革の手袋

紫 李鳥

革の手袋

 


 部屋の窓から夜景を眺めながら


 私の肩にそっと手を置くあなた


 そして 優しく引き寄せる


 あなたの横顔は寂しそう


 私の心は寂しがり


 あなたの笑顔を待っている





 人影のない改札口


 私を見つめるあなたは大人の目


 革の手袋を外して


 私の冷たい指先を握る


 あなたの指のぬくもりが


 私の涙を誘う





 ぼやけて見える電車の明かり


 閉まるドアの向こうにあなたの背中


「さようなら」と言うように


 降り出した粉雪に


 顔を向けて目を閉じる




 頬伝う涙が……凍る

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革の手袋 紫 李鳥 @shiritori

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