第4話

「梨華が変なことを言ってごめんな」


 両親から食費を出してもらうことが決まって昼食を取った後、悠は自室に有栖を連れ込んだ。

 これからここで初体験を迎えると思っているようで、既に有栖の頬は赤く染まっている。


「いえ、面白い妹さんだなって思いました」


 どうやら梨華の発言に怒っていないらしく、有栖は「ふふ」と可愛く笑みを浮かべた。

 面白い妹だというのは否定しないが、後で母親にホモではないとメッセージを送らないといけない。

 絶対に息子がホモだって信じきっているので、訂正しておくのは必須だ。


「そういえば連絡先交換してなかったな。しようか」

「はい」


 お互いにスマホを取り出して連絡先を交換すると、有栖は嬉しそうに笑みを浮かべた。

 好きな人の連絡先が入るのは嬉しいことのようで、スマホの画面を見ながら「絶対に消しませんから」と呟いている。

 教室では絶対に見ることが出来なかった笑顔に、ギャップを感じて胸がドキドキしてしまう。

 狙ってやっているなら悪女だが、恐らくは天然だから破壊力は抜群だ。


「有栖、おいで」


 ベッドに座った悠が手招きをすると、頬を赤くして頷いた有栖もベッドに腰かける。

 屋上で座った時のように距離が近く、悠は優しく肩を抱いて有栖を引き寄せた。

 細いのに柔らかな感触と甘い匂いは男の本能を直接刺激していて、今すぐにでも襲いかかりたくなる。

 だけどまだするわけにはいかず、悠は有栖を押し倒す直前で止めた。


「これ以上は有栖が拒否しても止められないから、しないなら今の内だよ」


 しっかりと最終確認をしなければならない。

 この確認は保身のためであり、してもいいと言った後に行為におよんで途中で嫌だと言われても大丈夫なようにしなければならないのだ。

 了承さえ取れれば後はこちらのもの。


「はい。私は悠くんに初めてを捧げると決めたので大丈夫ですよ」


 きちんと覚悟を決めたであろう瞳で見つめられた。

 覚悟がないならセフレとしてでも側に置いてほしいと言わないだろうし、大丈夫だと思っていたが、本気で悠に初めてを捧げたいと思っているのだろう。


「じゃあしようか」

「はい」


 悠はキスしながら有栖を押し倒して初めてを貰った。


☆ ☆ ☆


「んん……んちゅ……」


 行為を終えた後、悠は有栖を抱き締めてキスをした。

 とても気持ちの良い体験で、このまま溺れてしまってもおかしくないと思ってしまったほどだ。


「好きな人とすることは本当に幸せです」


 初めてだから痛みはあっただろうが、好きな人に初めてを捧げられた有栖にはとても幸せな痛みだったのだろう。

 本当に幸せそうな笑みに、悠は可愛くて献身的な有栖を将来好きになりそうだとほとんど確信した。

 エッチなことを抜きにしても、有栖は可愛らしくて可憐な少女だ。

 しかも他の人には笑み見せないから独占出来る権利がついてくるため、このまま好きになってもおかしくはない。


「俺は有栖を好きになれるだろうから、それまではセフレで我慢してくれ」

「はい。好きになって貰えるように頑張ります」


 嬉しそうに笑みを浮かべた有栖にキスをした。

 将来は絶対に有栖を好きになって告白するという想いを込めながら。

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尽くしてくれる学校一の美少女が積極的な件 しゆの @shiyuno

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