第17話 あなたに逢いたい
私の携帯に着信が入る。
私は携帯に出た。
「もしもし?」
「真裕?」
ドキッ
私の胸が大きく跳ねる。
「晴輝…ごめん…デート中だったのに…。私は大丈夫だから」
「お前、今、何処?俺、そっちに行くから」
「大丈夫。電話切るね」
「切るなっ!俺、別れたから」
「えっ?」
「夏奈さんと別れた」
「そっか…」
次の瞬間、俺の携帯に別の声が、真裕の携帯に聞こえて来た。
「彼女、何してんの?」
「えっ?」
携帯が切れた。
「真裕?真裕っ!?」
++++++++++++
「一人?」
「ごめんなさい!」
私は夢我夢中で走り去った。
すると、空から雨が降り出す。
その時だった。
「真裕っ!」
名前を呼ばれ振り返る視線の先には
「晴輝…」
晴輝は私に駆け寄り抱きしめた。
「良かった…電話切れたから焦ったし!」
「ごめん…あの後、夢我夢中で逃げ…」
キスされた。
そして、私の手を掴み走り出す。
「晴輝…?ちょっと…何処…」
「行く場所ねえから」
「えっ?」
私は晴輝に手を引っ張られながらも向かった先は、ホテル街だった。
「待って!晴輝っ!私達は…」
「誤解すんなよ!雨の中、洋服濡れた状態じゃ風邪引くだろう?」
「それは…そうだけど…」
お互いの家でデートして会っていた為、私達は行く場所が思い当たらず、一先ず、ホテルに行く事しか思い浮かばなかった。
「お前は、先にシャワールームに行きな」
そう言うと、私にバスローブを渡す。
「俺は大丈夫だから」
「でも…」
「良いから行けって」
「…分かった…」
私はシャワールームに行った。
少しして――――
「晴輝…ごめん…」
「いいえ」
頭をポンとされた。
ドキッ
私達は交代する。
初めてのホテルに落ち着かない。
取り敢えず携帯を弄るも、すぐに辞めた。
すると晴輝が戻って来る。
「お前…兄貴とはどうなったの?」
「どうなったって…別に付き合ってなかったし。だけど…智耶さん…傷付けたかも…お姉ちゃんの事も話したから…告白しておきながら信じられないって…言っちゃったし…」
「俺も夏奈さんに別れ告げて飛び出したからな」
ベッドに横になる晴輝。
「そっか…」
グイッと私の腕を掴み私を押さえつける晴輝。
ドキッ
「は、晴輝?」
すぐに離れ横になり抱きしめる。
「せっかく温まったのに体冷えるだろう?」
「だ、大丈夫だって」
「ダーメ」
更にぎゅうっと抱きしめた。
《ヤ、ヤバイ…緊張するんだけど…》
私の胸はドキドキ胸が加速していく。
「ヤバイ、俺、眠くなってきた」
「じゃあ寝なよ。私は、まだ眠くないしベッドにどうぞ」
私はベッドから離れ始める。
グイッと引き止めた。
「お前はダーメ」
「どうして?」
「一緒にいろ!傍にいてくれた方が落ち着く」
「何それ。抱き枕扱いは辞め…」
キスされた。
「じゃあ、どういう扱いが良いの?女として扱った方が良い?」
ドキン
「ダ、ダメだよ!初めてなのに」
「俺も初めてだけど」
「………………」
ぎゅうっと抱きしめる晴輝。
「大丈夫だよ。手は出さないからキスはするけど。お互いの思いが一つになった時まで、お預けな」
「…私は…晴輝が好きだよ」
「えっ?」
「…でも…ハッキリとした気持ちじゃないような気もするし…勢いかもしれないし」
「じゃあ、ゆっくり育んでいこうぜ。俺もハッキリしてないし。友達以上恋人未満。それで良い?」
「良いけど…一緒に過ごした時間が多くなっていくと自分の思いに気付く事あるのかな?気付かないかも…」
キスされた。
「だったら付き合おう恋人として。彼氏彼女の関係でいて好きって思い伝えて改めて付き合う事にすれば良い。正直…俺…お前以外にいないと思うから」
「…晴輝…」
「はっきりと自分の思いに気付くまで時間かかるかもしれないけど…」
「…晴…」
再びキスをされ深いキスをされた。
憎まれ口叩き合っている私達だけど
こんなキスをされると
友達なんて思えなくて
意識してしまう
「晴輝…」
「ちょっと寝る。おやすみ」
「…うん…」
晴輝は、スーッと寝息をたて眠っていた。
そんな私は落ち着かない為、ベッドから降りた。
ソファーに腰を降ろす私。
少ししてウトウトなり始めた。
「真裕」
ビクッ
「お前、遠慮しないで寝ろよ」
「それは…そうなんだけど…」
「来な」
首を左右に振る私。
「大丈夫だよ」
「だったら俺がそっちに行く代りに、お前はベッド」
「大丈夫だよ!本当に平気」
「お前も強情だな」
晴輝は、ベッドから降りると、私の所に来ると私を抱きかかえるとベッドに降ろし、両手を押さえつける。
ドキッ
バスローブから叩ける晴輝の、肌に胸がざわつき、ドキドキ加速する。
視線がぶつかり目をそらそうとするが、片頬を止められキスをされた。
ドキッ
かああああっ!と、顔が赤くなる。
「赤っ!」
「見るなっ!」
クスクス笑う晴輝。
「お前、絶対Hする時、わぁわぁ言うだろ?」
「そんなの……分かんないじゃん…」
スッと離れベッドに横になる。
「でも…新鮮味ありそうだよな」
「えっ?」
「だって、普段見れないお前見れる訳だし。さっきもすっげえ顔真っ赤してんの見て正直、可愛いって思ったし」
「…か、可愛いっ!?」
クスクス笑う晴輝。
「いちいち反応するなよ。素直過ぎだから」
「だ、だって…まさか晴輝とこんな形になるなんて思わないから」
「それもそうだよな。それは俺も同じかも」
私達は色々と話をし、時間を潰す。
しばらくして、洋服も乾き私達はホテルを後に帰る事にした。
その後、晴輝と私の関係は、相変わらずで、お姉ちゃんと智耶さんの方は、よりが戻ったのかは分からない。
あたり前の時間 ハル @haru4649
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます