進む

「そういえば...」

 そういえば、あのゲームの始まりもこんな部屋から始まったような...。

 ぼんやりとそんな事を考えていると、静まり返った部屋に、急にパラパラパラーンという高い効果音の様な音が響き渡った。

 「扉が開いたら、点灯するライトを目標に進んで下さい」

 もう一度パラパラパーンという効果音の様な音が鳴ると同時に、さっきまでどんなにしてもびくともしなかった頑強な扉が扉がスッと音もなく開いた。


 やはり、あのゲームと同じだ。

尚悠が恐る恐る部屋の外を見ると、真っ暗な中に矢印のライトだけが光っている。

 「これに従って進めということか。どのみちここにいてもどうしようもないしな...」

 点灯する矢印のライト以外何も見えない通路の中をゆっくりと進む。

 どこまで進めば良いのかも検討が付かない。

異常なほどの緊張感で腹によほどの力がこもっていたのか腹筋に痛みが走る。

 どのくらいの距離を歩いただろうか。実際はほんの数十秒しか経っていないのかもしれないが、恐怖と緊張のせいで、ものすごく長い時間に感じられる。

 手足は冷え切っているのに頭からは汗が流れて来る。

 「お入りください」

 唐突に、人工的なアナウンスが響いたかと思うとスッと目の前の壁が開いて、明るい光で目が眩んだ。


 

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