第22話 第八章 試練1
第八章 試練
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眼下に迫った巨大な老木の枝に向かって、ジェダイドはモリオンの指示に従い、ゆっくりと降りていく。
「よーし、よーし」
ジェダイドが無事に老木の枝に着地すると、モリオンはジェダイドの背中から老木の枝の上に移り、ジェダイドの首のあたりを撫でてやる。
「少し待っていてね。すぐに用事をすませるから」
モリオンはジェダイドに言い聞かせると、ジェダイドから離れて老木の枝の上を歩き始める。目指すのは老木の枝の中ほどにある、大きな木のこぶだ。こぶの前に来たモリオンは、まずこぶを指で突いて様子を見る。目の前にある木のこぶはぶよぶよしていて、指で触る手中で何かが動いているのが感じられる。
「中に沢山入っているみたいね」
こぶの状態を確かめるとモリオンは、騎乗服のベルトに付けていたナイフを取り出すと、ナイフの刃をゆっくりとこぶに当て、切れ目を入れていく。ある程度切れ目が付いたところで両手をその中に入れ、切れ目を押し広げると、中で蠢く幼虫の塊が出てきた。老木に出来たこぶは、老木に好んで卵を産み付ける虫が作る、虫こぶだった。はっきり言って、こぶの中でごそごそしている幼虫は気味悪かったが、この幼虫は新緑の獣達の、良い食料でもあった。勿論、モリオンが保護した幼獣にとっても。
モリオンはナイフをしまうと今度は記事洋服のポケットから袋を取り出して手を袋の中に入れ、袋の上から幼虫を掴み取った。
「これで良しっと」
幼虫が袋の中を三分の二以上埋めたのを見たモリオンは、袋の口をしっかりと縛るとジェダイドの元に戻り、騎乗具の物入れに幼虫の袋を入れると、ジェダイドに騎乗して老木の枝から飛び立った。これで、二日間分の幼獣の餌は確保出来た。早く村に戻って、用自由に虫を食べさせよう。モリオンは夕暮れが迫る空の中、ジェダイドを急がせた。
鳥使いの村に戻るとモリオンは、ジェダイドの世話を済ませてパートナーを自由にすると、急いで鳥の保護小屋に行き自分が保護した幼獣に取ってきた幼虫を与えた。朝早く起きると幼獣の様子を見に行き、それから仲間と共に鳥使いの仕事に向かう。そして仕事から帰ると幼獣の世話し、餌がなくなると村近くの老木の群生まで、餌の虫を取りに行く。更に仕事や幼獣の世話の合間に、製薬所で薬草の勉強をする。こんな目まぐるしい日々が、ここ三週間以上続いていた。でもこんな日常も、もうすぐ終わるだろう。深緑の獣の成長は早く、幼獣はもう、保護した時の二倍の大きさになっていた。保護小屋の管理人ヘーデンは、なるべく早く幼獣を深緑に戻したらいいと言っていた。あまり長く保護小屋には置いていけないと、判断したのだ。勿論もモリオンもそれに異存はない。しかしモリオンが深緑の獣を保護した事で、モリオンは長老の一部から厳しい目で見られるようになっていた。果たして事の事がモリオンの今後にどう響いていくのか。不安を抱えながら、モリオンは幼獣に餌を与えていく。
「さぁ、あと三日経ったらこの子を元の場所にもどしてやろうかな」
幼獣を保護してから一か月近くたったある日、ヘーデンは幼獣わ抱き上げながらモリオンにこう告た。もう幼獣を仲間の元に返してもよいと、判断したのだろう。
「本当ですか?」
ヘーデンから幼獣を受け取りながら、モリオンはヘーデンに聞き返す。
「あぁ、もう何も問題は見当たらないからね。それにもうこれ以上は、このこのを保護し続けるのは難しい。いいね」
「はい」
モリオンはヘーデンに返事をすると、幼獣を大きな籠に戻し、ヘーデンに礼を言ってから保護小屋を出た。これでやっと、難しい仕事を終えられる。ほっとすると同時に、少しばかりの寂しさも感じる。世話をしてきた幼獣と別れるのは寂しい。でも、仲間の元に帰るのが、あのこの為なんだ。すっかり日が暮れた村を歩きながら、モリオンは自分に言い聞かす。そして密かに自を助けてくれたジェイドに、イドで礼を伝えた。
[有難う、ジェイド]
モリオンはジェイドと意識を繋げようと試みる。しかし相変わらず、ジェイドの意識は伝わって来ない。まだジェイドは、心を完全に開いてはくれないらしい。
[ジェイド、早く姿を現してよ]
モリオンは空を見上げ、おそらく何処かにいるジェイドを見ているだろうピティスと二つの月を見ながらイドでそっと呟き、急ぎ足で若手鳥使い達の宿舎へと歩いていく。
樹海に戻してもよいと宣言されてから二日後の朝、モリオンが保護した幼獣は予定通りに、深緑に戻された。幼獣はモリオンが首にかけた袋に入れられ、ジェダイドに乗ってもといた巨樹の枝に連れてこられた。
「さぁ、仲間の元に帰りなさい」
モリオンは巨樹の枝に立つと袋から幼獣を出し、枝の上に放してやる。自由になった幼獣は暫くきょとんとして、枝の上でじっといていたものの、巨樹の葉の茂みから低く響く声がすると、幼獣は巨樹の枝を這うように進んでいき、葉の茂った中に入っていく。多分、幼獣の仲間が呼ばれ、仲間の元に戻ったのだろう。モリオンは幼獣の姿が見えなくなると、大枝の上で蹲っているジェダイドの元に戻った。幼獣を入れていた袋を騎乗具の物入れにしまうとジェダイドに飛び乗り、巨樹を後にする。
「さよなら、元気でね」
巨樹の真上まで上昇すると、モリオンは巨樹の葉に隠れているだろう幼獣に別れを告げ、新緑の別の場所で仕事をしている若手達の元に向かった。
モリオンが深緑の獣の幼獣を新緑に戻してからの二週間は、何事もなく過ぎていった。とは言っても、モリオンが属する若手鳥使い達の集団には、少しずつある変化が起こっている。若手鳥使い達の中から、長老達に一人前の鳥使いになったと宣言される者かが出てきたのだ。長老達は若手鳥使い達の中から、一人前の鳥使いのとしての技量を持ったと判断した若手鳥使いに対して、大勢の前で一人前の鳥使いにすると宣言し、一人前の鳥使いにしていく。一人前の鳥使いになったと宣言された若手達は、宣言された翌日からそれまでの宿舎を離れ、一人前の鳥使い達に用意された住居へと移っていった。その後、一人前になった鳥使い達は右肩に鳥使いの印を入れてもらい、樹海の聖域と呼ばれる場所でハートナーのベヌゥと一晩を過ごすという体験を経て、一人前の鳥使いとしての生活を始める。一人前になると、もう若手鳥使い達とは行動せず、責任を伴う仕事に携わる。また一人前になれば、樹海周辺部の町に一人で商売をしに行く事や、仕事を選ぶ事も許され、生活をともにする伴侶を探す事も出来る。
モリオンは若手が人前に宣言されるたびに、宿舎を離れる仲間をうらやましく思いながら、見送った。早く一人前の鳥使いになって、樹海周辺部をさ迷うジェイドを、鳥使いの村まで連れて帰りたかった。
モリオンが瞳の湖でジェイドを見掛けて以来鳥使い達は、毎日だれか一人は瞳の湖に行き、ジェイドを探していた。しかし鳥使い達はジェイドを見掛ける事は出来ても、まだジェイドを連れ戻せずにいる。早く一人前になって、ジェイド捜索の一員になりたい。モリオンは強くそう願っていたものの、現実は厳しそうだった。深緑の獣を保護するという、鳥使いとしては好ましく無い行動をしたよそ者のモリオンは、一部の長老達からは嫌がられていた。とにかく一人前を目指して頑張るしかなかったのだが、また大きな事件が、モリオンの身に起こってしまった。
何時もの仲間と、深緑での作業に出かけた時の事だ。その日、若手達に任された仕事は、火消しと呼ばれる消火剤の材料を採集だった。火消しは鳥使い達が使う強力な消火剤で、巨樹の幹や枝に寄生する、かさぶた状の寄生生物を原料にして作られていた。若手達が専用の刃物で一つ一つ枝から剥がした寄生生物を細かく砕いたものを、数種の薬品や土などを混ぜ、火消しは作られ、樹海で火災が起こればいつでも使えるように、村の倉庫に常備されている。モリオン達は樹海の大きな脅威である火災に備えるべく、一日がかりで寄生生物の採集に精を出していた。
モリオン達は手頃な寄生生物の群生のある巨樹の枝を見付けると、若手鳥使い達は寄生生物のある枝と重なり合っている枝にベヌゥ達を止まらせて巨樹の枝に降りると、寄生生物のある枝に移動してから作業を始める。枝の上で山のように盛り上がった寄生生物の群生に近付くと、重なり合う寄生生物の間にナイフを入れて一抱えもある寄生生物を剥がし、集めた寄生生物を四、五個ずつ紐で縛り、寄生生物の束を作る。モリオンも寄生生物をナイフで剥がすと、手早く寄生生物の束を作っていった。ところが三個目の寄生生物の束を作ろうとして足元に落ちていた紐を右手で拾ったとたんに、手にした紐が不気味に動くのに気付く。
(しまった!)
時分が拾ったのが紐でなくある生き物の触手なのに気付いたモリオンは、慌ててのたうち回る触手から手を放そうとしたが、もう遅かった。不気味な赤茶色の触手はモリオンの手に絡みつき、枝の下に引きずり込もうとする。この触手の持ち主が枝の下に隠れて、モリオンが罠にかかるのを待っていたのだ。モリオンは悲鳴を上げながら左手に持っていたナイフで触手を叩き、自分を枝の下に引きずり込もうとする力に抵抗を試みる。しかし手に絡みついた触手には弾力性があり、ナイフの刃はいくら触手に当てても、はね返されるばかりだ。だがそれでも、ナイフが触手に当たると、触手の動きはほんの少しだが止まり、モリオンが抵抗している間に、仲間達がやってきてモリオンが引きずり込まれないように、モリオンの身体を押さえつけてくれた。そのうち触手との格闘を続けるモリオンの前に、触手の主が姿を現した。ぶよぶよとした、内臓を思わせるような身体に無数の触手を持った軟体動物が、巨樹の枝の下から姿を現した。樹海の怪物、ホネナシだ。
枝の上に上がろうとするホネナシは、身体から飛び出したように見える二つの目玉でモリオンを睨むと、ゆっくりとモリオンに向かって這いずって来る。絶体絶命だ。その時、空しい抵抗を続けるモリオンの耳に、ベヌゥの鳴き声が聞こえてきた。モリオンの危機を感じ取ったジェダイドが、ホネナシに襲われているモリオンの上空にやってきたのだ。
[こないて、こないで!]
モリオンは上空を旋回するジェダイドに、こちらに近付かないよう、イドで伝える。ホネナシはベヌゥですら餌食にしてしまうような、恐ろしい生き物だ。幸い、目の前にいるホネナシは小さそうだったが、万一の事かぜあっては大変だ。モリオンの意識が通じたのか、ジェダイドはモリオンがいる巨樹には近づかず空を旋回し始めた。その間にも、ホネナシは少しずつ、モリオンに近寄っていく。しかしもうだめかと思った瞬間、突然銀色の羽根がホネナシに向かって落ちて来て、ホネナシの気を引いた。ホネナシは半分飛び出したような目を上に向け、落ちてくる羽根を睨み、モリオンから目を離す。そしてその瞬間狙ったかのように、一羽の鳥使いを乗せたベヌゥがホネナシ目がけて飛んできた。ケレルを乗せたベヌウだ。
ケレルのパートナーはホネナシの頭上へと急降下し、足の爪でホネナシの身体を素早くかすめると一気に上昇していく。ホネナシの二つの目の間に、大きな傷を残して。ベヌゥに深手を負わされたホネナシは聞いた事もない声で大きな悲鳴を上げると、モリオンを掴んでいた触手を放し、モリオンとモリオンの身体を押さえていた仲間達は、触手から解放された。混乱したホネナシは全ての触手を身体の上に持ってきて出鱈目に振り回し、自由になったモリオンは腕の痛みに耐えながらその場を離れると、巨樹の枝にとまったジェダイドの背に乗る。そのときには仲間達は、ベヌゥに乗って次の行動に移っていた。若手達を乗せたベヌウはホネナシの周りを輪になって飛び回ると、乗っていた若手達は騎乗具の物入れから取り出した吹き矢で、ホネナシに向かって矢を放つ。吹き矢は樹海で危険な生き物に出会ったときに使うもので、矢には生き物を痺れさせる毒が仕組んであった。若手鳥使い達は吹き矢の扱いをしっかり教わっていて、危険に陥った時には使える許可を貰っていた。今のような時の為にだ。毒の矢を受けたホネナシは身体の色をどす黒く変え、触手は全て縮みこませると巨樹の枝から滑り落ち、緑の底に消えていった。
[さぁ、早く此処から立ち去ろう。あのホネナシの仲間がいるかもしれないから]
モリオンを襲ったホネナシが姿を消すと、ケレルはこの日の作業を止めて、鳥使いの村に帰るよう、イドで仲間に呼び掛けた。
[まずシリカ。今すぐ、モリオンと一緒に村へ帰ってくれないかな。後の者は今日の収穫を荷物にまとめてから、村に帰るとしよう]
ケレルの提案に若手達は頷いて賛意を示すと、モリオンとシリカはすぐにそれぞれのパートナーと共に巨樹から離れ、鳥使いの村へと急いだ。
(あぁ、なんてことになったの)
痛む腕で懸命に騎乗具の操作綱を握りながら、モリオンは情けなさにつぶされそうになるのを感じたていた。モリオンがホネナシの触手をうっかり触ってしまった為に、今日の作業は中止になったのだから。ホネナシを見付けた場所からは、即刻立ち去るのが基本だ。ホネナシの仲間がどこに潜んでいるかも判らないし、ホネナシを毒の吹き矢で倒したとしても、生命力の強いホネナシがもとに戻ってくる可能性があった。何しろホネナシの生命力は底なしなのだ。リーダーのケレルが、すぐホネナシの居た巨樹からの退去を決めたのは、全うな判断だ。これで長老達はケレルを高く評価するだろう。それに比べて不注意をしでかした自分は、どうなるのだろうか? 腕の痛みとこれからへの不安が、ジェダイドに乗って村に帰るモリオンの心を襲う。
鳥使いの村に帰るとモリオンは、離着陸場でジェダイドから降りるとすぐに、離着陸場で待っていた怪我の治療師に引き渡された。体格の良い中年女性の治療師は何人かの鳥使いが見守る中、離着陸場でさっそくモリオンに腕に応急処置を施し始めた。もうすでにモリオンがホネナシに襲われた事は、イドを通じて鳥使い達みんなに伝わっていた。鳥使い達が心配そうに見守る中での応急処置を終えると怪我の治療師は、今度はモリオンを村の一角にある自分の診療所に連れていき、本格的な治療を施した。
「やれやれ、骨は折られずにすんだようね。あなたを襲ったホネナシが、まだ小さな個体だったことに感謝しなさい。大きなホネナシなら、こんな事ではすまいだろうから」
怪我の治療師はモリオンに少し説教した後、一週間はベヌゥに乗らないよう、モリオンに言い渡した。モリオンにとっては、かなりつらい事だ。一人前になろうとするこの時期に一週間も鳥使いを休めば、他の仲間に遅れを取ってしまう。とことん気持を落ち込ませたモリオンは、思い足取りで診療所を出ると、若手鳥使い達の宿舎に戻っていく。と、宿舎ではモリオンの気持をもっと重くする話が、大きな話題となっていた。モリオン達の後から鳥使いの村に帰ってきたケレルを、長老ビルカが一人前の鳥使いにすると宣言したというのだ。宿舎はこの話で大いに沸いていて、ケレルはみんなから祝福されていた。モリオンもケレルにおめでとうといったものの、気持は落ち着かなかった。若手鳥使いが一人前の鳥使いになっていくのには、これまで何度も立ち会ってきて、素直に仲間の成長を喜んでいたのに、今回は心から喜べない。何しろ自分の不注意で起こった危機への対処で、ケレルは一人前の鳥使いになったのだから。でも起こってしまったことを、これ以上悔いても仕方がない。モリオンはケレルを祝う仲間と共に宿舎の広間に行き、そこでケレルや仲間達と就寝時間まで、おしゃべりに興じたのだった。そして次の朝、ケレルは仲間達に見送られながら若手鳥使い達の宿舎を後にし、まだ伴侶のいない一人前の鳥使い達に用意された住居へと移っていった。
右手を痛めてジェダイドに乗れなくなっていた一週間、モリオンは製薬所での薬草の勉強に、ジェダイドに乗れない時間を費やしていた。朝いつも通りに起きるといつものようにジェダイドの世話をし、ジェダイドが樹海に飛び去るのを見届けると、一目散に製薬所に向かい、勉強をした後は怪我の治療師のもとに行く。そんな毎日が暫く繰り返され、モリオンは薬草師から様々な技を学ぶ。うれしい事に薬草師もその弟子達もモリオンに親切にしてくれていて、モリオンの質問に丁寧に答えて暮れるだけでなく、腕を痛めたモリオンが早く良くなるように、痛めた手足によく効く薬まで渡してくれていた。モリオンは製薬所の人々に感謝し、以下は恩返しをしたいと思っていた。もっとも恩返しが出来たとしても、長老達のモリオンの評価を、上げる事は無いのだが。ホネナシの一件以来、モリオンの評価は下がったままだ。でも右腕の状態は回復に向かっていき、治療師から三日後にはジェダイドに乗れるようになると言われたとき、モリオンが製薬所の人たちに恩を返す良い機会がやってきた。薬草師が非常に貴重な薬草を分けてもらいに三日の予定で樹海周辺部の町に行くので、薬草師の代わりに薬草を取に来た人に渡す役目が、モリオンに回ってきていた。
モリオンは人々に渡す予定の薬を管理し、薬を必要とする人たちに渡す仕事をしっかりとやり遂げ、何時もの鳥使いの生活に戻っていった。ジェダイドの乗れない日々は、もう二度と経験したくない、いやな出来事だったが、最後に薬を取に来る人々に有難うと言われ、心が救われたような気がした。もうこれ以上、めそめそするのは止めよう。いつまでもめそめそしていたら、自分にありがとうと言ってくれた人達に申し訳ない。モリオンは気持を変え、再び鳥使いの仕事に励み始める。そしてモリオンの右腕が回復したのと同時に、うれしい知らせが舞い込んできた。たまたま瞳の湖の上空を飛んでいた鳥使いが、騎乗獣と荷役獣を連れたジェイドを見付け、少しながらもジェイドと話しをしたというのだ。これまで瞳の湖で見掛けられたジェイドは、姿を他の鳥使い達に見られても、直接会って話し会おうとはしなかった。だが今度は、鳥使いがジェイドの前にベヌゥを着地させて話しかけると、何とか会話を交わせたと言う。これは進歩だ。モリオンは何とか瞳の湖に行き、ジェイドと話し合えたらと願っていた。そして再びジェダイドに乗り始めてから二十日が経った頃、その機会が訪れた。
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