「彼の自殺」は運命ではない。その死によって、終わらせた世界とは？（作品だとすれば、この次に公開された。）／ただし、これでおしまい。いい夢だった。暁けにまた。

第1話

彼は息子を見てはいなかったのは確かだ。この年齢の男の子を見つめて苦しませることなどは出来ない。彼が見つめた先にあるものとは？言う必要もなく、それはあの日の戦争。彼が見せられた人の山。Boltanski が見せてくれたのと同じもの。祖父に見せるとしたら、去年の夏に美術館で見せられたもの。僕の慰めが祖父を生かす。そこに「不在」が生かされなかった。僕はただの「人」だった。彼らには無価値なものがここには無い。彼の見たかったものを僕は見た。彼の父親が見せられたもの。同じものを見せようと、見せまいと、ここに時代も国も、それらを分類することは難しい。我々は一つでしか無い。社会も無ければ、人間関係なども不要。ここに生きるだけで死者と繋がる。見たいものは見せられた。虚飾という名の戦争の夢。価値はない。何処にも。不在に落とせ。慰めではなく。生かすな。落とせ。弾頭ではなく。ホテルの鍵ではなく。

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