†闇の継承†

…お前の中には…俺がいる…

★☆★☆★




お前は水のような女だ。



手に掬ったかと思うと、知らぬ間にこぼれ落ちる。



指の隙間を、心の隙間をすり抜けてゆく。





手に入れられるのは、ほんのひと滴。


その全てを得ることは叶わない。





温めることさえも、冷たくすることも可能であるはずなのに。





得られない。





その総ては己の為には無いのだから。





それでも、お前は無くてはならない。





取り込まなければ死に到るであろうところも──


お前と、水は似ている。






美しく、静かで、繊細。




その場にただ在るだけで湛えている。


その透明度は、心に比例している。







…そう、お前の心は…


決して濁ることはないから。

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