ちっぽけ村に、ねこ10ぴきと。
絵本作家のどいかやさんのエッセイを読みたくて、市の図書館に予約したのを取りに行った。
どいかやさんと出会ったのは、これまた図書館で借りていたI LOVE猫絵本(白泉社ムック)という雑誌だった。ヒグチユウコさんの描く幻想的な猫ちゃんが表紙を飾る黄色い本。
そこで、自然に配慮した用紙を使用して絵本を出版しているかやさんに、わたしは目から鱗だった。
自然のことを考えて、そこまで考えが至る過程にはどんなことがあったのだろうか。
そんな疑問と興味が湧いて、かやさんの特集ページをめくっていく。
すると、1冊のエッセイ本を出版していることがわかった。
自然の中での猫との暮らし。
絵本作家の日々。
連なるエッセイの紹介文に釘付けになったわたしは、そのまま本の予約したのだった。
そんな念願のエッセイ本を片手に、ほくほくと満悦に浸りながら帰宅した食後に一気読み(途中、うつらうつらと船を漕いだのはここだけの話)。
そこには、本当に紹介文にあった通りのそのままの暮らしと生活が綴られていた。加えて、かやさんがいかに猫に魅了されているかということも。
興味を惹かれたのは、自然のあるがままの状態の中に小さな家を建て、慎ましく暮らしていること。
もとからあった生態系を壊さぬよう、その巡りの中に住まう日々。
それはとても絶妙なバランスの上に成り立っていて、かやさんの心のあり方がいかに均衡を保っていて、それでいて優しく穏やかであるかということが容易に想像できた。
愛猫たちの野生的な本来の姿というのもなかなかに魅力的で、想像するだけでうっとりしてしまう。
こんな暮らしに、実は密かに憧れている。
というのも、わたしの実家はまさにこのかやさんのような環境に似ていたのだ。
……うーん、訂正。
憧れている、というよりかは、恋焦がれている、というのが近いかも……。
しかしながら、義務教育を受ける子どものことを思うと、やはりそんな暮らしをするにはあとひとつ、気合と根性、勇気が足りなかった。
というのも、そのような環境は交通の便が悪く、本当に苦労したのだ。
今となっては車にも乗れるし移動は楽ちんだけれど、当時はとんでもない痛手。そんな思いを子どもにさせるのは気が引けたのだった。
でもやっぱりあこがれる。
緑の下にいる方が創作は進む。
どこまでも広がる夢想に創作のヒントを得たりして。作家生活を送るためには、とんでもない利点が多い気がする。
ついでに言うと、猫とも暮らしてみたい。わたしは犬としか暮らしたことがないから……。
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