#28 奇襲と騙し合いと先制攻撃の凌ぎ合いは逼迫するよね
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「死角から奇襲して、黒妖石を寄越せって言うのは聞き捨てならねぇな!!」
俺は怒気を含めて反論した・・・連中の奇襲戦法に後手になっているが。ディーヴァは俺の意中を気にせず反論した。
「今の攻撃を見抜いていながらそういうことを言うか?・・・麒麟児・・・彼女が拾わなければ、どさくさに紛れてくすねる算段だ・・・・気の利く女だ・・・」
ディーヴァは忌々しそうに・・・ヴィラに対して吐き捨てた・・・気がする・・・。
「ふぅ・・・やれやれ・・・ゴーカス殿まで転移させるこちらの身にもなって下さいな・・・お久しぶりですなレージ殿。」
ふいふいふい・・・と、ひょっこりゲロロックが現れ。栄養ドリンクらしきものを飲み干して一息落ち着く姿が見える。
それを一目置いた巨人が頭を掻いて一言発した。
「すまない・・・魔導局局長殿・・・」
「業腹な事言うんじゃんァないよ!!ゲロッチ!!ゴーカスはデリケートなんだから!!」
「そんなつもりじゃァありませんよ・・・まったく・・・お二人の仲が良いのは結構な事ですけどねぇ・・・。」
謝罪する巨人、鳥人間の激、右から左のクレームにゲロロックはこの組織での中間管理職の立ち位置が垣間見える。
俺は、内心同情しながら魔眼を介した。ゲロロックは異様に魔脈を衰退させている。
ディーヴァが意に介さず腕を組み、傍観を決め込む様子。
「・・・まぁ良い・・・今回の黒妖石はカテゴリーが違う・・・分かっているな?」
「ハッ!!今回は、アタイとゴーカスで仕事を全うするさね!!」
そう言いながら、鳥女と巨人は腰元にあった魔道具を放り投げる。
途端に無数の光が飛び散った・・・その直後に鳥と言うか蝙蝠と思われる魔獣がざっと見ても20体・・・。
「・・・石・・・寄越せば・・・何もしない・・・応じる方が賢い!」
軽く2m近い甲殻虫を模した魔獣はカブトムシやクワガタに似た甲殻虫に、獣のファクターを混ぜた個体が8体・・・。
空陸合わせて30体近い異色の魔獣達がコロシアムに現れた・・・・。
日が傾き、新たな戦いが火蓋が切って落ちていった。
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――外はすさまじい戦闘音と轟音が響いていた・・・。
「早くここから逃げるぞ!!マズイ!!まずいぞ!!巻き込まれるのは!!」
――冗談ではない・・・どういうことだコレは!!早く・・逃げなければ・・・。こんな危険な事態になるとは・・・。
「儂は・・・儂は知らんぞぉおおおおおおおおおおお!!!!」
ゴォオオオオオオッ!!!
――壁をぶち破って何かが突っ込んで来た!!真っ黒くぶ厚い皮の見た事が無い魔獣・・・。
――六本もある足のうち半分は欠けて、頭の角はべっキリ折れており。片顎の牙から血が噴出しているぅう!?!?!?!?
「ま・・まじゅうだぁ!!」
「伯爵様を守れーーーー!!!」
――ひいいいいぃいい!!まじゅうだぁ・・・・こんなの見た事ないよぉおおおおお?!?????
――騎士の殆どは先導と護衛で出払っており儂の周りには・・・下っ端兵士しかおらん・・・あぁ・・・暴れてるぅうう~~~~~~!!!
「いひぃぃいい・・・・・ぼくちぬぅううううう!?!?いやぁあああああ・!?!!!」
――人生で一番情けない悲鳴を上げた・・・
――狭い通路の石の天井と壁・床をすりつぶしてコッチに向かってきたぁ・・・
「ほい」
ゴ・・・・ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオン・・・・・
――漆黒の魔導師が素振りの如く吹き飛ばす。
――儂は意志喪失し魂と共に尿と便が出てしまった。
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観客席に突っ込んだ魔獣が、唐突にこっちに飛んできた。それを切り伏せ、構え直す。
「なんじゃ?!今のは!?」
飛翔する蝙蝠の魔獣に応戦し、その時になってネージュ様達の事に気づいた俺だったが・・・地上にいたヴィラが叫んだ。
「雷閃双牙!!・・・・ネージュ様達はあの黒騎士がいます!!きっと彼らの手の者でしょう!!」
彼女は黄金に輝きを纏って、甲殻の魔獣にタカール無双を繰り出し、雷撃と疾風の刃を纏って次々と翻弄し撃退。その中で俺に事態を伝えてくれた。
漆黒の着衣、濃い黄金の縦ロールと褐色のしなやかな肢体が織り成す。艶めかしさが宿っていた、突き上げる尻の肉に股間を刺激する不埒な自分に少々自己嫌悪しつつも状況を魔眼を通して察する。
「やるねぇ!!こいつは如何だい!?魔導師ちゃん?!」
鳥女は蝙蝠たちに魔法を付加する、恐ろしい加速度と魔法の防護膜の戦技らしい突進技をミスティアに仕向ける。
彼女も負けず劣らずに超加速の高速飛翔魔法で一気に連携戦法を繰り出す。
「きゃぁああ!!」
ソニックブームでミスティアの服装が剥げ落ちた。二の腕やスカートの一部など・・・奴はワザとそれを狙った・・・。
「大人しい顔して体は牝だねぇ!!あの男にして貰ったのかい!?腰遣いも良さげじゃァないか!!ええ?!」
鳥女は完全にミスティアを標的に定めた様子だ。
「ミスティア!!・・・チィ!!くそ!!」
その証拠に俺の死角から、鳥女の恩恵を受けた別班の蝙蝠が吶喊。ソニックブームと魔法障壁で攻防一体型で厄介なことこの上ない。
鳥女はマジックロッドから剣を抜刀。そのレイピア状の刺突剣を取り出してミスティアに切り刻む・・・・が。
「ぐっ!!行け!!螺閃槍!!」
ガキィイ・・・ジジジジィ・・・
鳥女の一太刀は、ミスティアは見逃さず光の槍が受け止め。鳥女は後方に二本、螺閃槍が突っ込む事に気づいた。
「ぐぅう!?・・なんてな・・!!」
「?!??」
狼狽から笑筋つり上げの鳥女は受け止められた筈の一刀が鞭状に変貌し、鋭い風切り音を鳴らしてミスティアの身体をズタズタにする。
俺が、蝙蝠の群を切り伏せた頃はミスティアの苦痛の悲鳴が上がった!!
「ミスティア!?」
「まずは一人!!堕ちな!!」
落下するミスィア、トドメと言わんばかりに鳥女が勝利を確信し、突っ込んだ!!
・・・・・が、奴の伸びる鞭が次々と弾き飛ぶ!!
・・・無数の閃光の太刀筋の光・・・。
青い髪の少女の凛々しき剣の構える姿だ。
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