第一章 転生先は私でした

カーミラ!私の知っている貴女ではなくなっているわ!

ここはどこ?当たりが真っ暗で何も見えない

これが死の世界?こんなに孤独で寂しいものなのね


ん?なんだろう。あそこに光が零れているわ

もしかして、そこは天国??するとも地獄?

うーん。とりあえずあそこに行ってみるしかないわね


私は光の中に入っていった

すると意識が飛んだ




目を開けるとそこは見覚えのある天井だった

私はしばらく時が止まったかのように体を膠着させ、精神が戻って来ると当たりを見渡した


その部屋は生前、子供時代に暮らしていた部屋だった。私はとりあえず体を動かしてみた


ん?なにこれ?動きづらい。うーー!!

はぁ……。はぁ……。何よこれ!体が鉛のように重たい!


じたばたしていると偶然、自分の手が目の前に入った


え?丸いパンみたいな手……。こ、これはもしや……

私、赤ん坊になっている!!

嘘ォー!!こんな急に早々と生まれ変わるものなの!?

てっきり、神様に問診されて飛ばされるもんだと……

うぅ。泣きたいわ……。てか、泣けるんだっけ?

泣いてみようかな?

よし、思いっきり辛いことを思い出して………


「オギャァ!!オギャァ!!」

うん。やはり私、赤ん坊ね


私の鳴き声のせいか、扉が開く音がした。私が寝ているベビーベットに近付いてくる

すると突然、目の前にカーミラ・スミスが現れた

私は驚いて涙が止まった

「あらあら。アイリス様ったら。私を見て安心なされたみたいですね。それにしても本当に可愛らしい方ですわ」

カーミラは私の頭を優しく撫でる



どういうこと?どうしてカーミラがいるの?

それに私をアイリスて呼ばなかった?

もしかして、私はタイムリープしたの?


「この美しい銀髪にシアン色の明るい瞳。目がクリクリで可愛らしいですわ」

そう言ってカーミラはニコリと笑った。まるで我が子を慈しむかのように


すると再び、ドアが開いた


この声はお父様??

「カーミラ。アイリスはどうかい?元気にしているかい?」

「はい。すこぶる元気ですわ」

「そうか」

そう言って、私の顔を覗いた

やはりお投様だった。銀髪にサファイヤブルーの瞳が私を笑顔で私の頭を優しく撫でた

私はその表情に違和感を持った


この笑顔。ただの笑顔じゃない気がする

何かを隠すような笑顔……。雰囲気はほんの少し冷たい気がする

私はこの人に何か嫌なことをした?

いや、だって私は生まれたばかり。

そんなことできないはずが……


なら一体、私に何があったの?



「うん。元気そうだ。それにしてもアイリスは大人しいね」

「先程までは泣いていらっしゃたのですが」

「そうかい」

「ご主人様。これからお仕事でございますか?」

「ああ。これから仕事だよ」

「そうですか……。アイリス様は私が万全に期してお守り致します」

「あぁ。助かるよ。カーミラ。それでは行ってくるよ」

「はい」


そう言ってお父様は出て行った


やはりお父様からは愛情というものを感じられなかった。幼い頃はそう思っていたのに……

前世では、それだけ人の目や行動を気にしていたからってことかもしれない










あれから2年半年という時間が経過した

私は3歳になっていた


私は今日も体力をつけようと自分の部屋から書庫まで歩いている

それを続けて約1年が経っている

だいぶ楽になったし1月くらい立て続けて書庫に行けるようになった。これなら1度外に出てみても良いかもしれない


多分、1日寝込んでまた行っての繰り返しになりそうだけど……

でもこのままだと私はずっと弱いままだもの。やるしかない。それにとても暇なんだもの……



すると足音が聞こえてきた。この足音は多分、カーミラ。あまり音を出さないで歩くから分かりやすい

私は後ろを向いた。そしてカーミラを下から見上げる

「あっ!カミュー。どちたの?」


するとカーミラが顔に手をやって悶えている

なぜ悶えるのか私はよく分からずつぶらな瞳でカーミラを見つめた後、頭を傾げた


「……アイリス様。可愛過ぎます……」

「へ?」

するとカーミラは優しい手つきで私を抱き上げ、抱きしめた。カーミラの胸が私の顔に当たる

「んーー。可愛いです。本当にお人形みたいですわ」

「うにゅぅ……」


うっ!強く抱き締めすぎよ!カーミラ!!

