その後
前の記事に書いた内容のことが、まだ心に引っかかっていてすっきりしない。小骨が刺さったような、小さな不快感。
息子と眠るのに寝室に入ったのに、結局22時過ぎくらいには目が覚めてしまう。近頃のわたしはだいたいこんな感じだ。
夫が仕事から帰りひとり遅い夕食をとっている時間なので、そのままリビングに入り他愛ない話をする。
この小骨のつっかえたような不快感も話してみた。
「生理きた?」
「まだ」
「あー。相変わらず不順だね」
「うんほんとに」
「気づいてると思うけど、毎回この時期にそういう話ししてるからね。あんまり気にしない方がいいよ」
意外とわたしよりもわたしのことを理解してくれている夫は、話を掘り下げるのではなくそう端的に言葉を述べた。
わかってたつもりだけど、改めてそうひとに言われるとそっかー、と思う。
些細な小さなことが気になってしまう時期。これはもうどうしたって仕方がないものだから、うまくやり過ごすほかない。
夫に礼を告げて、気持ちを落ち着けるのに針を持つ。ここでお馴染み、ママ友(というより、もう友人)のみーちゃんとはじめた刺繍のつづきをする。
黙々と針を刺していく作業は、とても楽しい。こんなときは、何も考えなくていい。ただ、その作業にのめり込む。
ちなみに小説を書くのに行き詰まったときには、思想に耽るのにやっぱり刺したりする。
針を持って布を触っていると、どうしてか気持ちが落ち着く。ひとつひとつ線が描かれていくたびに、心もきちんと並んで整っていく。
誰とも繋がらない、静かな夜。
ただひたすらに紡ぐ線で描く模様。
こつこつと積み重ねていくことの素晴らしさを、大切さを教えてくれる。
それは小説を書くことに対する自信にもなるし、地道に日々頑張っている自分を励ましてくれることでもある。
単調な作業の中に織り込まれたその小さな希望に、胸があたたかくなった。
ひとの言葉を気にしてしまう。それは仕方ない。でもやっぱり、気にしても仕方ないこともある。結局他人は他人であって、わたしではないんだから。
今日が本当の、夜の帳が降りたランプの下で。
その下で、わたしはこのエッセイを書いています。
素敵な夜を。
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