【三通目】
”
こんにちは。
あなたに手紙を出すのは、これで三回目ですね。
日々、何事もなく、お過ごしのことでしょうか。
あなたは、三度目の私のことを、覚えておいででしょうか?
私は、あれから、猫になりました。
猫といっても、由緒正しき、血統書付きの猫ではありません。
色んな血が混ざりあった、雑種の、名も無き猫です。
ニャアニャアと鳴くだけで、皆が顔をほころばせる、かわいいかわいい、猫になりました。
でも、あなたは、そんな私の身体を、火で炙りましたね。
ひげが焦げて、毛が焦げて、肌が裂けて、ぷちゅぷちゅと肉が弾けて、私の身体は燃えていきました。
自慢の長い尻尾も、きれいな形をしていた耳も、見るも無残に、真っ黒に、焼け焦げていきました。
熱くて、痛くて、のた打ち回りました。
ニャアニャアと鳴き叫びました。
でも、あなたは、笑っていましたね。
その内、目玉も破けて、焦げて、見えなくなりましたが、あなたの笑い声は、ずっと、ずっと、聴こえていましたよ。
あなたは、また、奪いました。
私の命を。
”
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