異世界実況者

コトペネ

第1話 ようこそ異世界へ

 薄暗い部屋の中で時計は深夜2時を指していた。


「よし!ここを右に曲がれば...オッケー!じゃあこれで今回は終わりますか!ご視聴ありがとうございました!」


 はぁ...疲れた、


「でもまだまだ撮らなきゃいけない動画あるから寝れねぇぞ...」


体に残った大きな疲れを誤魔化すために飲んだ栄養ドリンクの空き缶は机を埋め尽くしていた。俺自身どんな無茶をしているか理解していた。


「(でも、今が大事な時期なんだ、やっと登録者が十万人を超えたんだ、今この勢いにのらなけば...)」


大学を卒業し、親の元を離れたはいいが新生活に馴染めず結局会社を辞めた俺は生活が苦しくなり、藁にもすがる思いで始めたゲーム実況。思わぬ実況の才能を開花させた俺はみるみるうちに登録者を増やしていった。


「(この実況のおかげで1日3食苦もなく暮らすことができる。だからあと少し...)」


2日も睡眠をしていない体が限界を迎えていることを自分が1番知っていたがカフェインで目をつぶっていた。そして、ついにその時が来た。俺はいつも通りLiveを配信していた時だった。心臓がいつもよりも速く速く打ちつけられていた


「ドクンッドクンッ!ドクンッドクンッ!」


そこから俺は妙に落ち着きながら死を悟った


「あぁ...俺死ぬのか、でも配信しながら死ねるのは実況者としての本望かもな...ハハ...」バタッ





ここから先の意識はない。




【おかえりなさい我が子よ】


俺が目を覚ますと目の前に頭のてっぺんから足の先まで白いとても美しい女の人が立っていた。

「こ...ここはどこですか?」聞かなくてもなんとなく返事は知っていた。


【ここは死後の部屋です】「(ふん...やっぱりな、本当に死後に概念なんてあったのか)」


【あなたは日々の疲れによって自分の身を滅ぼしてしまいました。死因はカフェイン中毒ですね】


「そ...そうですか...でも辛かったとはいえ充実したとてもよい人生でした...俺はもう一度人として人生をやり直すことはできるんですか?」俺は無理だろうとわかりながらも聞いた。

すると、


【出来ます。しかし、前世と同じ世界に行くことは出来ません、これは万物の掟なのです。しかし前世とは異なる世界。つまり異世界ならばあなた達だけはもう一度転生することができます】

俺は疑問を持った「(あなた達?俺だけじゃなくて?)」


すると彼女は【そう、あなたを含めた現世で何かを一つを心から極たいと願う者。そのもの達だけが異世界へ転生することが許されています。あなたもその権利を持っています。使いますか?】


そんなもん決まってんだろ


俺は大きく息を吸って答えた「当たり前だ」今度こそ絶対実況者として世界に名を馳せてやるそして彼女が言った【愚問でしょうけどあなたがなにを極めたくてこの権利を得たかわかりますか?】




そんなん忘れるわけねぇだろうが



「実況!」



すると彼女はニコッと微笑んだ【では、転生を行います】

ようやく俺は自分がなにをしたいか見つけられることができた。

やりたいことが見つけられたこれほど幸福なことはないだろう俺は感謝の気持ちでいっぱいになった。

「ありがとう!女神様!」

すると彼女は微笑みながら行った【私は女ではないですよ】転送が始まった


「ハァッ?」

        


               転送完了


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