『私にとって』HAKOFUGU
チュンチュンと窓の外から聞こえる小鳥の囀りで私は目を覚ました。起き上がるとまだ肌を刺すように室内は寒い。枕元のスマホを見るとまだ起きる時間には早いのでもう一度布団を被り寝ようとした。でも、枕元にある人形の綻びが目に入り私はスマホの目覚ましモードを解除して人形の修復に取り掛かった。チクチクと縫い合わせていると後ろからガチャって音がして
「茉里ちゃん何をしているの? 朝食はもうできてるよ。」
「お姉ちゃん!? 急に入ってこないでよ!」
私はビクッとして振り向きついつい声を張り上げてしまった。
ちょっとだけ動揺していたお姉ちゃんに私は気付き少し顔が熱ってきた。
「あっ、ごめんねー。朝ごはんができたから呼びにきたんだけど…ん? これって…」
お姉ちゃんは私の顔から手元に目線を移していた。
「うん、綻びを見つけたから直してるの。」
私は少し綻んでいた縫い目をブランケットステッチで縁縫いをして丁寧に縫い合わせた。
「あとは、玉結びをしてこの同じ針穴に針を通して少し離れたところに針を出して糸を強く引いて……んっとこれでよし。」
「うん、終わったね。じゃあ、一緒に降りようか。」
「うん。」
お姉ちゃんは太陽のような笑顔を見せて一緒に階段を降りていった。
一階に降りると味噌汁とご飯の香りが廊下からでも香る。
「あー、いい匂い。」
「えへへ〜今日は私が腕によりをかけて作ったんだー。自信作なんだ。えっへん。」
お姉ちゃんは自慢そうに腰に両手を当てていた。
「あーっそうなんだ。お姉ちゃんは大体はなんでもできるからね。」
「褒められるとちょっと恥ずかしいなー。」
「ちょっと褒めただけなのに、何照れてるの?」
私は嬉しそうなお姉ちゃんを横目に歩きリビングに着いた。そしてお姉ちゃんは
「ちょっと待っててねー。」
「うん。」
そう言って台所に行くと炊飯器からしゃもじで茶椀にご飯をよそってお玉で味噌汁を注ぐと私の目の前に置いてくれた。
「ありがとう。いただきます。」
「どうぞ召し上がれ。ふふーん今日のは自信作なんだ。どう? 美味しい?」
「うん、とっても美味しいよ。」
「でしょー? 美味しくできててよかったー!」
お姉ちゃんはにこやかに私の方に微笑んだ。
「お姉ちゃんも一緒に食べよう。」
「うん。それじゃあ、私も御相伴に預かろうかな。」
私たちは姉妹仲良く朝食をとった。2人だけだったけど美味しかった。
食べ終わり、服に着替えようとしているときに家の中が静かなことが気になってお姉ちゃんに聞いてみた。
「ねぇ、お姉ちゃん。今日はいつものクラッシックの音が聞こえないけどお父さんは今居ないの?」
「えっ? うん、今は家には居ないよ。お母さんのお見舞いに行ってるみたい。」
「……。」
「寂しいの?」
「ううん、お見舞いに行くんだったら私もいきたかった……。」
「あー、確かにね。私も起きた時にはパパはもう支度してたからね。」
そう言いながら洗い物をしながら私の方を見ていた。
「そうなんだ……。」
私は、少し顔を下に向けた。それをお姉ちゃんは「どうしたものか」というような顔をしながら洗っている皿と見つめあっていた。私はそのまま二階に上がりパジャマから制服に着替えてた。
「行ってきます。」
「あれ? 今日は学校があるの?」
お姉ちゃんは洗い物を終えて玄関口まで来て、不思議そうな顔をして私の方を見た。
「今日は、部活があるの。」
「ああー、もしかして手芸部の。楽しんできてねー。」
「うん。」
私は軽く手を振って学校に歩いて行った。
10分ほどして白い側面が青空に映えるような綺麗な校舎が見えてきた。
校門から校内入ると、下駄箱に行く。そこで室内用のシューズを履いた。そこから校舎内に入り、入り口の近くにある被服室に入った。
「あっ、おっはよー茉里―。」
「おはよう〜茉里ちゃん。」
私の同級生の綾ちゃんと沙耶ちゃんいつも私に話しかけてくれる仲のいい友達。
