飴でもどうか。
ohne Warum|
第1話
君の知る僕を知るのは君だけ。
君が見たものを知るものはだれもいない。
君が話すのはただの幽霊。
他のものには見えた試しがないはず。
その目に死を捉えたところで、それを知るものはどこにもいない。
君や僕の話す、その死とやらから伸びる影は、何処にも見当たらない。
ときどき死霊どもが、わけのわからぬ言葉遊びで僕らを嘲るとしても、それもただ僕らが 死 にそうさせているだけに過ぎない。
ただじっと眺めていては、そこから聞こえた響きには、あまりに怖くて崩れ落ちてしまうものだから。
なので僕は死霊どもには、お菓子を持たせてあげる。
奴らが恐れるのは、かぼちゃに、にんにくに、あとはまた他にも何かあるはず。
なのでハロウィンや、悪い子たちの騒ぐ夜が暁けるまで、綺麗な焚き火で堪えなくても大丈夫。
焚き火を囲むのは危ないはずだから、笑ってするものではないよね。
怖くなったら、沼地に住む邪悪な蛙どもや、ミミズクを気取った鳥どもを嗾けてやればいい。
奴らが僕らの頭に嵌めた野菜帽子をつついたとしても、中身が空なことには気付かないはず。
なので分析家たちには、それを掴めないうちから、霧を氷や水に変えて、掴めたように喜ばせて差しあげましょう。
そこに隠したそれを知ることができるのは、君だけなのだから。
飴は君にはやらない。
舌に乗せたそれが溶けるまではね。
よく噛んで。いいこだから。
飴でもどうか。 ohne Warum| @mir_ewig
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