普通の来恋って…
@tool_act
第1話 気がかり
ごく平凡な中学生。仲良い友達が居て、家族が居て、彼女もいて。幸せで平凡な毎日を送っていた拓真。そんな平凡も少し崩れていく。
「透君……。どうしたの……?」
透。同じく中学生。拓真とは同じ塾になってから仲が良く、よく遊んでいた。友達はいるが少人数。家族はいるが表面上でしか関係は良くない。彼女はいない。でも明るくて面白い人だ。そんな透は今は明るくなくて暗い。
「…。ありがとう。そして許して、。」
そう言ってから透は拓真とは一切話さなかった。透は拓真の事が好なのに。
でも相手には彼女がいて、男だ。 男が男を愛すなんて。でも愛さないことなど出来ない。 透の思いを拓真は透本人から聞いた。
透が拓真の事を思うことで心に病みを抱えてしまうため、話した。 話したが、話したが…
そう言われたのは中3の夏。今は高校1年生の春だ。周りの環境も変わり新しい生活が始まろうとしていた。そのはずだが何かが少し気がかりだ。少し気がかりなまま拓真は高校の門をくぐった。そこまで綺麗な校舎ではないけど、偏差値はそこそこ高いのでまあいいだろうと心の中で呟いた。昇降口でクラス表を確認した。クラス表には見たことがある名前があった。確認し終わって教室に向かった。周りの人はお互いにどんな人間なんだろうとソワソワして周りをチラチラ見ていた。既に友達出来てるっぽい人もいた。 先生が教室に入って早速出席確認をした。 名前が順番に呼ばれていく。
「小澤 拓真」
「はい」
そう返事をしたらまた名前が順番に呼ばれていく。と思った時に時が止まった。
「影山 透」
「はい」
後ろにいたのはあの透だった。外見がガラッと変わっていた。中学生の時より地味なっていた。 クラス表に見覚えのあった名前は恐らく透の事だ。 拓真は気まずいまま出席確認を聞いていた。そう、気がかりな事は透が同じ高校に受かっていたということだった。
出席確認を終え、ホームルームも終わり、入学式も終わった。今日は入学式が終わったら学校も終わりだった為すぐに帰れた。しかし帰りも気まずい。なんにせよ小学校の頃から中学校まで一緒だから家も近いし、駅もおなじ。一声かけて前みたいに戻ろうと思った。
外見がガラッと変わった透に思い切って声をかけた。
「透君、覚えてる?」
透は拓真の顔をじっと見て、、微笑んだ。
そしてすぐに目を大きくして
「ごめんなさい」
と周りにも聞こえる大きな声で悲しそうに言い、走っていった。拓真は唖然とした。 あんだけ明るかった人もこんなに変わってしまうなんて。
中学生時代、透は周りの人よりも飛び抜けてハイテンションだった。友達が多くなくても自分を楽しくする、そして仲良い人にはとことん仲良くして楽しくする。そんな感じだったが、今では彼にとってハイテンションは対義語だ。
拓真はそれが心に引っかかったまま帰った。
高校1年生の春。俺は何故高校生になったのかもあまり分からず、門をくぐり昇降口まで行った。
そこにはクラス表があった。自分の名前を確認し、周りの人の名前を見ていたら
「小澤…拓真?!」
驚いた。同じ学校には意図的に行っていたが、まさかの同じクラスで出席番号が自分の一つ前。前の自分だったら喜んでいたが、あいにく今は気まずさしかない。恐る恐る教室に入ってうつ伏せになった。 外見もガラッと変わったためバレないだろうと思った。
出席確認の時に拓真はビクッとしていた。
だろうなと思いながら返事をした。 入学式が終わって、帰りにカフェに寄って帰ろうと思ったその時、拓真の声がした。
「透君、覚えてる?」
拓真はこっちをじっと見ていた。やっぱり可愛いなと思いながら拓真の顔を見て微笑んだ後、今までのことを思い出して走ってしまった。本当は元に戻りたいのに。バカをやってしまった。
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