インテリジェンス
@suico
「白の部屋」
尚悠は、ただ真っ白で、無機質な、何も無い部屋の、これまた真っ白で、無機質な、何もないベッドの上で目を覚ました。
未だ夢の中にいるのかどうか、理解するのにかなりの時間を要した。
何度も頬をつねり、膝を叩いて理解した。
どうやら現実のようである。
さて、どうしたものか。
部屋を出ようにも、まず、窓がない。取手のない頑強そうなドアと、天井近くに小さな換気口と空調設備が付いているだけである。
外に出ようとその鎮座する真っ白なドアを押したり、叩いたり蹴ったり、試行錯誤してみたがびくともしない。
尚悠は、とりあえず諦めてベッドに座り直し、頭の中を整理してみることにした。目の前が少しぼやけてクラクラする。二日酔いのような感覚だ。
なぜ、このような訳もわからない部屋で目覚めることになったのか皆目検討もつかない。
友人達と深酒をして公園で目を覚ますようなことはこれまでにも経験があるし、連日の深夜残業の結果、電車の中で寝入ってしまい終着駅のベンチで目を覚ました事もある。
しかし、記憶が定かであるなら、昨夜は遅くまで仕事をして、まっすぐ家に帰りいつも通り床に就いたはずなのである。
そもそも誰が何の目的でこんなところに自分を閉じ込める必要があるのか。
朧げな頭で眠りに就く前の日の事を思い返してみた。普段通り忙しく仕事をこなし、そこそこ混んだ電車に乗り込み、いつも通り帰宅して、前日のカレーの残りを惰性でビールと共に流し込み、さっさとシャワーを浴びて就寝しただけである。
普段と違った点を強いて上げるとするならば、配信期間終了が迫っていたオンラインゲームをクリアしたことくらいである。
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