苦しい!というかカーミラの大きなお胸が……

ムニュムニュしてるね……。なんか腹たってくる……!こんな大きい胸持ってたなんて……

とりあえず胸を揉んで開放してもらわないとね!


「あっ。申し訳ありません」

「だいちょぶ」


そう言って私はニコリと笑って大丈夫だということを示した。それを見たカーミラはホッとした後、微笑んだ


それにしても、なんか新鮮だわ……。カーミラってこんな表情するのね。幼い頃から無表情なイメージが強かったから余計に戸惑うわ……。というかそんなに可愛いの?私?



そう言えばベイビーの頃から、カーミラが近くに居すぎて頼ったりなんなりでよく追いかけていたわ。そのせいかも???


私が考え事していることを隠すためにカーミラに笑いかけるとカーミラは雰囲気や顔から滲み出るほどに喜んでいる事がわかる

そして抱きつきに行ってみる

するとカーミラが悶えているのがわかる

(アイリス曰く、カーミラの実験中)


うーん。やっぱり不思議な気分ね……

あんなに悶えるものかしら??

もしかして赤ちゃん言葉になってるとか?

『おいしいでちゅかとか?』

なんか自分がそんなこと言っていたら寒気がするわ……。まぁ、幼い自分だし?いいっしょ!


「アイリス様。今日もお散歩ですか?」

私は大きく頷く。そしてまたしてもカーミラが悶える

You're cute! 可愛いです!Are you An Angel?貴方は天使ですか?と英語なのはキュン度MAXのカーミラであることは作者も同感



私の行動全部に反応してるのね……

それにしてもカーミラに散歩中に会ったのは初めて!普段は無表情なのに……。まぁ、人前だから出さないようにしているのかもしれないね

実際、長年の付き合いの成果か知らないけど見れば大体何思っているか察していたし……


「どこまでお散歩ですか?」

「しょこ!」

「そうですか」

「カミューは?」

うん!カーミラがニヤニヤ悶えているのは無視しよう!



「私はお外に行って、庭師からバラを貰いに行くところです」


バラだって!!?!??


見に行きたい!だって薔薇にはたくさんの花言葉があるんだもの。それに見てても美しいし。それにローズマリーの香りは芳しくて好き!というか配りたいくらい好き!というかあの花を嫌いな人はいるの?というかあの美しさに魅了されない人とかいるの?ねぇ?!(早口and怒り始める)



私は多分、目をキラキラして大きなつぶらな目でカーミラを見ているだろう。なぜ分かるのかって?

だってカーミラが先程よりさらに悶えているんだもの。なんか知らないけど壁に向かってなんか呟いているし、さらには土下座してるわ……

自分で言うのもあれだけど『カーミラ、私可愛すぎて壊れた??』


「バリャ!!!??!」

「はい!はい!そうです!アイリス様が大好きなバラです」

何度も頷いているし、なんか顔赤いし、うんっ!

カーミラまだ壊れているね!


「わたちも行く」


Let's go to バラ園へthe Rose Garden!!行こう!!

早速、見に行くよ!!!カーミラ!!


私はカーミラに行くポーズをする

それを見たカーミラは冷静になり始める

……。何か返してカーミラ。悲しいわ……


「ダメですよ。アイリス様は身体が弱いのですから」

私はガッカリとさせた。するとカーミラがオドオドし始める

それを見た私は心の内でニヤとさせる


「らいじょぶ。いっきゃげつくらい前からしゅこまで歩いてるけど1回も寝込んでにゃい!」

「それでもダメです。お外は危険が沢山ですよ?」


私はつぶなら瞳で泣きそうな表情をさせる

(必殺技!!!)

