10話.[見つけてやれた]

「おい真里那、これって……」

「あ……、実は買っていたんですよね、もう何度も……使用していますけど」


 姉の部屋で勉強をしていた際に見つけてしまった。

 いや、あのときは確かに勢いで、好みで、姉に似合いそうな物を選んだが、まさか購入していたなんてと驚いていた。


「もっと見えないところとかに置いておけよ」

「だって、健人くんがここでするなんて思わなくて……」

「悪い……」

「いえ……」


 どうせならと、自分よりも優秀な姉に教えてもらおうとしたのだ。

 教え方が上手なのも分かっているからというのもあった。

 そして、下着以外は本当に特に問題もなくできていたということになる。


「お勉強の方はどうですか?」

「真里那のおかげで理解が深まった、ありがとう」

「ふふ、どういたしまして」


 よし、これで平均70点以上は取れることだろう。

 上位を目指したいなんてそんな素晴らしい志があるわけではないからこれぐらいでいい、平均ぐらいでいいのだ。


「つか、俺が選んだやつを買うとか、変態か?」

「なっ、なんでそうなるんですかっ。……単純に、可愛かったからですけど」

「ふっ、まあいいや」

「もう……」


 変態野郎というわけでもないから特になにも感じてはいない。

 可愛いのを見つけてやれて良かった程度に考えておけばいいだろう。

 ……この前母がぶちかましてきたようなことをするわけでもないんだし。

 俺達は血の繋がった姉弟同士で付き合っていること以外では健全なことばかりだった。

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38作品目 Rinora @rianora_

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