09話.[いまはただただ]
「は? 付き合い始めた?」
「おう」
仕事から帰ってきて明日は休みだし酒でも飲むかーなんて考えていたところにかなりの衝撃を与えてくれた。
「は、え? 真里那と?」
「あ、ああ」
「あれだけ喧嘩してたのに?」
「ま、まあ」
こういうことで嘘をつかない人間であることはわかっている。
いやでもまさか、やっと異性と付き合い出したと思ったらその相手が実は姉でした~なんて……なあ。
「真里那を連れてきな」
「……やっぱり反対か?」
「いいから早く」
こっちは酒缶を出してくることにした。
下りてくる前から開けて、中身を全て飲み干す。
「お、お母さん……」
「座りな、健人も」
「おう……」
これじゃあ気持ち良く酔うことができない。
せめて言いたいことは言っておかなければ。
「ヤルときはちゃんとゴムつけろよ!」
「「え」」
気まずいからこっちが缶を持ってリビングから逃げ出した。
「知らない知らない、ふたりの人生なんだから犯罪をしていない限りは止めなくいいでしょ」
……母が言うにしては最低だっただろうか?
でも、付き合えたら、好きならそういうことにも興味が出てくるかもしれないし、避妊は大切だからしょうがないしょうがない。
「もっと飲も~」
いまはただただ休むことを優先すればいい。
別に犯罪じゃないんだから気にしなくていいさ。
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