第7話

 儀式は、夜が明け太陽が最も高く昇るころ、霊山の頂上。火口が覗ける儀式場でおこなわれることになっている。


 カグヤは白紗の肌もあらわな衣装に着替えていた。聖痕が揺らめいているのがわかる。空が明るくなってくるにつれて、蠢くように熱をもってきている。


 もうすぐ、夜が明けようとしていた。


 カグヤは儀式場の中心で空を見上げるように立ち、それを一重二重と囲うように一族が頭をたれ、天に祈りを捧げている。それ自体が韻をふみ、ある種の旋律がうまれ、唄のように空気を震わせている。


 自分の命も残りわずか。


 日が昇る。

 この夜が終わり――太陽が中天にさしかかるとき、儀式が始まる。


 カグヤは祈りもせずに佇み、満月のような瞳をもつ鬼のことを考えていた。

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