言葉をひらく

子どもと一緒にできる、できれば勉強嫌いな子どもに負担ならない学習ドリル(そんなのあるのかっていう話は置いておいて)を探しに書店に行った。


その棚の展開に思わずびっくり。


小学生だけでもずいぶんとテキスト問題集など出ている。わたしが子どもの頃はもうわりと出版社も形式もパターンが決まっていた気がするんだけど。7日間で総復習できる〜みたいな謳い文句が多く、珍しさがあったなあ。……いや、わたしがそれしか覚えていないだけかも知れない。



息子は勉強嫌い、というよりはやり方が分からなくて苦手なんだと思う。算数は人並みにできるのだけれど、気持ちを考えて表現することが苦手な傾向がある。


でもだからといって、お友達とは思いやりと協調性を持って接することはできないのかと言えば、そうでもない。ひとの気持ちを汲み取ることはわりとできている方だと思う。ただ、言葉というものに置き換えるのが苦手なのだと最近見ていて感じる。


中でも、ひとの気持ちより自分の気持ちを表現するのが本当に苦手みたい。

大人になっても自分のことは言葉で表現するのが難しいものね。自分のことが1番わからないというのは、本当によくわかる。わたしだってそうだったから。


だからか、気持ちや思ったことを言語化する授業。今だと国語や学活、生活などに少し抵抗があるらしく、朝いちばんに時間割を確認してその該当科目があると肩を落とすのがここ最近の恒例になっている。



「あー、」



項垂れる頭を見つめながら、なんと声をかけるべきかどうフォローすべきか、よく考えているのだけれど正解がわからない。そもそも正解なんてものがあるかといえばそうではないと思うけれど、息子に響くナニカを、きっかけを与えるために何か相応しい言葉はないかといつも考えている。もちろん、答えは出てない。



学習ドリルなんて、単なるきっかけにすぎない。やらせたいのは別に算数でも国語でも生活でもない。


一緒にそのドリルに取り組みながら、心を、自分の気持ちを言葉で表現することができたらいいなと思って。相手を思いやるその時に相応しい言葉が出てくるようになったらいいなと思って。



それこそ今でも続けているけれど、読み聞かせをしながら登場するキャラクターになったつもりで気持ちを一緒に考えてみようというのもやっている。

息子自身読書があまり好きではないので、もっぱら本と触れ合う時、学校以外ではわたしの働きかけがないとほぼない(学校では図書の授業で毎回本の貸し出しがあるので、とりあえず興味が惹かれるものは読んでみているらしい)。


これはかれこれ幼稚園のときからずっと続けていること。どんなに時間に余裕がなくても、家事が終わってなくても、息子の寝る時間に合わせて寝室に入り読んで聞かせている。夫が休みの日は任せることもあるけれど、普段はわたしがやっている。



自分の気持ちを、相手を思う気持ちを表現している、まさにこれしかないと言える言葉に出会えるように。


そう毎晩願って読み聞かせ、夢の中へ迷い込む。そうするとだいたい朝だったり夜更けだったりするのだけれど、もうこれだけは譲れないと思って続けてきた。……その成果?うーん。わたしが知る限りではあまり感じたことはない……。


本が特別好きになってくれたかといえばそうでもないし、気持ちを表現するのに言葉を選び考えようとすると分からなくてイライラしてしまったり。なんならあまりにも思った結果が見えなくて辞めたくなる日もある。うん、辞めないけど……もう意地ですこれは。




今日は週末休み控えた金曜日。

いつも通りにお布団に入ったとしても、いつもより加えて1冊は多く読めるんじゃないかと踏んでいる。もちろん、息子が断固拒否などした場合には諦めるしかないんだけど……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る