「おはようございます。二人ともは今日も元気だね。」
「そんな事ないよー。こんな晴れの土曜日に部活があるなんてさ。」
「あはは、そんなこと言わないで楽しもうよ〜綾ちゃん。」
挨拶をして2人が楽しそうに会話しているのを私は見ていた。
「まあ、部活だから楽しみましょう。」
「そうだね〜今日は何を作ろうかなぁ〜。」
「よーし、フェルト人形を作るか!」
私たちはそう言ってテーブルについて人形を作り始める。
「うーん、今日もイマイチだなーー。」
「あははは〜、ちょっと毛張ってる〜。」
2人の会話を聞きながら綾ちゃんの手に持っている人形を見つめる。
「まきかがり?」
「うん、玉止めがどうしてもうまくいかないんだよ。」
「確かに難しいよね。特に丸みの帯びているものがね。」
私はその2人の話を聞いて思ったことを口に出した。
「縫い方を変えてみるのはどう?」
「「縫い方?」」
2人はキョトンとした顔で私の顔を見てた。
「はい、この2つのフェルトをこんな感じに…。」
手元で実践してみせた。
「後は、玉止めをしてこれを隠すようにして完成。」
「「おお〜」」
「さっすがーやっるー」
「茉里ちゃん流石〜」
2人に褒められて少し顔を赤くしてしまった。
「あれ? 照れてる?」
「嬉しいんだよ〜、きっと。」
「はっ、やっ、やりましょう。早く」
私はさっきまでのことをなかったかのようにするために人形作りを再開した。
昼頃に部活動は終了した。
「じゃあねー。」
「また、月曜に。」
2人と別れて帰宅して手を洗って2階へと上がった。
ドッドっドッドっと急いて駆け上がってくるような足音がした。その足音は次第に近づいてきて扉を勢いよく開けてお姉ちゃんが入ってきた。
「ねぇ、今日何か用事ある?」
「えっ! いきなり入ってきてなんの話かも言ってないのに用事を聞くってどんな急ぎがあるの?」
「あーはははは、ごめんね。」
少し恥ずかしそうにしていた。
「もーう、まぁ良いけど…それでなんで今日の用事を聞いてきたの?」
「あーそうそう、えーっと確か……」
お姉ちゃんはポケットの中を手で探り一枚の四つ折りになった紙を引っ張り出してきた。
「これこれ!」
お姉ちゃんは紙の見出しに書いてある大きな文字の羅列を指さした。そこには隣町で開催されるフェルト人形展の開催の案内が書かれていた。
「えっ! これって…」
「そう! 大好きなフェルト人形がたくさん展示されるんだって!」
「わぁー、楽しそう。」
「今日から開催されるみたいだから見にいこうよ。」
「えっ、でもお父さんはお母さんのお見舞いに行ってるから家を留守にするのは……」
「それは大丈夫!」
「えっ? 何を言っているの? お父さんは今家にいないのに……。」
「ん? パパならさっき帰ってきてたからこのことを一応聞いておいたから大丈夫だよ。」
お姉ちゃんはキョトンとした表情でさも当然のようなことであるように話していた。
「もーそれなら速く言ってよー。」
「ごめんねーもっと速くいえばよかったね。」
「そっ、そうだよー。もう……。」
そう言って私は少し頬を膨らませてそっぽを向いた。お姉ちゃんは顔の前に手を合わせてと謝り続けていた。それを見て私は許してあげた。
お姉ちゃんと一緒に降りるとお父さんがコーヒーカップでコーヒーを飲んでいた。
「フェルト人形展に行くんだよね。」
「う、うん。さっきお姉ちゃんから聞いた。」
お父さんはいつも私を思って色々してくれる。だからこの展示会のチラシをお姉ちゃんの目につきやすいところに置いていたのだろうと思い私は少し複雑な気持ちになっていた。
「お父さんが送って行くよ。」
「ありがとうお父さん!」
「パパ、ありがとう!」