そしてボソッとカーミラに聞こえるくらいで言う

「だぃじょぶ。ちゅよいから……」

どうやらカーミラにトドメが入ったらしい


そしてカーミラが困り果て悩んでいる

うん。成功した。それにしてもこんな困惑したカーミラは初めて見る!

こんなに様になるものなのね 。できる女て感じね!

まぁ、今の私は迷惑担当だしね!特権みたいなものよ!



「……うーん。私が抱っこしてお外に出ましょうか?」


!!??!!?

それは名案よ!カーミラ!

私は間違いなく外で歩いたりしたら間違いなく、疲労や細菌の関係で子供風邪で2日は寝込む

でも、歩かなくて済むなら1日で済む!

やはり持つべきは優秀な乳母兼メイドね!



私はまた再び、カーミラの発言で目をキラキラと輝かせ、ぴょんぴょんと跳ねた。それを見たカーミラが悶えて私を喜んで抱きしめた


「しょれがいい!」

「分かりました。アイリス様」




カーミラに抱っこされて私はバラ園に来ていた

私は薔薇が目に入った瞬間にカーミラの手から離れて薔薇を見に行く


「バリャ!!!」

私は目をキラキラウルウル瞳でカーミラと薔薇を見る。それを見ていたカーミラはニヤニヤが止まらないらしい。嬉しそうだ

私はとても広いバラ園でウロウロする


あっ!あそこにはジークフリートだ!相変わらず真っ赤で大きくて美しい!

あ、あそこには青薔薇だ!青薔薇なんて希少価値が高いものだもの!

こんな凄い薔薇も植わってたのね

青薔薇は水魔法の魔石の近くじゃないと咲かない上に水加減によっては美しくならないからとっても育てるのが難しい花なのよね

うーん。爽やかで濃厚なバラの匂いがする

サイコー!!!


すると足音が聞こえてきた

この足音は多分、お父様のもの?

あれ?でも確かお父様は薔薇をあまり見ない方だっはず。おかしい……


私はとりあえず身構えることにした

するとお父様がいた

そしてわたしを見たお父様は恐ろしい形相をした。そして視線はとても冷たく冷酷だ

私はびっくりして後ろへ下がる

すると助けに来たのか分からないけど後ろにいたカーミラにぶつかった


「……なぜここにアイリスがいる?」

冷たい声でカーミラに問い詰めるお父様は私の知っているお父様ではなくなっている

優しさも暖かさも感じない


カーミラが眉間に皺を寄せて話をする

「その。アイリス様がここに行きたいと仰ったので……」

「この場所に連れてきてはならないと言ったはずだ」

「はい……」


全く理解していないカーミラにまるで呆れるような顔をした。そしてため息をつく

「はぁ……」

お父様はカーミラに近付き耳打ちした。微かに言葉が聞こえてくる

「…………なんだぞ?……どうする?」

「分かって…す。ですが、…………はずです」

「はぁ……。……思うな」

「っ!分かりました」


そしてお父様はカーミラから離れた

私は肝心の話を聞けなかった。どれも破片的で肝心の中身が分からない。ただ私に関する事であることは確かだ


アイリスはカーミラのメイドドレス裾を掴む

そしてカーミラを見上げる

カーミラは何かに葛藤しているように見えた


「カミュー?だじょぶ?」

するとハッとしたカーミラが私を見る。そしてニコリと笑う

「カミュー?わたちのしぇいでおこりゃれた?しょれならごめんにゃしゃい」

「いえ。アイリス様のせいではありません!私のせいです!なので気に病まないでください」


そう言って無理やり笑うカーミラは見ていて辛かった。だから私はカーミラに抱きついた



それから私はカーミラにバラ園に行きたいと言うことを言わなくなった。カーミラの辛そうな顔は見たくない

そして余計に父に不信感や嫌悪感がある

やはり昔の自分と今の自分は違うのだなと思う

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私は生きるためなら皇帝にだってなってみせる 響鬼 霊子 @Hibiki_Lay

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