第2話 「はじめまして」

目を覚ますと俺は緑の広がる大平原に倒れていた。


「(さっきまでの出来事は夢...じゃないよな?)」


夢ではないことはすぐにわかった、だってあたりを見渡せば平和そうにのんびり暮らしているモンスターがいるのだから。いつもゲーム実況していた俺にとって何千何百と見ていた景色だったが、それでも実際に見るとじゃ全然違う。


とりあえず近づいてみようかな...


「ドゴオオォォォォォォン!!」


後ろで凄まじい音がした。


「なんだぁ...?」


後ろを見てみると数人の戦士達が大きな熊と睨み合っていた。


今にも戦いが始まりそうだ。


始めに動いたのは熊だった小型車並みの大きさがあるというのに俊敏な動きだ。

しかし、戦士達も一筋縄にはいかない。


わけでもなかった...


「ウワァァァァァ!逃げろォォォ!」


戦士達は熊の恐ろしさに逃げていった。


1人を除いては...


「ドゴォォォォン!!」熊の大きな前足が地面を強く打った。」




熊と1人の女戦士は激しい攻防戦を繰り広げていた。


「スッゲー!」

俺は戦いの激しさに息を呑んだ。


「(こんな戦いを実況出来れば)」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【あら。しないんですか?】


「(なんだ?今頭の中から声がした気が)」


【それはそうでしょうね。私が直接頭からあなたにコミュニケーションを図っているのですから】


「てか、この声ってあの時の...」


【そんなことはどうでもいいんです。実況したいんですよね?だったらすればいいじゃないですか】


「いやまぁそうなんだけどこんな命懸けの戦いの横で実況って非常識すぎるでしょ!」


【それじゃああなたの[スキル]は戦闘向けの実況スキルにしてあげますよ】





スキル  [実況][解説]を手に入れた





「うおっ!二つも、でもこんなスキルがどう戦闘向きなスキルになるんですか?」


【それは使ってからのお楽しみですよ】

  

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


すると俺はまた緑の広がる大平原に立っていた。


「(いま...俺は自分の頭の中にいたのか?

いや...そんなことよりも...早くあの熊と戦っているあの彼女のフォローを...)」


互角で戦っていたはずの彼女と熊だったが彼女の攻撃が熊には入っていなく、今にも熊に一撃入れられそうなくらい彼女は疲弊していた。



「グアォォォォォォォォォッッ!」




「右だッ!懐に潜れ!」


俺はとっさに声が出た。


しかし、彼女は戸惑いもせずに、俺の言う通りに動き、間一髪熊の攻撃を交わした。


「よし!あとはアイツをどう倒すかだ。どうにかあの熊の情報を手に入れなければ。こんな時こそ俺のスキルがつかえるんじゃね?」




[解説]発動 


俺の頭の中に熊のデータが入ってきた。

 

『名称 インパクトベアー』

『危険度 4 /10 』

『特徴 とても頑丈な全身をもち、前脚を地面に叩きつけ大地に大きな衝撃を与える。この攻撃をまともにくらえば、命の保証はないだろう。』


『強点 全身がかなり硬い 前脚を振り下ろした際の一撃は上質の装備さえも打ち砕く』


『弱点 小回りが効きにくく、お腹を撫でられると戦意を喪失する』


    



    これより先の情報はレベルがいる。



「(これなら...)」「おい!あんたそいつを倒す術がある。俺に協力してくれ!」


すると彼女が応えた。〈わかったわよ!やればいいんでしょ!〉


「(なんかムカつくな)」まぁいいアイツを信じる他ない。


「その熊は小回りが得意ではない!さらに腹を撫でられると戦意を失う。つまり硬い全身を無理矢理攻撃するんじゃなくて、うまく熊の懐に入り腹を撫でるんだ!」


〈やってあげるわ!〉彼女はそう言って動いた。


熊は両足を上げ攻撃の構えをとった。彼女はその隙を逃さず熊の懐に入ろうとした。


「まずいッ、あのままだと腹を撫でる前に熊に砕かれるぞ!」


[実況]発動  


「一旦下がれッ!」すると彼女は先程とは別人のような素早さで動いた。


彼女自身も驚いていた。



「(とりあえず彼女は無事か、しかしどうするか熊小回りが苦手だと言ってもやはり現世の熊ほどは小回りが効く)」


すると彼女が俺に言った。


〈あなたさっき私に※バフ※を乗せたよね?それもう一度できない?〉

※能力強化のこと※


「(えっ?俺そんなことをしたのか?まさか[実況]のスキルのおかげか)」


やってみるしかない。


[実況]発動


「(ちょっと難しいオーダーしてみよう...)」

 

「未だ素早く後ろへ周り、熊の後ろからスライディングして腹を撫でろ!」



彼女の動きは再び速くなり俺のオーダー通りの完璧な動きを見せた。




すると、腹を撫でられた熊は横たわり戦うのはやめた。


「ふぅーなんとか終わったな」



〈ちょっとアンタ!私を殺すつもりだったでしょ!〉


「ごめんごめん悪気はなかったんだ。」


〈まぁいいわ!お礼はいわないけど、でも挨拶はしてあげる。私はモノカミ地方からきた

ソラ。あんたは?〉


「おれは流星。声張流星だ。異世界から来た。」


〈へぇ。転生者なんて珍しいものと出会ったみたいね。よろしくリュウセイ!〉


「こちらこそ」


「(転生者ってやっぱ珍しいのか、俺以外にもいるみたいだけど...)」



〈アンタの話色々聞きたいし近くに町があるから酒場で話でもしない?〉


「もちろん!」


          俺たちは街へ向かった










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異世界実況者 コトペネ @kotopene

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