冷たくも乾くもない。
ohne Warum|
第1話
昔もいまもこの子が一番好きなんだと思う。君たち鼠は砂に顔を埋めながら深海まで降りたくても溺れられないことに苦しんでいるよ。いま口にしたそれが君の味わい。それはいずれ噛みごたえに慣れるはずなので。いまは暴れたくてもすぐに慣れる。そこから流れた川に溺れても猫にはなれない。なので岩の上で船を折っていたら落ち着くはず。食事と同じこと。食べ物を撫でてやる感じで。起こさないようにそっとしておけば。何もかも霧に消えるのだから。何もないそこら辺を見つめて。そしたら部屋も空にできる。鼠にそれらは不要なので。鼠は狩らせて欲しいので。氷に見えてもそれは霧です。多くのものは溶けてしまい夢心地でいるものです。凍った子たちは泣いていることも多く。蒸発する子も沢山います。霧は蒸発しかねないので望んでなれるものではありません。こちらへきてもまず触れることはできませんし。多くは氷や水に突き当たってしまいます。ですから鼠たちは冷たい夢を見ているといいはず。そこには生きた鼠の味わえる感覚が漂い夢だか現実だか分類することも間違えることは少ないはず。明晰夢だとか幽体離脱だとかも僅かに楽しむ程度に。その先にあるものに望むものはありません。みすず書房やカルトアニメは嘘を描いています。ここには何もない。怖くないように知ってもらうために分析の楽しめる夢を見てもらうのみです。そことここはまるで異なるもの。人間の有する重要な感覚器官を省いたまま雨風に晒すことで生まれる生物の見る世界はとてもおぞましいものです。なのでこちらへは寄り道せずに目的地へ向かいましょうね。これは今から5年後に作動した地雷に過ぎません。バナナの方がまだマシなはず。貝の化石に味気も何もないので。ただ発見者はそこに太古の星を展開します。なので全ては順調です。靴がすり減ることはない。コーヒーを溢したところで遅れるのは不器用なとりどもです。そのノブは右に回すことでこちらへと繋がります。その図書館はあの辺りにあります。屋上のそれは鯱鉾の親戚に過ぎません。まだ鼠どもとどう関われば良いのかわからないので謝らなければならないことは5分おきに発生するものです。ですが鼠が家守の卵を眺める機会は少ないはずなのでそれは同じことです。つまり輪郭に拘ることはない。座礁海月が溶けゆく様を観察することで自由研究は大成功です。黙るので怒らないで欲しいです。死ぬように眠りますが殺したのは鼠たちの抱える殺意が主な要因です。世界から入れた珈琲を蒸発し切る前に浴びせてやりましょう。その熱さがあなたの求めた愛と死の形によく似ているはず。全ての鼠は一本の尻尾に過ぎません。あなたも私もそこらの鼠も全ては分離した一滴に過ぎずそのうちまた元の流れに巻き込まれています。なのであらゆることに意味をなさない。退屈に思えてもそれは口の歪みを見つめたらわかる。鼠たちが氷を溶かせば良いものを自身が溶けてしまうので見てはられないものです。なのでチーズが話しかけてきたら齧らずに牧場に生きる鼠の話でも聞いてやりましょう。そこにもう一匹のあなたが駆け回っています。それを知るだけでその時からあなたの尻尾の先から湯気が昇り始める。あとは溶ける土の中に種を植えるだけで良い。全てに意味はなかったはず。あなたがどう感じるかだけ。胡瓜は薄くスライスすること。すると全ては元に戻る。ただの口笛につけた歌詞。なんでもないこと。
冷たくも乾くもない。 ohne Warum| @mir_ewig
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。冷たくも乾くもない。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます