こちらは『猫の手も借りる! 世界大戦 〜黒髪の剣術娘、立身する! 猫とロボと仲間を連れて、世界中の戦争に飛び込みます〜』の続編にして完結編です。
舞台がさらに世界各国へと移り、軍人少女ジゼルとロボット兵器リベルギントを中心に、個性的・魅力的なキャラクターたちが世界狭しと大活躍!
世界大戦も激化し、より重厚な戦史物としての側面を強くしていきます。
各国にモデル国が実在しますので、まるで本物のあの大戦を紐解いているような、自分もあの時代の当事者として彼らに同行しているような気がしてきます。
各民族色を色濃く反映した、人間ドラマや戦闘シーンも圧巻!
まるで壮大なSFアニメ映画を全話視聴終えたような、満ち足りた読後感が広がります。
研ぎ澄まされたハイレベルな軍事、読者サービスも忘れない魅力たっぷりの美少女軍人たち……これは、ロボットアニメ好きなら読まない手はないのではないでしょうか?
もちろん、可愛らしい猫たちもたっぷりお待ちしていますよ♬
この物語には前作があり、続編となるこちらの作品は前作を更に上回る迫力の作品に仕上がっています。
主人公ジゼルの技、ロボットとの融合はもとより、登場人物達の絆の深まりと終焉へと向かっていく世界大戦に纏わる人間模様が秀逸で、引き込まれること必至です。
息苦しくなるような戦局の中、清々しく笑う美しい魔女隊のお姉様方のやり取りや猫さん達の存在が潤いを与えてくれます。だからこそ尚更、そこで展開される人間模様が心にしみるのです。
戦闘シーンも、素晴しい。
脳内画像をそのままスクリーンに映せるのなら、ガ○ダ○やエ○ンゲリ○ンを凌駕するアニメーションとなるでしょう。ただし、R18ですが。
あなたも、あなただけの素晴しい物語を脳内に描いてみませんか?いや、アニメ化してほしい、まじで。
捕捉です。番外編がまた、面白いのですが、最終回は必ず見るべし、です。
「言葉で伝えてくださいね」
とは、作中で、最愛の相手に主人公が伝える言葉です。
我々にとっては、当たり前のその情報伝達方法は、不自由なことなのでしょうか?
想いを伝えるとき、もどかしい思いを感じた方は多いと思います。
「言葉はいつも想いに足りない」これは私の好きな映画からの引用ですが、想いが強ければ強いほど、文字や言葉では伝えきれないと感じる。
だから伝える側は様々な表現を考え、語彙を増やす。
でも、思うことが簡単に相手に伝わるとしたらそれは幸せなのでしょうか?
念話、テレパシー、サトリといった思考の伝え合いは、発信、受信にきちんとスイッチを置かなければ大変な騒動に繋がるのは必至です。
本音を隠す事こそが秩序を保つ方法なのだとしたら、思考はやはり、文字や言葉という「暗号」に変換するのが良いのかもしれません。
本作では、思考を多くの生命体と同期させたり、単一の個体同士の境界を無くしたりと、魂や思考のあり方にも言及しています。
冒頭に引用した、物語の終盤に語られる主人公の言葉は、他者と理解する上での理想と現実をあらためて考えさせられました。
とまあ、読後の感想はともかく、本作のおススメポイントをご紹介します。
・仮想戦記はお好きですか?
・人型ロボットはお好きですか?
・重厚な戦闘シーンはお好きですか?
・老若男女問わず、個性的な登場人物はお好きですか?
・男女の情交や、百合はお好きですか?
・猫はお好きですか?
そして、美しい日本語はお好きですか?
もしこの中にいくつか該当する項目がございましたら、きっとこの物語を楽しめると思います。
そうそう、私はネコを飼っているのですが、本作を読んだ後から少しだけ対応が変化しました。
世界中の彼らが見て、聞いている情報が、集合知として集積され、それを誰かが観測しているとしたら……。
いくら清廉潔白な私でさえ、身震いがしてきます。
私はネコに、ちゅーるを与えながら言うのです。
「わかっているね?キミは何も見ていない、何も聞いていない」と。