第4話 蛍火の跡で。 00章
無知というのは罪である。誰の言葉かは忘れてしまった。昔の俺は自分の持って生まれた力について全く知らなかった。ただ単に目の前で起きていることに対処するだけ。反省することも、後悔することもしていなかった。だから同じようなことで何度も躓く。転んでは起き、また転んでは起き、最後には結局立てなくなる。
今も大して変わらないけど、少しはマシになったと思う。大学1年の春に友人緑川に会ってからは、変わろうと努力はしたつもりだ。結果に結びついたかどうかは分からないけど。
時々思い出す。サークルに入って直ぐにあった新入生歓迎会での出来事を。あの事件がなければもっと早くに死んでいたと思う。文字通り九死に一生を得た訳だ。
いつものようにボロいアパートの布団の上から始まって、講義を受けて、肝だめしをして、幽霊に会った。そのままその日初めて名前を知った人の所にお邪魔して、長い時間語り合って。
俺にとってあの日はすごく長い1日だった。
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