瀬くん。気にしすぎてたら、何にも出来ないよ。でしょ、屋那瀬くん」

「トイレを借りに部屋を出たら弟さんに出くわしてすごい睨まれて......心咲頼さんを盗られたって思われてる気が」

お手洗いを借りようと彼女の部屋を出て、廊下を歩いていると彼女の弟に出くわしてすごい形相で睨まれたのは事実だ。

「私が言っておくから、屋那瀬くんは遠慮しないでよ」

「うん、ありがとう......でも、今日は帰るよ」

「そう......気合いを入れて仕度するから。出来上がるまで待っててね、屋那瀬くん」

そう言い残し、髪を靡かせた彼女は部屋から出ていった。


彼女の弟との関係が悩みどころではある。


窓の外ではカラスが鳴いている。

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クラスメートのギャルは俺にベタ惚れの地味で脆い娘だった! 闇野ゆかい @kouyann

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