『よお。今日も元気ですか?』


「毎日のお電話ごくろうさまです。あなたがいないと、呼吸がくるしいわ。はやく帰ってきてよ」


『なんだなんだ。俺は酸素か』


「うん」


『そんなあなたに残念なお知らせ。まだまだ帰れません。仕事が予想以上に厄介になりました』


「わたしよりも狐のほうが好きなの?」


『いやおまえのことは好きだけども。仕事がなあ。やめらんねえんだよなあ』


「わたしよりも仕事だもんね」


『しかたないでしょお。狐を狩らなかったら街が滅んじゃうものお』


「はいはい。じゃあね」


『あっおい』


「また明日お電話くださあい」


 電話を切る。

 明日になれば、あなたが電話をかけてきてくれるから。わたしの夜は、すぐ飛んでいく。朝が待ち遠しいから、すぐ寝てしまう。

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夜が消えて 春嵐 @aiot3110

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