お姉ちゃんは父に抱きついていた。それにお父さんは満更でもない顔をしていた。お姉ちゃんにできることが私にはできない。それは私が幼い頃にお母さんが入院をした。お母さんは病弱で私やお姉ちゃんを産む時大変だったと聞いた。それでも私たちを可愛がってくれたが私が5歳の頃病状が悪化して入院それ以来なかなか会えない、迷惑をかけないようにと思いそういうことができないでいた。
「楽しんできなさい!」
「「うん。」」
私達はお父さんの言葉に返事をした。
翌日、私たちはお父さんの車に乗せてもらいフェルト人形展に行った。
着くとお姉ちゃんと私は車から降りるとお父さんは車で家に帰った。
「んー、パパも来ればよかったのに……。」
お姉ちゃんは残念な表情を浮かべる。
「お父さんはお父さんで忙しいんだと思う多分。」
私もこのことには苦笑いせざる終えなかった。
「よーし、チケット買ってくるから待っててね。」
「うん。」
お姉ちゃんの後ろ姿を列に入るまで見つめ一つため息をついた。列は長くまるで蟻の群れのように並んでいた。そこからお姉ちゃんの姿を探すのは難しそうだ。
ボートベンチに座って天井を見つめていると、
「あれ? 茉里じゃん。」
「本当だ〜茉里ちゃんが居るね〜。」
とても聴きなれた声がして前を見ると綾ちゃんと沙耶ちゃんが居た。
「あっ、綾ちゃんに沙耶ちゃん。どうしてここに?」
「それはこっちのセリフだよ。」
「奇遇だね〜。」
私は2人の手元にあるメモに目がいった。
「ねぇーなんで2人はメモなんか持ってるの?」
「あーっ、これはね。この作品展にあった人形たちがどうやって作られているか調べてたんだー。あっ一応これがここに来た目的だったから。」
「へー、そうなんだ。」
私はただ楽しみに来ているのに対して2人は熱心に学びにきていることに感心してしまった。
「茉里ちゃんはなんでここに?」
「わっ、私はここの作品をお姉ちゃんが見たいっていうから私も勉強がてらここに来たの。」
「ヘェ〜そうなんだぁ。やっぱり私達って考えが似てるのかもね〜。」
つい、意地を張って言ってしまったが確かにメモを取る価値がありそうな展示会なので少し私も撮ってみようと思った。
「じゃあ、私達はそろそろ帰ろっか。」
「そうだね〜。じゃあ、私達はこれで。」
「まったねー。」
私に手を振ってくる2人に手を振り返して見送った。それからそこまで立たないうちに
「茉里ちゃーん、ごめんね。ちょっと時間がかかってしまって。」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。」
謝るお姉ちゃんを私は慰めた。
「チケットを買ったんだから行きましょう。」
「そうだね。じゃあ、行こっかー。」
「うん。」
私達は話をしながら展示会の中に入った。
「わぁー。」
私は思わず手で口を軽く覆った。
そこには可愛らしいフェルト人形たちが展示されていてそれはプロの人が作ったものや地域の子供達や高校生の作った人形も展示されていた。私の持っているフェルト人形とは違いとても個性のあるものや技が光るようなものばかりで圧巻だった。
それをじっくりと観ていると、ある一つの作品が目に入った。家族のように見える4人の人形その作品の作者の名前を見るととても見覚えのある名前だった。
「あれ? これは……お母さんの名前だ。」
「えっ? どれどれ? わぁー本当だママの名前があるね。」
「なんでこんなところに……。」
少しこの人形のことを見ているとなんだか嬉しくなってきた。何故だろう……。そう考えていると
「なんだかこれ…私たちみたいだね。」
「えっ? 違うものをモチーフにしたように思え……。」
そう言われてもう一度人形を見ると……
「あっ、ふふっ確かにそうかもしれない。」
あの人形を見ていると4人の人形のうち前にある二つの人形が私たちのように思えてきた。
その作品の名前は『私の大切な家族』と言う題材だった。
そこには「病気が治ったらこんな風に家族で過ごしたい。今までできなかった分愛したい。」と書かれていた。
その文章に私はうるっときてしまった。お姉ちゃんもここでは涙を控えようと堪えていた。展示会の外に行きお姉ちゃんがお父さんに電話をして迎えにきてもらった。家に帰ると私は2階に上がり部屋に篭り黙々と人形を作り始めた。
作り終わるともう夜になっていた。一階に降りるとお父さんが調理をしていた。
「あれ? お父さん、お姉ちゃんは?」
「まだ降りてきてないかなー。」
お父さんは少し私の言っている言葉に動揺しているように思えた。
「そう。あっ、あのお父さん……。」
「何だい?」
お父さん画せっかく聴いてくれてるのに私は喉の奥から言葉を出そうとしますがなかなか出せない。
「あっ、あの、そっその。」
「どうしたのかい?」
聞き返してくれるお父さんの言葉に対して言って答えようとしますがいえずに結局
「なっ何でもない。」
「そうか。」
私が何も言えなくなってしまった。お父さんは再び調理を始めた。その後、勢いよくお姉ちゃんが一階に降りてきた。
「パパ! 明日一緒にお母さんのお見舞いに行こうよ!」
「えっ!」
私はお姉ちゃんと思っていることが一緒であったことに驚いた。私はその動揺を隠そうとして手で口を軽く覆った。
「いいよ。お母さんの容体も少し安定してきたみたいだし、私だけだと寂しいだろうなと思ってたところだ。それにお母さんも喜ぶと思う、それに2人がいれば病気も治るかもしれないからね。」
「本当!? ありがとう!」
お姉ちゃんはとても喜び、ウサギのようにぴょんぴょんと飛び跳ねていた。私はそのお姉ちゃんの姿を見て勇気がもらえたような気がした。それにお父さんもなんだか微笑んでいるように思えた。
翌日の早朝アラームの音で目が覚めた。すぐに着替えて降りるとお姉ちゃんがパンを焼いていた。
「あっ、茉里ちゃん。お父さんは準備中だからパンを焼いておいたよ。」
「ありがとう、お姉ちゃん。」
朝食を食べ終わるとお父さんが降りてきた。
「食べ終わったかい?」
「うん。食べ終わったよ。」
お父さんの質問に即座に答えた。
「それに準備も……。」
「じゃあ、車に乗って。」
お父さんのその言葉を待っていたかのように私達はすぐに席を立った。紙袋を一つ持って車に乗り込んだ。
車に乗り30分かけて病院についた。車から降りてお母さんのいる病室に行った。
「あら、きたのね。かなり久しぶりね。」
「お母さん!」
「ママ!」
私はお母さんに抱きついた。するとお母さんは私の背中をさすってくれた。久しぶりにお母さんの優しさに包まれたことが嬉しくて泣きそうになってしまった。でも、涙を堪えているとお姉ちゃんがハンカチを渡してくれた。お母さんが私の顔についた涙を拭き取ってくれた。
「寂しい思いをさせちゃってごめんなさい。」
「ううん、そんな事ないよ。私もお姉ちゃんもう寂しくて泣いたりとかしてないから。」
「頑張ってるのね。えらいえらい。でも、私の前では流してもいいのよ。」
その言葉に私の涙袋から涙が溢れ出てきた。それをお母さんは優しく拭き取り、さらには私の頭を軽く撫でてくれた。
そうやっていると、お姉ちゃんがこんな話を振ってきた。
「そうだ、ママっていつあの人形を作ったの?」
「あの人形?」
お母さんはいきなり何を言っているのと言わんばかりのキョトンとした目をしてた。
「フェルト人形展に出している人形たち。」
「あー、あれね。調子がいい日に作ってたの。この病気が治りますようにって願いながら作ったわ。そうすればあなたたちに元気な姿を見せられるから。それにあの人形のような感じに仲睦まじく写真が撮れたらなーって願いも込めてね。」
この言葉をお母さんの口から聞けて私達はとても嬉しかった。
「やっぱりそうだったんだ。」
「やっぱり、あれは私たちだったんだ。ありがとうママ!」
私達はお母さんの手を握って、にっこりと笑顔を見せた。
「でも、展示会に出るようなことがあったら言っておいてくれても良かったのに。」
「いつも君が好きなサプライズってやつだよ。」
「もう、貴方。」
お父さんの言葉にお母さんは微笑んだ。でも、少ししんどいのか咳き込んでしまった。
「大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。」
私達はお母さんの両側に行き片手づつ握った。
「しんどかったらいつでも言ってくれ!」
「ありがとうね、貴方。」
「当然だろう、大切な家族だからね。」
私たちはその様子を見て家から持参してきた紙袋の中を一斉に探り2人同時に持ち上げた。
それは可愛いフェルト人形を取り出した。
「あっ」
「あっ」
私たちは見つめ合って笑った。そして、同時にお母さんにその人形を渡した。
「「はい、これを」」
「これって、わぁー可愛いわねありがとう。」
お母さんが微笑んでくれた。私達は互いを見つめあって笑い合った。
「これは私たち姉妹を作ったんだよね。茉里ちゃん。」
「う、うん。あの、これを私たちはなかなか行けないけどだからこの人形たちを私達だと思って大事にしてね。」
その人形を手に取ってお母さんはじっくり眺めてくれた。
「この人形が力になって病気が完治しますようにって作ったの。」
「私も同じようなことを思って作ったの。」
私達のその言葉にお母さんは涙ぐんでくれた。
「ええ、大事にするわ。それに、これならいつも私に元気をくれそう。ありがとうね、絶対元気になって帰ってきて見せるから! 楽しみにしててね。」
「「うん。」」
そうして私たちはその後も話をして家に帰った。
それから約一年の時が経った。
家にはお父さんとそしてお母さん、そして私たち姉妹がいた。一年前のあの日からお母さんは病院で闘病生活を送り、病気は完治した。それからリハビリをして一般的な生活に支障をきたさない程度までに回復して今に至る。
私たちは楽しく過ごせている。それに学校生活も、でも、もうすぐ中学校を卒業する。あの2人と一緒の高校に行けるといいなーと思うこの頃。
「茉里―そろそろ高校のこと決めた?」
「うん、一応決まってるよ。」
私は自信満々に答える
「どこなの〜?」
「お姉ちゃんが今行ってる高校に進学する。」
私がそういうと、2人は少し寂しそうにした。
「そっか、やっぱり別れてしまうこともあるんだね。」
「うん、そうだね……。でも、これは決めた道なんだから応援してあげよう。」
2人の会話を聞いて私は
「えっ、じゃあ、違う高校に行くの?」
「そうなるね、まぁ、私じゃなくて沙耶の方だけど。」
「そうなの?」
私は驚いて少し声を大きくしてしまった。
「うん、私はその高校に行きたいって私が思ってたから……離れるのは寂しいけれど、でも一生会えなくなるわけではないから。」
「うん。」
「そうだね。」
私達の間ではしんみりとした空気が流れた。
「あっ、そういえば茉里かなり明るくなったよね。」
「あっ言われてみれば確かに。」
2人が急に私の顔を見つめてきて少し驚いてしまった。
「そっ、そうなの?」
「うん。」
「確かに、お母さんが帰ってきてからかなり明るくなった。」
そんなことを2人から言われてしまうと私は急に火照りが激しくなってきた。
「でも、前の茉里ちゃんも好きだけど今の茉里ちゃんも好きだな〜。」
「確かに分からなくもないね。」
その言葉の連続にオーバーヒートしてしまいそうになった。
「あっ、照れてる〜。」
「やっぱり、みんなと一緒にいたら楽しいから高校が離れても私達は友達だよ。」
私は友達っていいものだと思った。
あの時に作った人形は本当に効果があったかどうかはわからないけどそんな効果があったらいいなーっと考えている。
家族や友達は私に取ってかけがえのないもの……。
コンペイトイロ短編集 テーマ:人形 コンペイトイロ @konpeitaste
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