これはアイドル小説の金字塔になる!
- ★★★ Excellent!!!
アイドルを応援していた人、歌が好きな人、苦しくてもその先の幸せを信じる人、他にも色々な人へ。
アイドル小説の名作を書いた作者さんの新作です。
先に書かれた作品、「デブオタと追慕という名の歌姫」はサイトでも高く評価されていて、すでに読んだことがある人もいると思います。
そちらは無名の少女とパートナーが成長するサクセスストーリーでしたが、今作は人気絶頂の歌姫 "莉莉亞" が一夜の過ちから冷たい現実に突き落とされます。
辛くとも気持ちを奮い立たせる莉莉亞は、普段の言動から歌姫としての技量や誇りがにじみ出ていて、描写は重苦しくも気丈です。
展開は辛いですが、逆境を乗り越えたくなるような読み応えがあります。
この2作は、登場人物や展開に違いはあれど、利益だけを追う冷酷な芸能界や、逆にアイドルをひたむきに支える心など共通する部分はあります。
歌姫のデビュー前から描かれている先の作品とは違い、今作は芸能界の冷酷さにより焦点を当てています。
歌、ファン、芸能界……アイドルの様々な要素がさらに凝縮されています。これはアイドルというキーワードだけを使った小説ではありません。
アイドルという存在をこれでもかと煮詰め、人間を描いた、これぞアイドル小説です。
小説を読んで心を突き動かされたい。そんな人は今のうちに読んでほしいです。
これを読んで心が平坦ではいられない、そのことを2作読んだ私が証明します。