夜が消えて

春嵐

01

 彼がいなくなって。

 呼吸する速度が、変わった気がする。彼は、わたしにとって、空気だったのか。そんなことをなんとなく考えながら、日々を過ごしていく。どこか景色が浅くて、生きる速度と身体のはたらきが繋がらない。

 それでも、普通に身体は頑丈だった。恋人がいなくなったのだから、少しぐらいおかしくなってもいいのに。そう思っても、結局は。

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