消えたファンレター

学生の頃、好きで読んでいた書籍の作家さんや漫画家さんはどこか遠い向こう側の世界にいる人だって思ってた。

同じ世界にいるとは思えなくて、次元すら違うと思ってたくらい。


どんなにファンレターを送っても返信はないから(いやいいんです。作品作りに専念してもらっていいんです)、本当に作者さんの元へ届いているのか、はたまた読まれているのか、わたしには全然わからなかった。

だからそのうち、ファンレターを出すことを辞めてしまった。


でも今のこの時代になってすごいなあと思ってしまうのは、好きな作家さんや漫画家さんが随時感情や考え、思いを言葉にして反映してくれる場所があって、それをリアルタイムで読者が見て読めること。



わたしが出したファンレターは、


届いていないんじゃないか。

読んでくれていないんじゃないか。

読まずに捨てられてしまったのではないか。


子供心にそう考えて、切なくなりながら本を抱きしめて眠った夜を思い出す。



今のこの時代の変化を当時のわたしが経験していたら、とんでもなく歓喜に溢れただろうなあなんて、容易に想像がついた。




そんな子どもが大人になった今のわたしなので、好きだった作家さん漫画家さんのTwitterを見つけてツイートを眺めていたら、こんなに私生活を暴露してしまっていいの!?


……なんて、余計な心配をした。笑

そもそも秘密になんてしてないのにね。



そうして、ツイートを読んでいるうちにわたしはだんだん気持ちが陰っていくのを感じた。




なんで、ファンレター出すのを辞めてしまったんだろう……。




過去の自分なりに思うところがあったのは事実で、それで辞めてしまったのは今でも責めるつもりはないけれど。


わたし自身も今、小説を書いているからわかる。


きっと、わたしの送ったファンレターも、作家さん漫画家さんたちの原動力に、わずかに力を与えていたんだろう。


エブリスタやカクヨムのネット小説をあげたときにくださる反応に、どれだけ救われているか。思えばそれは一目瞭然だった。


ファンでなくとも、読んでくださった方が反応を残してくださるのは本当に励みになっています。




あー、反応がわからないことに負けないで欲しかったなあ。幼いわたしよ。からだも幼ければ、こころも考え方も浅くて参ってしまう。

……それは今のわたしにも言えることなのだけれども。





そんなことを、増田こうすけさんのTwitterを見つけて思いました。


友だちに借りて読んでた『ギャグマンガ日和』大好きだったんだー。

小野妹子と聖徳太子のやりとり好きだった。湯呑みに指入ってるやつがツボに入ってずーっと繰り返し読んでたっけ。

妹も偶然好きで、松尾芭蕉面白いからって言われてからそれにもハマって。


全部がぜんぶツボだったな。わたしの青春バイブルのひとつ。


読みたい欲を抑えきれなかった高校生のとき、物理の授業中に机の影でひっそり読んだっけ。ちゃんと授業受けなかったから、物理のテストの点数はいつも赤点だったな。よく進級、卒業できたよ……先生、本当感謝してます……今会えるなら猛烈に頭下げるわ……。



でもさ、そういう欲に襲われるほど続きを読みたくなる作品に出会えることも

その作品の作者であることも


本当にお互い嬉しいことだよね。


書き手で読み手でもある今ならどちらの気持ちもよくわかる。



あー、久しぶりに『ギャグマンガ日和』読みたいなあ〜買おうかなあ。

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