命の残量が見えるストーリーに対する抵抗
Kindle Unlimitedで、小坂流加さんの余命10年(文芸社文庫NEO)を読んでいる。
茉莉花と桔梗という、花の名前の姉妹って素敵だなあ。両親が山登りが好きなこともあって名付けられたっていう設定を読んで、夫婦2人がどんな気持ちでその花を見つめていたのか、と思いを巡らせた。
花言葉なんかも調べてみたら
茉莉花(ジャスミン):
愛想のいい、愛らしさ
桔梗:
永遠の愛、変わらぬ愛、気品、誠実
とのこと。
変わらぬ愛や誠実さは、まさに桔梗お姉さんのお人柄だし
茉莉の愛想のいい、愛らしさもまた、ここで描かれている笑顔を絶やすことをしない彼女に重なって。
著者の小坂流加さんは、その辺りも含めて人物の構想をしたのかも知れないなあ。
読むきっかけは、生理痛の痛みがひどく鎮痛剤が効くまで、と開いたKindle Unlimitedにあったから。
それ以前に、TwitterのTLに読了ツイートが幾度か流れていたから、気にはなってた。
タイトルからして、最後死んじゃうんだよなあ……悲しい結末か……。
主人公が儚く散っていくのがちらつく作品は、正直手を伸ばすのに時間を要する。ネタバレを読んでからやっと挑む、なんてこともザラ。
それくらい、ちょっと苦手意識がある。だからこそ、すんなり読み始めたかといえばNOだ。
でも、そんなことを言っていてはだめだよね。
……書き手としては、苦手云々言っていたら成長しないなと、ずっと感じてはいたけれど踏み出せずにいた一歩を、今日は踏み出しました。
ネタバレを見ず。
結末を先読みせず。
……そんな気持ちになったのは、ホルモンバランスの崩れで情緒不安定だったからかもしれないし、子どもが卒園式を迎えて大きなイベントをひとつ乗り越え落ち着いたからかもしれない。
でも、そういうとものが重なって、わたしは余命10年を読み始められたんだと思う。
そして、読みはじめて知った。
じわじわと古傷をえぐりえぐってくる。
この茉莉が遺伝性の難病を発症した年齢(時期)だったり、そこでの葛藤とか思いがまるまる、自分と重なってしまった。
わたしは茉莉と同じくらいの年齢で精神を病んで、専門学校は中退をせざるを得なくなって。
共に足を並べて歩いていたはずの同級生たちはみな未来へと歩いていくのに、わたしだけが取り残された気持ちだった(それはわり最近まで感じていた気がする)。
「社会」から外れてしまったことが恐ろしかったし、時間はあるのに何もできない自分に焦りしかなかった。
……そう言った内面の動きが見事に茉莉とリンクして、読んでいて苦しくて。
でも、だからこそ茉莉の最後に幸福を見たくて、小休止をはさみながらも貪り読んでいる。
そう、今、まだ読んでいる途中。
どうか茉莉にとって、わたしにとって「いい」と思えるかたちで終わっていて。
そう望みながら、やや怖気つきながらも続きが気になる。……そんなところ。
ミステリーとは違う、なんというか緊張感がすごくある。この余命10年を読むにあたっては、すごく。
生理痛もなかなかに重たくて、新作のアイデアまとめやプロット作成をに詰めようと思っていたのにできていない。
でも日中、余命10年や小川洋子さんのエッセイ読んだりと刺激をもらったので、勉強にはなったかも。
すっかり春景色が窓の向こうに広がっていて、気分がまるくなってきた。その反面、花粉が目と花を攻撃してくるので少々ささくれますが
こんな日もありましょう。
ね。
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