美容室へ行く覚悟を固めるまで

髪が伸びたなあ。


ショートヘアにすると、かたちが崩れるのがとても目につく。まとまりのない、なんだかおさまりが悪い。散らかった部屋みたいな感じ。


こうなってしまえば、まあだいたいの人は美容室に行くんだろうけれど、わたしの場合はなかなか腰が上がらない。


美容室はなんだか……敷居が高いというか。気合を入れないとわたしはどうしても行けない。


だって、ずっとひとりのひと(美容師)に注目を浴びつづけて、ひたすらコミュニケーションを取らないといけない……!そして、粗相はできない……!!


いや、たぶん美容師さんはそこまでコミュニケーション取ろうとは思ってないかもしれない。

カウンセリングシート書いたときに、静かに過ごしたいって書いたから。だからわたしに電子書籍をいつも渡してくれる。


でもなんだか話さないといけないような気になってしまうんだよなあ。

ちゃんとコミュニケーションとったほうが、希望してる髪型にしてもらえるんじゃないかって思ってる節があるからなんだと思う。


美容師さん。

そのあたり、どうなんででしょう?



美容師さんと言えば、わたし美容師さんのシャンプーが本当に好き。気持ちよくて。

気を張ってないと眠くなってしまうほど。


一度やらかしてしまったことがある。

ひどい雨が降っていて、気温が低かったまだ冬の名残りがただよう季節。

美容室に着いて身体が温まったあたりで、施術が始まったものだから……もうとても気持ちよくなってしまって。

シャンプー中にうたた寝。


うたた寝、なんて言葉で書くと可愛らしく感じる気がするけれど、実際は違う。笑


自分のいびきにびっくりして目が覚めたという痴態を晒してまあ大変。


「疲れてらっしゃるんですね」


なんて美容師さんに苦笑いでフォローされて、もう消えてなくなりたかった。笑



そんな訳で、美容室でリラックス……なんて言うことができるはずもなく、わたしは気張って行かないと到底美容室の敷居を跨ぐことはできない。


だからきっと、この少し伸びた髪を美容師さんの手で整えてもらうのはもう少し先の話。


それまでは、ヘアアレンジをしてうま〜くやり過ごす感じになるかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る